投稿日: 2019.04.19 | 最終更新日: 2024.04.24

栄養バランスの良い食事とは?一日の食事で健康のために意識すべきポイントを紹介

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栄養バランスのいい食事とは?

健康のために、体型の維持のために、大事なのは「バランスの取れた食生活」であるとよく言われます。
しかし、「バランスの取れた食事」とは、なぜ良いとされ、具体的にはどうすれば実現できるのでしょうか?

この記事では、栄養バランスの良い食事のメリットと、食事のバランスを整えるためのポイントを紹介します。

毎日の負担を少なくしてバランスの取れた食事を続けるコツや、健康維持のための食事以外のポイントについても解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

栄養バランスのいい食事のメリットとは

栄養バランスのいい食事のメリットとは

栄養バランスの良い食事をとることのメリットは、健康維持に役立つことです。
より詳しくすると、必要な栄養素を不足しないように摂取できることに加え、摂り過ぎたくない栄養素の適量摂取に役立ちます。

食材にはさまざまな栄養素が含まれていますが、含まれている栄養素の種類や量は食材によってバラバラで、必要な栄養素をとるためには複数の食材を摂取する必要があります。

必要な栄養素が不足したり、反対に過剰摂取したりすると、体に様々な悪影響があらわれます。
悪影響は不足してすぐにあらわれるものも、数十年の積み重ねであらわれるものもあります。

「バランスの良い食事」をとることで、栄養素の不足や過剰によっておこる体への悪影響をなるべく少なくし、健康を維持することにつながります。

必須栄養素の不足を防ぐ

バランスの良い食事をとることで、摂取すべき「必須栄養素」の不足を防ぐことができます。

ヒトは食事から栄養素を摂取することで体の機能を維持していますが、そのために摂取すべき「必須栄養素」の種類は30種類以上にものぼります。
代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • エネルギー(カロリー)
  • たんぱく質
  • 脂質
  • 炭水化物
  • ビタミン(13種類)
  • ミネラル(13種類)

たんぱく質、脂質、炭水化物はエネルギー源となるほか、体内で様々な役割を持っています。

ビタミンやミネラルは必要な量は少ないものの、体内の様々な組織を構成したり、体内の調節機能の維持に役立っている成分です。

たとえば、ミネラルのひとつである鉄分。
鉄分は、主に赤血球に含まれており、全身に酸素を運ぶ役割を持っています。
しかし、特にけがなどをしなくても、赤血球はおよそ120日で壊され、赤血球に含まれる鉄分は新しい赤血球の材料となりますが、一部は汗や尿、皮膚から失われてしまうため、食事からの補給が必要です。

このように、生命を維持していくうえで消費されるエネルギーや体の構成成分を補う必要があります。
体が必要とするものを不足することなく取り入れるために、バランスの取れた食事が重要だといえます。

過剰摂取のリスクを防ぐ

バランスのとれた食事は、特定の成分の過剰摂取による健康リスクを防ぐ意味でも重要です。

体に必要な栄養素であっても、取りすぎることによって体に悪影響を与える場合があります。

たとえば、塩分であるナトリウムは体に必要な成分ですが、日本ではナトリウムの摂取量は過剰になっています。
塩分のとりすぎは高血圧や生活習慣病の要因になるため、近年は取りすぎないように呼びかけられています。

また、食材には体が必要とする栄養素だけでなく、体に悪影響を及ぼす成分が含まれている場合もあります。
様々な食事を幅広く食べている場合には体に良くない成分であってもその摂取量が少ないため、悪影響はほとんどあらわれないことがほとんどです。

たとえば、魚介類の一部には水俣病などの原因となった水銀が微量に含まれているものがあります。しかし、現在ではその含有量は微量で、通常の食生活では体に悪影響が表れることはほとんどありません。

特定の食品ばかりに偏ることで起こる悪影響を避けるためにも、バランスの取れた食事は重要です。

栄養バランスの良い食事のポイント

栄養バランスの良い食事のポイント

現代の日本人の食事バランスは、塩分過多や特定の栄養素の不足傾向はあるものの、平均的にはおおむねバランスが取れているといえます。

しかし、それはあくまで平均を見た時の場合で、個人を見た時には誰の食事でもバランスが取れているというわけではありません。

では、具体的にバランスの取れた食事とは、どんなことに気を付ければいいのでしょうか。
栄養素レベルでの摂取基準は30種類以上もあるうえ、食材からではどの程度取れたか調べることは困難です。

