投稿日: 2019.08.26 | 最終更新日: 2023.08.01

食品添加物は危険?健康への影響と安全性の確保について解説

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食品添加物のイメージ

保存料無添加、化学調味料不使用などといわれると魅力的に見えることがあるのではないでしょうか。
それ以外の食品添加物を使った食品は体に悪いものなのでしょうか?

食品添加物を使う目的、安全性のチェック方法と「安全な食べ物の選び方」を紹介します。

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そもそも食品添加物とは

食品添加物のイメージ

そもそも、食品添加物とはどのようなものでしょうか。

厚生労働省では、
「食品添加物は、保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるもの」
として紹介しています。

食品添加物を使うのは何のため?

食品添加物は食品の加工や製造工程で、以下のような目的のために使われます。

  • 食品の味を整える
  • 食品の見た目を整える
  • 食品の性質を整える
  • 食品の保存性を高める
  • 栄養成分を補う

具体的な食品添加物の名称とその目的

加工食品の原材料表示では、以下のように目的ごとの名称や、成分そのものの名前で書かれます。

食品の味を整える目的 甘味料:キシリトール アスパルテームなど
香料:バニラ香料など
酸味料:クエン酸、乳酸など
調味料:L-グルタミン酸ナトリウムなど
食品の見た目を整える目的 着色料:クチナシ色素、コチニール色素など
発色剤:亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウムなど
漂白剤:亜流酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウムなど
食品の性質を整える目的 増粘剤、安定剤、ゲル化剤:ペクチン、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど
乳化剤:植物レシチンなど
pH調整剤:乳酸ナトリウムなど
膨張剤:炭酸水素ナトリウム(重曹)、焼きミョウバンなど
食品の保存性を高める目的 保存料(カビや細菌などの発育を抑制):ソルビン酸、白子たんぱく抽出物など
酸化防止剤(油脂などの酸化を防ぐ):エリソルビン酸ナトリウム、ビタミンEなど
防カビ剤(輸入かんきつ類などのカビを防ぐ):オルトフェニルフェノール、イマザリルなど
栄養成分を補う目的 各種ビタミン・ミネラル

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

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食品添加物は体に悪い?

加工食品には添加物が使われている場合が多い

食品添加物の中には、
「過剰に摂取すると骨がもろくなる」
「心筋梗塞のリスクが上がる」
「発がん性物質のもとになる」
などといわれるものもあります。

「リスクを高める」といわれると、将来の健康のためには避けるべきものにも思えますが、食品添加物だけが目の敵にされるのはやや誤解があるように思います。

体によい・悪いは何で決まる?

食品添加物の中には過剰な量を摂取することによって健康へのリスクを高めるものも存在します。
しかし、食物添加物ではない「ふつうの食品に含まれる栄養素」であっても、同じように過剰な量を摂取することで健康リスクを高めることは、あまり知られていないのではないでしょうか。

例として、私たちの体に必要不可欠な「ビタミン」について考えてみましょう。

ビタミンは私たちの生命維持に必要でありながら、体の中では作ることができない物質を指します。
よって、食品から必ず取る必要があるものですが、「いくらでもとっていいものではない」ということを知っている人はそう多くはないかもしれません。

ビタミンの種類にもよりますが、ものによっては必要以上の量が体内に存在することで、「過剰症」と呼ばれる健康上の問題を引き起こす場合も。
では、このようなビタミンは体にいい成分なのでしょうか?それとも体に悪い成分なのでしょうか?

ビタミンだけに限ったことではありませんが、

  • 一定量までは体にいい影響を与える(メリットがある)
  • いい影響を与える量を超え、過剰にとりすぎると体に悪い影響を与える(リスクが高まる)

この両面があるといえます。

これは食品添加物にも言えることです。
食品添加物は体にとって必要な成分ではありませんが、

  • 一定量を使用することで食品の品質を高めることができる(メリットがある)
  • 有用な量を超えて過剰に摂取すると、体に悪い影響を与える(リスクが高まる)

という、「適正な量でのメリット、過剰な量でのリスク」という点では同じことが言えそうです。

からだに悪いかどうかは「量」が重要

ビタミンも食品添加物も、体にいいか悪いかを決めるには「量」が重要です。

私たちが食べる食事に、特定の物質が「害のある量」で含まれているのであれば避けるべきものですが、
「害がない量」なのであれば、特に気にする必要はありません。

純粋な水ですら飲みすぎれば体に害を及ぼしますが、だからと言って水は危険な食品だ!という人はいないのと同じです。

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体に影響のある量はどうやって調べる?

