野菜不足が健康に悪いというのは、誰もが何となく持っている印象ではないでしょうか。
でも、そもそもなぜ野菜は食べたほうがいいといわれるのでしょうか?
野菜を食べる意味、野菜を増やすコツを紹介します。
【おすすめ】栄養バランスのとれた健康的な食事を手軽に!宅配食・宅配弁当サービスのご紹介
Contents
「野菜は1日350g」の根拠
「1日分の野菜は350g」とよく言われますが、そもそもどんな根拠があってのことなのでしょうか?
もとになっているのは、厚生労働省の「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」という、日本人の健康意識を高めるための取り組みの中での数値目標です。
循環器疾患やがんの予防に働くと考えられる栄養素、カリウム・食物繊維・抗酸化ビタミンの適量摂取のための野菜の摂取量が350gとされています。
野菜を食べることで得られるメリットとは
野菜を食べることで得られるメリットにはいくつかあり、おおまかに整理すると、以下の3つに分けられます。
- 必須栄養素の摂取源となる
- 体重コントロールに有用で肥満予防
- 生活習慣病のリスクを下げる
必須栄養素の摂取
野菜には(種類により違いはあるものの)人間の生命維持に必要な「必須栄養素」であるビタミンやミネラルが含まれています。
野菜に含まれるビタミンやミネラルとして代表的なものとしては、以下の栄養素が挙げられます。
- β-カロテン(体内でビタミンAとして働く)
- ビタミンC
- 葉酸
- カルシウム
- 鉄
- カリウム
また、必須栄養素以外では食物繊維、有効性は確かではないものの、ポリフェノールやカロテノイドといった成分も含まれています。
これらの栄養素や食品成分は野菜以外の食品からもとれるものではありますが、野菜は重さあたりのエネルギー量が少ないことから、上記の栄養素を確保するためにたくさん食べても、エネルギー摂取過剰につながりにくいという魅力があります。
肥満予防
「野菜をしっかり食べること」には、野菜摂取により、ほかの食品を食べる量を適正に保つ役割もある…というのが、ふたつめのメリットです。
たとえば、野菜を一切食べず、ごはんやパンなどの主食、お肉や魚といった主菜だけでお腹いっぱいに食べたとします。
主食や主菜は野菜料理と比較すると重さあたりのエネルギー量が多く、同じ量(重さ)を食べた場合、どうしても摂取エネルギーが多くなりがちです。
厳密にいえば調理法によって変わりますが、野菜料理はおおむね重さのわりにエネルギーは低く、食事の中で「カサ増し」をしてくれるものでもあります。
また、噛み応えのある野菜であれば、ゆっくり食べることにもつながり、カサ増しとあわせて食べすぎの防止に役立つといえそうです。
飢えによる栄養失調よりも食べすぎや肥満による生活習慣病が問題視される現代においては、「お腹いっぱい食べてもエネルギーの取りすぎにならないため」の野菜は積極的に摂りたい食品のひとつです。
生活習慣病の予防
野菜は摂取カロリーを抑えつつビタミンやミネラル、食物繊維を摂取するのに役立つ食品です。
カリウムやビタミンC、食物繊維は高血圧や脂質異常症などの予防に働くことが知られており、これらを含む野菜を十分にとることで、体重を適正範囲にコントロールし、生活習慣病を予防することが期待されています。
ダイエットの観点だけでなく、将来の健康のことも考えると、野菜はたっぷり食べたい食品ですね。
死亡率の低下
特定の栄養素の働きとは別に、野菜を食べることが健康な生活につながるのかを調査した報告があります。
野菜や果物を全く食べない人と比べると、野菜や果物の食べる量が増えるにつれて調査期間中の死亡率が低下し、およそ400g以上では、死亡率には大きな差がなくなったことが示されています。
【おすすめ】栄養バランスのとれた健康的な食事を手軽に!宅配食・宅配弁当サービスのご紹介
野菜350gの目安
野菜350gとはいっても、どのくらいの量を食べるべきなのか、具体的なイメージはわきにくいものです。
350g分の野菜の量を画像で見てみましょう。
画像は一例ですが、トマト1個、オクラ5本(1/2パック)、長ネギ1/2本、キャベツ1/8玉でおよそ350gとなりました。(お皿の重さは除いています)
様々な種類の野菜を組み合わせて、1日あたりこのくらいの量が理想的といわれています。
日ごろ自分が食べている量と比べていかがでしょうか?
