体づくりにおいて重要な栄養素のひとつとして近年注目されている「たんぱく質」。
日々の食事内容によっては不足する場合もあり、適量の摂取が望まれる栄養素のひとつです。
たんぱく質が不足する恐れのある食習慣の特徴と、不足しないためのポイントをまとめました。
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Contents
タンパク質はどんな栄養素?
たんぱく質は脂質、炭水化物と並んで「三大栄養素」と呼ばれるもののひとつですが、体内ではどのような働きを持つのでしょうか?
体組織の構成成分
たんぱく質は私たちの体をかたちづくる細胞の主成分であり、筋肉、内臓、皮膚、爪、髪などあらゆる体組織の主要な構成成分です。
体の調節機能にも関与
さらに、血液中の赤血球や免疫にかかわる抗体、体の中で行われる様々な代謝の調節を行う酵素やホルモンの一部などもたんぱく質からできています。
食事からの摂取が必須
たんぱく質は20種類のアミノ酸が組み合わさった物質であり、体内ではアミノ酸の組み合わせによって様々なたんぱく質に組み替えられています。
アミノ酸20種類のうち、9種類のアミノ酸は体内で作り出すことができないため、食事から摂取する必要があります。
タンパク質が不足する原因とは?
体にとって重要な栄養素であるたんぱく質は、食事から摂取する必要があります。
たんぱく質が不足しやすい食生活とはどんなものでしょうか?
通常の食生活では不足することはあまりない
日本人の平均的な食事や栄養素の摂取状況を調査する国民健康・栄養調査では、たんぱく質の摂取量は例年、日本人の食事摂取基準で推奨される摂取量を上回っています。
日本人の一般的な食事の内容と量の場合、不足する心配はあまりありませんので、多くの場合はたんぱく質の摂取量を意識する必要はありません。
ダイエットによる食事量の減少
ダイエットの目的で食事制限を行っている場合、その内容によっては必要なたんぱく質量を満たしていない場合があります。
- ファスティングのように1日を通して食事量が極端に少ない場合
- スムージーや野菜スープなど、量はあっても水分が多く野菜類がほとんどを占める場合
数日程度であれば体内のたんぱく質が利用されるためすぐにトラブルが起こるわけではありませんが、上記のような食事を長期間続けることはおすすめできません。
植物性食品に偏った食事内容
最近では、環境への配慮や動物愛護の観点からだけでなく、健康面の理由で菜食(動物性食品を食べない食事)を取り入れる人も少なくありません。
一時的な食事として取り入れる分には日々の栄養の偏りとバランスをとれる場合もありますが、毎日の食事として菜食を取り入れる場合には、たんぱく質の不足も心配されるポイントのひとつです。
菜食はその人の考え方によりいろいろなレベルがありますが、特に動物性食品を完全に排除する「ヴィーガン」では、たんぱく質の主要な摂取源となる動物性食品を一切口にしないため、たんぱく質不足のリスクが比較的大きくなります。
植物性食品にもたんぱく質は含まれていますが、動物性食品と比べるとアミノ酸の含有バランスが偏っているものが多く、無駄なく取り入れるためには食材の組み合わせに注意が必要になります。
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タンパク質が不足するとどんなことが起こる?