そこまでせずとも、毎日の食事を選ぶときに、いくつかのポイントをチェックすることである程度は栄養素を偏りなくとることができます。

毎日の食事で意識したいポイントを紹介します。

主食・主菜・副菜をそろえる

主食・主菜・副菜をそろえることで、バランスのとれた食事に近づけることができます。

  • 主食…ごはんやパン、麺などの料理(主に糖質の摂取源)
  • 主菜…メインのおかずとなる肉や魚を使った料理(主にたんぱく質、脂質の摂取源)
  • 副菜…サブのおかずとなる野菜などを主に使った料理(主にビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取源)

主食を抜くと人間の主なエネルギー源である糖質が不足し、たんぱく質や脂質の過剰摂取につながりやすいです。
主菜を抜くと体の細胞をつくるたんぱく質が不足してしまいます。
副菜を抜くとビタミン類や食物繊維が不足してしまうことが考えられます。

主食・主菜・副菜の3種類をそろえるようにするだけでも、じゅうぶんに「バランスの取れた食事ができている」といえるでしょう。

また、れぞれの「量」に関しても、ある程度の目安に合わせて選ぶとよいでしょう。

体に必要な栄養素の量ははその人それぞれの年齢や体格、活動量などにもよって変わります。
そのため、厳密な適正量というものは提示できませんが、体の大きさに合わせた目安を紹介します。

  • 主食…こぶしひとつ分
  • 主菜…手のひらひとつ分
  • 副菜…生なら両手に1杯、加熱したものなら片手に1杯分

もちろん、スポーツをしている人と、反対にほとんど動くことがない人など、生活スタイルの違いによって異なりますので、参考程度にとどめてください。

毎食、完璧な栄養バランスの食事をとる必要は全くありませんが、1食の食事の中である程度の「パターン」をつくっておくことで、1日を通してのバランスがとりやすくなります。

果物を取り入れる

果物はビタミンCやカリウムの摂取源として優秀な食品であることから、可能であれば1日1回くらいを目標に食べられると理想的です。

朝食にヨーグルトを付けたり、食後のデザートは果物にしたりすると健康的でおすすめです。

果物を毎日食べるのは意外とハードルが高いもの。カット済みのフルーツを活用するのも方法のひとつですね。

乳製品を取り入れる

乳製品はカルシウムの摂取源として積極的に取り入れたい食材です。

カルシウムは不足しやすい栄養素であり、不足状態が続くと、骨粗しょう症や高血圧、動脈硬化につながる可能性もあります。
特に女性では、閉経後にホルモンバランスの変化によって骨粗しょう症になりやすいことが分かっており、若いころからの骨量の維持が重要です。

牛乳などの乳製品に含まれるカルシウムは吸収率もいいため、毎日食べる習慣ができると理想的です。

お菓子・嗜好飲料は適量に留める

お菓子や清涼飲料水、アルコールなどには、基本的には体に必要な栄養素といわれるものは少なく、取りすぎは肥満や生活習慣病の原因になります。
そのため、摂り過ぎにならないよう気をつけたい食品グループです。

バランスのとれた食事の参考となる「食事バランスガイド」では、お菓子や嗜好飲料の適量の目安は200kcal以内とされています。

包装に記載された栄養成分表示等を確認し、1日の摂取量が200kcalを超えないようにすると健康的といえます。

とはいえ、少々お菓子を食べすぎた日があっても1週間でバランスが取れていれば大丈夫です。
お菓子を食べすぎた日があったら、次の日は控えめにしてくださいね。

カロリーを抑えつつお菓子やお酒を楽しむためのポイントを解説した記事はこちら

1日単位・1週間単位で偏りを整える

1食単位のバランスが取れなくても、1日単位・1週間単位で帳尻を合わせられれば問題はありません。

昼食に野菜が少なかったのであれば夕食で野菜をたっぷり食べるように気を付けてみましょう。
高カロリーになりやすい揚げ物は連続で食べない、また、麺を食べた次の食事ではお米にする、といった工夫ができるとなお良いですね。