日本人の野菜摂取量平均値
日本人は平均すると野菜をどのくらい食べているのでしょうか?
平成29年度の国民健康・栄養調査の結果を見ると、20歳以上の成人男女の平均では、1日あたり290g近く食べているようです。
意外とたくさんの野菜を食べられているようですね。
しかし、世代別に見てみると、20代~30代の比較的若い世代では摂取量が少なくなっています。
- 男性(20~29歳):264g(目標値-86g)
- 男性(30~39歳):257g(目標値-93g)
- 女性(20~29歳):218g(目標値-132g)
- 女性(30~39歳):232g(目標値-118g)
今の体型のコントロールのためにも、将来の健康のためにも、もう少し野菜を食べる習慣をつくりたいですね。
目標値達成に必要な摂取量
20代から30代の人たちは、1日あたり90~130g程度、野菜を増やすとよさそうですが、これはどのくらいの量でしょうか?
トマト1個=150g
キャベツ3枚=150g
にんじん1本=150g
このうちどれかを増やすとおおむねクリアできそうです。
少量ずつを組み合わせると食べやすくなりますね。
料理単位で考えると、野菜をメインとした小鉢のおかず1品がおおよそ70gくらい。
1日を通して野菜料理を2皿増やせると理想的です。
野菜摂取量を増やすヒント
野菜をもっと食べましょうと言っても、その分時間や手間がかかるのでは負担が増えてしまいます。
なるべく手間暇かけず、簡単に取り入れられるヒントを紹介します。
すぐ食べられるものを選ぶ
野菜の種類によっては包丁とまな板を出す必要がなく、洗ってそのまま(ものによっては洗わずに)食べることができます。
- ミニトマト
- レタス系(一口大にちぎる)
- ベビーリーフ
- カット済み野菜サラダ
などがあげられます。
やっと野菜やベビーリーフは洗って食べるべきか洗わなくても食べられるかは商品によって異なる場合がありますので、パッケージなどの指示に従ってくださいね。
カット野菜や冷凍野菜を活用
スーパーやコンビニで購入できるカット野菜は切る手間が省ける優れものです。
袋を開けてすぐに炒めものなどに使うことができるので、調理の手間を大幅に減らすことができます。
最近では炒め物用・ラーメン用など、用途に合わせて数種類の野菜がミックスされたものも売られていてバリエーションが豊富なのもうれしいポイントです。
冷凍野菜やカット野菜について詳しく解説した記事はこちら
時間がないときは作り置きを活用
昼食や夕食に比べると、朝食は忙しく、野菜の料理を取り入れにくくはないでしょうか?
洗ってすぐ食べられるミニトマトなどを活用するのもいいですが、作り置きなど、前日の夕食を多めに作っておくのもアリですね。
おすすめは野菜たっぷりのスープ。
くたくたになった野菜は朝でも食べやすいおかずになりそうです。
夜はコンソメスープをつくり、朝はカレー粉を少し足したりするアレンジも飽きにくくおすすめです。
調理済み食品を活用
自炊はほとんどしないという人でも、工夫次第で野菜の摂取量を増やすことができます。
最近ではコンビニのお弁当や麺類などの調理済み食品でも、「野菜たっぷり」「1日分の1/2の野菜が取れる」といったことを売りにしている商品が増えてきました。
また、パウチ入りのお惣菜も充実しているため、選択肢も豊富です。
コンビニで食事を選ぶときには、野菜を食べることを意識して売り場を見てみてくださいね。
【おすすめ】栄養バランスのとれた健康的な食事を手軽に!宅配食・宅配弁当サービスのご紹介
野菜の食べ方による健康効果の違い
野菜の栄養に関して、生野菜がいい、加熱野菜がいい、野菜ジュースでは意味がない…といったような「とり方」も注目されることがあります。
生野菜と加熱野菜の違い、野菜ジュースやスムージーについて解説します。
加熱すると生野菜より多く食べられる
生の野菜、特に葉物は重さのわりにカサが張るため、たくさん食べられないという人もいるのではないでしょうか?