私たちの体は日々一定量のたんぱく質を排出しており、健康維持のためには最低限のたんぱく質の摂取が必要です。
たんぱく質の摂取量が必要量を下回っていても、直ちに体調不良が起こるわけではありませんが、たんぱく質の摂取不足が長期に及ぶと、ダイエットの妨げになったり、健康面でのトラブルにつながったりすることが心配されます。
筋量の低下やトレーニング効果の低下
たんぱく質の摂取量が低下すると、体内で利用されるたんぱく質やアミノ酸を補うために筋肉が分解され、筋量の低下や基礎代謝(エネルギー消費)が少なくなることが考えられます。
また、運動やトレーニングにより筋肉がつくと引き締まって見えることから、ダイエット中に食事制限と合わせて筋トレなどのトレーニングを行う人は少なくありません。
しかし、たんぱく質が不足した状態ではトレーニングを行っても筋量が思うように増えず、効果が得られにくくなることが予想されます。
皮膚や毛髪のトラブル
皮膚や毛髪の主成分はたんぱく質であり、新しい皮膚や毛髪を作るためにもたんぱく質が必要です。
これらの組織の材料となるたんぱく質が不足すると皮膚や毛髪の生産がうまく進まず、肌荒れや髪のパサつきのようなトラブルが起こりやすくなります。
貧血や免疫機能のトラブル
全身に酸素を運ぶ赤血球や異物から体を守る抗体などもたんぱく質からできています。
たんぱく質が不足した状態が続くと、貧血になりやすくなったり、免疫機能が障害されて感染症などへの抵抗力が弱くなったりといった影響が予想されます。
タンパク質不足に陥らないためには
たんぱく質不足による美容面・健康面でのトラブルを避けるためには、日々の食事でたんぱく質を十分に摂取する必要があります。
1日に必要な量の目安と、たんぱく質の主な摂取源となる食品を紹介します。
1日に必要なたんぱく質の量とは
1日に必要なたんぱく質の量は年齢・性別・体格によっても異なります。
日本人の食事摂取基準2020年版においては、
- 18~64歳の男性:1日あたり65g
- 18~64歳の女性:1日あたり50g
を摂取推奨量として示しています。
タンパク質の摂取源になる食品とは
たんぱく質は様々な食品に含まれていますが、含有量と含まれるアミノ酸のバランスを考慮すると、以下の食品群がたんぱく質の主な摂取源となります。
- 肉類
- 魚介類
- たまご
- 大豆製品
- 乳製品
肉類、魚介類、たまご、大豆製品を主に使った料理は料理の区分では「主菜(メインのおかず)」にあたります。
1日3回の食事ごとにこれらの食材のどれかを主菜として食べるようにすることで、たんぱく質の摂取不足を避けることができます。
食事バランスガイドを活用したたんぱく質摂取量の目安
厚生労働省と農林水産省が発表しているフードガイドで、1日あたりの望ましい食事の目安を示した「食事バランスガイド」では、たんぱく質の摂取源として「主菜」を示しています。
引用:厚生労働省:「食事バランスガイド」について より
食事バランスガイドでは、一定量のたんぱく質を含む量の食品を「主菜1つ」とし、年齢・性別・身体活動の強さに応じて必要な摂取エネルギーごとに主菜の適量を示しています。
標準形(1日のエネルギー必要量2200±200kcal)の場合、主菜の適量は3~5つとされています。
*主菜に相当する料理および主菜1つにあたる量の目安 たまご料理(卵1個分)=納豆40g=豆腐1/3丁(100g)=主菜1つ |
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タンパク質の上手なとり方
健康の維持のためにたんぱく質の摂取が重要なのはわかっていても、ダイエット中で摂取カロリーも抑えることや、植物性や動物性の違い、アミノ酸スコアなど様々な情報が気になってしまうことも。
効率的なたんぱく質摂取のコツを紹介します。
ダイエット中にカロリーを抑えながらたんぱく質を補う方法
たんぱく質の主な摂取源となる肉類や魚介類などの食材、またはこれらを主材料とする「主菜」は、選び方によって摂取エネルギーが高くなりやすいポイントでもあります。
ダイエット中で摂取エネルギーを抑えつつ必要量のたんぱく質を摂取したいという場合には、
- 脂質を多く含む脂身の少ない部位を選ぶ(バラ肉などは避け、赤身肉を選ぶ、鶏肉は皮を外す)
- 油脂を多く使う調理は避ける(揚げ物や炒め物と比較すると焼き・蒸し・ゆでは油脂を加えないためカロリーが抑えられる)
といった工夫がおすすめです。
また、よりストイックに食事をコントロールしたいという場合のたんぱく質の摂取源としてプロテインサプリの活用も選択肢のひとつです。
プロテインサプリはたんぱく質の摂取に特化したサプリメントであり、メーカーやそれぞれの製品によって配合される成分が異なり、カロリーコントロールに特化した商品ではたんぱく質以外のエネルギーを抑えたものも存在します。
自分のダイエットの方法に合わせて適したものを選択するのがよさそうです。
脂質を控えつつたんぱく質が取れる食品について詳しく解説した記事はこちら
プロテインの健康的な取り入れ方を解説した記事はこちら
植物性たんぱく質と動物性たんぱく質、どちらがよい?