1日を通して炭水化物に偏った食事になってしまったという場合には、あまりとれなかった主菜や野菜を補うように食べ、数日~1週間くらいでバランスが取れればそこまで大きな問題はありません。

また、1週間の中で食材のバリエーションがあるとよりよいです。

主菜でいえば、鶏肉や豚肉、牛肉、卵、魚介類などをまんべんなくとるようにするとバランスが整います。
野菜もいつも同じものではなく、いろいろなものを食べるようにするといいですね。

大切なのは、毎食、毎日理想の食事を選ぶことではなく、食事内容を振り返って軌道修正をすることです。
ある程度は自由に、ゆるくバランスをとるのが長続きさせるコツです。

減塩を意識する

バランスのとれた食事選びに加えて、減塩を意識できるとさらに健康的です。

塩分はとりすぎが続くと、高血圧や胃がんなどのリスクを高めることが知られています。
日本人は塩分をとりすぎる傾向にあり、高血圧の予防のためにも、若いうちから減塩を心がけられると理想的です。

和食はカロリーが低く健康的であるといわれますが、実はその反面、塩分の摂取量が多くなりやすいといった弱点もあります。
和食だけにこだわらず、洋食、中華などいろいろな国の食事を取り入れるのもバランスの取れた食事につながります。
和食でも、カツオや昆布のだしや、お酢などの酸味、カレーなどの香辛料、シソや三つ葉などの香味野菜を使った料理は薄味でもおいしく食べやすいものになります。

乳製品を和食に取り入れることで減塩になる「乳和食」というものも注目されています。

全粒穀類を取り入れる

肥満予防、便秘予防、生活習慣病の予防の観点からも、食物繊維は積極的にとりたい成分です。
全粒穀類は以下のような精製度の低い穀類のことで、食物繊維の良い摂取源となる食品です。

  • 玄米
  • 小麦全粒粉
  • オートミール
  • 押し麦、もち麦
  • ライ麦

食物繊維自体にはほとんどカロリーがなく、消化吸収を遅らせ、食事の満足感を増してくれる作用があります。

普段の主食を全粒穀類に切り替えることで効果的に食物繊維の摂取量を増やすことができますので、ぜひ取り入れてみてほしいポイントです。

オートミールについて詳しく解説した記事はこちら

女性は鉄分を意識する

女性では鉄分が不足しやすいため、鉄分を多く含む食品や、鉄分が強化された食品を意識してとれるとよいでしょう。

毎日1mgが失われる鉄分ですが、月経のある女性ではさらに損失が大きく、不足しやすい栄養素です。
さらに、食品からの吸収率がとても低いのが特徴で、食べた量の15%程度しか吸収されません。

日本人の鉄分摂取量は不足気味なので、月経のある女性では特に気を付けたい栄養素です。

鉄分は以下のような食品に多く含まれています。

  • 肉類(レバー、牛肉の赤身)
  • 魚介類(あさり、煮干し、干しえびなど)
  • 緑黄色野菜(大根の葉、小松菜など)
  • 大豆製品
  • 鉄分強化した加工食品(ヨーグルトやココア)

どれか一つにこだわるのではなく、まんべんなく食べることが大切です。

鉄分の多い食材について詳しく解説した記事はこちら

栄養バランスのとれた食事を続けるコツ

栄養バランスのとれた食事を続けるコツ

忙しい現代において、一から食事をつくるための時間はとりにくく、栄養バランスの良い食事を続けるのは難しいと感じる方が多いかもしれません。

しかし、無理なく健康的な食事を続けていくためには、お惣菜や冷凍食品のような加工食品を上手に活用することも大切です。
また、カロリーや塩分の取りすぎにつながりやすい外食は量や頻度を考慮することで食事のバランスを整えることができます。