食品添加物の使用基準を決めるための研究イメージ

食品添加物の多くは、取りすぎることによる有害な影響が起こらないように、それぞれに使用基準が決められています。

使用基準を決めるときにかかわってくるのは

  • 摂取しても体に毒性がないことが分かっている量=無毒性量(NOAEL)
  • 人が毎日、生涯にわたってその物質を摂取しても健康への悪影響がないと推定される1日あたりの摂取量=1日摂取許容量(ADI)
  • 食品に使用する際の使用基準

という3つの数値です。

加工食品に使われる添加物の使用基準の決め方

厚生労働省は、食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け、人の健康を損なうおそれのない場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで、使用を認めています。

1. 化学物質の同定

食品添加物として使いたい物質について、どのような物質なのかを明らかにします。

2. 無毒性量(NOAEL)の設定

実験動物等を用いた毒性試験で、有害な影響が観察されなかった投与量を調べます。

3. 一日摂取許容量(ADI)の設定

無毒性量をもとに、毎日・生涯にわたって摂取し続ける可能性を踏まえ、無毒性量の1/100(物質による)を1日摂取許容量と定めます。

4. ADIを超えないように使用基準を設定

その物質を含む食品を食べる量や頻度を考慮し、食品に使える量を定めます。
多くはADIよりも少ない量になるため、基準値を守ったものであれば毎日、生涯にわたって食べ続けても健康には問題がないようになっています。

食品添加物のリスクと使用基準

食品の品質を高める効果があっても、人体に害のある量でしか効果がないのであれば使用は許可されません。

食品添加物、私たちはどのくらいの量を取っているの?

食品添加物の使用基準は「毎日、生涯にわたって食べ続けても健康には問題がない量」の範囲で定められています。

毎日、同じ加工食品を生涯にわたって食べ続ける人というのはほとんどいないとは思いますが、複数種類の加工品を食べた場合の実際の摂取量がわからなくて不安…という人も少なくありません。

厚生労働省では「私たちが日ごろどのくらいの量の食品添加物を摂取しているのか」を調べたデータも公開されています。

→厚生労働省:マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査

そのデータによると、食品添加物の摂取量は1日摂取許容量を大きく下回っており、通常の食生活では食品添加物による健康へのリスクはほとんど考えられないといえます。

添加物は不安?天然物質なら安全?

現状使用されている食品添加物は問題のない量であるにも関わらず、抵抗がある人が多いのが現状です。
いっぽう、「自然」「天然」「人工●●不使用」などと明記されていると「安心」してしまうのはなぜなのでしょうか?

食品に限らず、
「自然にあるものはいいもの」
「人工的に作られたものは悪いもの」
というイメージが浸透していますが、「自然=安全」といえるのでしょうか?

天然物にも有毒なものはある

自然に存在するものであっても、ヒトの体に有害なものは多数存在します。
植物やキノコ、動物が持っている「毒」などがこれにあたります。
「自然の海で育った天然のフグ」が、体に悪影響を与えることは多くの人が知っていることです。

天然物も化学物質の集合体

反対に、「人工のものは化学物質だから不安」というイメージも広く浸透しています。

しかし、自然に存在する動物も植物も、どんなものも複数の原子が結合した「化学物質」でできています。

「化学調味料」といわれ、避けられている「グルタミン酸ナトリウム」も、アミノ酸のひとつである「グルタミン酸」とミネラルの「ナトリウム」が結合したものであり、私たちのからだや一般的な食品に含まれているものと変わりありません。

普段、ふつうに食べている食品に含まれているものを、取り出したからと言って有害なものには変わりません。

わざわざ無添加のものだけを選ぶ必要はない

食事を楽しむ女性

もちろん、新鮮な食材が手に入りやすく、調理に手間や時間をかけられる場合など、加工食品を使う必要がないのであれば、わざわざ食品添加物の含まれたものを食べる必要性はありません。

しかし、現代社会では時間に追われる人も多く、いつでもどこでも新鮮な食材を手に入れ、時間と手間をかけて料理をする、ということは難しくなっています。

食品添加物は食事の選択肢をひろげるもの

加工食品は食品添加物を適切な範囲で使用することで、
「保存性が高く食中毒の心配の少ない」「味や見た目などの品質の整った」食品を、
安定した価格で、市場に流通させることが可能になっています。

忙しい毎日を送る中で、加工食品を使わない生活はかなり困難なものになります。
「食品添加物無添加」を掲げる食品はそうでない食品に比べて割高なことも多く、種類も限られます。
そのため、用意できる食事内容が偏り、かえって摂取栄養素が偏ってしまうことも考えられます。

健康へのリスクが限りなく少ないにもかかわらず、イメージだけで加工食品を避け、食費や調理の手間を増やし、結果として食事のバランスが偏ってしまうのは望ましい状態ではありません。

過剰なリスク回避はかえって別の問題につながるかも

健康に気を遣うことはとてもいいことです。
しかし、過剰に気にしすぎることは、食の選択肢を狭め、別のリスクを高めることにもつながります。
どんな食事にせよ、「ほどほど」のところがちょうどいい、といえそうです。

食品添加物とともに安全性が不安視される人工甘味料について詳しく解説した記事はこちら

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参考文献

厚生労働省:「食品添加物」

消費者庁:「食品添加物表示に関する情報」

一般社団法人日本食品添加物協会:「食品添加物Q&A」

高橋 久仁子:「食品添加物はなぜ嫌われるのか」(日本学術会議、平成16年度公開討論会より)

唐木 英明:「食品の安全と消費者の不安」(公益財団法人日本フードスペシャリスト協会、平成20年度通常総会記念講演より)

長村洋一.無添加安全論のナンセンスさを量から考える 日本食品安全協会会誌,第10巻 第1号,2015年

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。