肉類、魚介類、たまご、乳製品などの動物由来の食材から摂取できるたんぱく質を動物性たんぱく質、大豆製品や穀類などの植物由来の食材から摂取できるたんぱく質を植物製たんぱく質と分類し、区別する考え方もあります。
動物性たんぱく質を含む動物性食品はたんぱく質の含有量も比較的高く、また食材の種類も多いため、たんぱく質の摂取源として優秀なものが多数存在します。
その一方で、動物性たんぱく質は過剰摂取すると糖尿病などのリスクになる可能性が示唆されています。
植物性たんぱく質を含む植物性食品はたんぱく質の含有量では動物性食品に劣るものが多いのが特徴ですが、大豆製品においては比較的たんぱく質が多く、その含有バランスも優れているため、優秀なたんぱく質の摂取源となります。
たんぱく質の過剰摂取の場合でも、植物性のたんぱく質に関しては糖尿病などのリスクにはならない、または予防的に働く可能性が示唆されています。
動物性・植物性のどちらにもメリットとデメリットがあります。
どちらかにこだわらず、日々の食事でいろいろな種類の食材を織り交ぜながらたんぱく質の摂取ができるとよいでしょう。
アミノ酸スコアは気にするべき?
たんぱく質は20種類のアミノ酸の組み合わせでできています。
ヒトの体内で作り出せない9種のアミノ酸は不可欠アミノ酸といわれ、食事から摂取する必要があります。
食事から摂取する不可欠アミノ酸9種のうち、いずれかが不足するとそれ以外のアミノ酸の利用効率も低下するため、不可欠アミノ酸はどれも不足しないように摂取する必要があります。
ヒトの体が必要とする不可欠アミノ酸の割合(アミノ酸評点パターン)をもとに食品に含まれる不可欠アミノ酸のバランスの良さを表したものが「アミノ酸スコア」です。
肉類・魚介類・たまご・乳製品といった動物性食品の多くはアミノ酸スコアが100となっており、たんぱく質の摂取源として優れていることがわかります。
豆類、穀類、野菜類といった植物性食品のうち、大豆のアミノ酸スコアは100ですが、その他の食品はアミノ酸スコアが低いかたんぱく質の含有量が少ないことが多いのが特徴です。
通常の食生活では動物性食品と植物性食品のどちらも食べることが多く、植物性食品のアミノ酸スコアが低くてもほかの食品でカバーできることが多いため、食事全体のアミノ酸スコアを気にする必要はほとんどありません。
動物性食品を食べない菜食中心の場合には不可欠アミノ酸が不足することが可能性として考えられるため、大豆製品など、アミノ酸スコアが高い食材を意識的に取り入れるとよいでしょう。
まとめ
タンパク質は体にとって重要な働きをもつ必須栄養素のひとつです。
日本人の平均的な食生活では不足する心配はほとんどありませんが、ダイエットによる厳しい食事制限や、極端に植物性食品に偏った食事では不足する可能性があります。
体に必要なタンパク質が不足すると
- 筋力や筋量の低下
- 皮膚や髪のトラブル
- 貧血や免疫機能のトラブル
といった健康への悪影響が心配されるため、ダイエットやその他の理由で食事に制限がある場合でも、必要量のたんぱく質は確保したいですね。
たんぱく質の不足リスクが高いダイエット中において、摂取エネルギーを抑えながらたんぱく質を確保するには、
- 肉類や魚介類は脂質の少ない部位を選ぶ
- 主菜では調理用の油脂が少ないものを選ぶ
- 必要に応じて適したプロテインサプリを活用する
などの方法があります。
通常の食生活では植物性・動物性たんぱく質の違いやアミノ酸スコアを気にする必要性はほとんどありませんが、食事内容によってはたんぱく質の効率的な摂取にかかわる部分でもあるので、食事内容に制限が多い場合には注意が必要です。
ダイエット中であっても健康のためには必須栄養素をとれる食事をとりたいものです。
タンパク質に限ったことではありませんが、特定の栄養素の不足を避けるため・将来的な健康の維持のためには何か一つの食品に頼るのではなく、いろいろな食品を偏りなく食べるのがおすすめです。
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参考文献 吉田勉 監修. わかりやすい食品機能栄養学. 三共出版, 2010. 社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011. |