それぞれについて詳しく解説します。

惣菜や冷凍食品を活用する

手作りにこだわらず、惣菜、冷凍食品、カット野菜、レトルト食品などの加工品を活用しましょう。

健康的な食事、というと家庭での手料理にこだわるイメージもありますが、手作りや自炊にこだわる必要はありません。
忙しい毎日の中で手作りにこだわってしまうと、負担が増えてしまううえ、長続きしない場合もあります。

食事のバランスを整えるために、お惣菜や調理済み食品、カット野菜や冷凍野菜は強い味方になります。
これらを上手に活用することでいろいろな種類の食材を取り入れられたり、手軽に野菜の摂取量を増やしたりできます。

冷凍野菜を活用して栄養価を高めることについて解説した記事はこちら

外食は量や頻度を考慮する

外食は量と頻度を考慮して、食事全体としてのバランスが乱れすぎないようにしましょう。

外食の料理は一般的に、満足感のために量が多くカロリーが高めであったり、脂質や塩分が過剰気味な場合も多くなっています。
そのため、前後で調整したり、外食があまり続かないようにするのがおすすめです。

最近では健康志向のメニューを提供するお店も増えてきていおり、かえって自炊よりも健康的な場合もありますので、上手に活用したいところです。

ダイエット中の外食の選び方について詳しく解説した記事はこちら

健康のために食事以外に気をつけたいポイント

健康のために食事以外に気をつけたいポイント

健康は食事だけで成り立っているわけではなく、食事以外の要素も大切です。

適度な運動や十分な睡眠も健康維持のための大きな要素となっています。

また、定期的に体重測定や健康診断を行い、体重の変化や健康状態を確認することも大切です。

適度な運動

運動や日常生活で体を動かす習慣をつくりましょう。

適度な運動をすることによって、消費カロリーを増やし、肥満や生活習慣病の予防につながります。
また、運動によって筋肉量や骨密度が維持されるので、将来の筋力低下や骨粗しょう症を予防することにもつながります。

目安としては、通勤や通学、日常生活での歩行かそれ以上の活動を1日60分行えると理想的です。
軽く息が上がる程度の運動については1週間の合計で60分程度できるとさらに健康的です。

いきなり運動習慣をつくるのが難しい、というひとは、1日あたり10分程度の歩く時間を増やすところからはじめるとよさそうです。

十分な睡眠

健康維持のためには、十分な睡眠や休養も必要です。
睡眠不足は病気のリスクを高めることが知られていますので、十分な睡眠をとるようにしましょう。

睡眠不足の状態が続くと、日中の集中力の低下だけではなく、生活習慣病を悪化させることもあります。

体重チェックと健康診断

定期的な体重測定と健康診断を行いましょう。

体重の増減によって、消費カロリーに対しての摂取カロリーの過不足をある程度判断することができます。
数日間での数値の変化はほとんど誤差なので、数週間以上の長い期間で体重の増減を観察するのがいいでしょう。

また、勤務先などで受ける健康診断の結果によって、食事などの生活上の問題が見つかることもあります。
栄養相談、栄養指導を受ける機会があった時には、ぜひ活用してくださいね。

健康診断結果の見方について詳しく解説した記事はこちら

まとめ

1日に摂取したいカロリーや栄養素の量についての基準はあるものの、

  • 実際に食べている食事がどのくらい栄養素が含まれているか
  • 体の必要な量に対して少ないのか多いのか

ということを正確に確認することは日常生活においてはほとんど不可能です。

どれだけ栄養素をとったか、という点よりも、日常の食事に偏りはないか、自分の体に不具合がないかを意識することが大切です。

一度にすべてのポイントをクリアすることは難しいと思います。
まずは手軽なところから、次の食事で主食・主菜・副菜をそろえるところから始めてみてくださいね。

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参考文献

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

厚生労働省:平成29年「国民健康・栄養調査」の結果

厚生労働省:「食育の推進」

厚生労働省:「日本人の長寿を支える「健康な食事」について」

社団法人日本栄養士会 監修:「「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル」.第一出版,2011

吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.

全国健康保険協会 岡山支部:「1日の目安って?手ばかりをマスターしよう!チラシ」

厚生労働省e-ヘルスネット:「健康づくりのための身体活動基準2013」

厚生労働省e-ヘルスネット:「健やかな眠りの意義」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。