つい食べすぎてしまうという人にはカサが張る野菜はうれしい食材なのですが、小食な人にとっては食べにくい食材になってしまいます。
野菜をたっぷり、なるべく小さくして食べるには加熱するのが一番です。
スープの具として煮込んでしまえば、栄養素のロスも少なく、たくさんの野菜と食べることができます。
野菜ジュースやスムージー
不足しがちな野菜を補う、というときに注目されるのが野菜ジュースやスムージーではないでしょうか。
野菜ジュースは野菜の魅力である食物繊維の量が少なくなっていることがほとんどなので、そのまま野菜に置き換えられるものとは考えにくいでしょう。
スムージーは市販の野菜ジュースと比較すると栄養素の損失は少ないものの、飲み物として飲む場合には、食事バランスを整える効果はあまり高くないかもしれません。
とはいえ、飲まないほうがいいというわけでもありません。
野菜を食事の一部として食べるときほどのメリットはないものの、カリウムや各種ビタミンはある程度は取ることができますので、「どうしても野菜が食べられなかった」という時のサポート要員として考えるのがよいでしょう。
野菜ジュースを選ぶときは、なるべく野菜100%のものを選ぶのがおすすめです。
調理形態による長所と短所
たくさん食べるのに適した方法、栄養素を無駄なくとるのに適した方法はありますが、生野菜、加熱野菜、ドリンク状など、どの形態が最善…ということはありません。
それぞれの調理方法に長所と短所があるというのが実際のところです。
形態 | 長所 | 短所 |
生野菜 | カサ増しに適している 栄養素の損失が少ない |
350g食べるのが大変 |
加熱野菜 | カサが減りたくさん食べられる | カサ増しにはなりにくい 栄養素の損失が多少ある |
野菜ジュース | 手軽に摂れる | 栄養素の損失が多少ある カサ増しになりにくい ほかの食事に影響しにくい |
スムージー (生野菜をミキサーに かけたもの) |
器具があれば手軽に摂れる 野菜ジュースより栄養素の損失が少ない |
カサ増しになりにくい ほかの食事に影響しにくい |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
野菜の良さを最も引き出せる最善の方法は何か…と考えがちですが、どの食べ方にも長所と短所があり、どれかひとつの食べ方ばかりになるほうが望ましくありません。
最善の調理法を選ぶのではなく、どれかに偏らないでいろいろな食べ方で野菜を食べることで、リスクを分散させることができます。
また、もともと野菜をあまり食べない…という人には、自分にとって取り入れやすい方法を選ぶことも重要です。
いきなり1日にいくつも野菜料理を作るより、野菜ジュースから始めるほうが続けやすく、習慣作りには適しています。
とはいえ、野菜ジュースだけでは、野菜をとるメリットをすべて得られるわけではありません。
いずれは野菜ジュース以外の野菜料理を食べることが習慣になることを目標に、手を出しやすいものから始めるのがいいでしょう。
野菜の摂取にあたって注意が必要なこと
野菜の摂取量は増やしたいですが、野菜不足以上に心配されているのが日本人の塩分のとりすぎです。
塩分は取りすぎると高血圧などの生活習慣病のリスクを高めるため、若いうちからも控えめにしたい成分です。
野菜を食べる量を増やそうとすると、どうしても味付けのための調味料やドレッシングで塩分が増えがちです。
お漬物などは手軽に用意できて食べやすい野菜料理なのですが、塩分が高いため、あまりたくさん食べることは避けたいです。
なるべくであれば、普段の食事の味付けはあまり変えず、野菜の量だけを増やすようにすると余分な塩分を増やさずに済みそうです。
まとめと補足
カリウム、食物繊維、ビタミンCの摂取という意味では、野菜に並んで果物も優秀な食品です。
1日の食事の目安を示した「食事バランスガイド」では、1日あたり200g程度の果物を食べるのが目安になっています。
みかんやキウイ、いちごなどはむく手間も少なく食べやすくておすすめです。
また、コンビニやスーパーでカット済みのフルーツを売っていることもあるので、見かけたら手に取ってみてくださいね。
【消費カロリー管理に便利】スマートウォッチのおすすめ商品ランキングのページはこちら
【おすすめ】栄養バランスのとれた健康的な食事を手軽に!宅配食・宅配弁当サービスのご紹介
一人暮らしの栄養改善に最適な冷凍宅食・宅配弁当サービスのおすすめランキングのページはこちら
参考文献 佐々木敏:「佐々木敏のデータ栄養学のすすめ」.女子栄養大学出版部,2018. Wang et al.Fruit and vegetable consumption and mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies. BMJ. 2014 Jul 29;349:g4490. 厚生労働省、公益財団法人健康・体力づくり事業財団:「健康日本21」 |