多くの人が悩まされている頭痛ですが、その原因はまだまだ分かっていないところが多いようです。
頭痛の話題の中でしばしば登場するのが、食べ物が頭痛の要因になるというものや、反対に改善に効くというもの。
ネット上でも、特定の食べものによって頭痛が引き起こされたり、または改善されたりといった体験談は多く存在します。
この記事では、頭痛の改善に効果的な食材はあるのか、どんな頭痛に効くのかを解説します。
頭痛を悪化させる食べ物・飲み物についても解説していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
Contents
頭痛の種類
頭痛の種類は一つではなく、原因や症状によっていくつかに分類されます。
- 緊張型頭痛
- 片頭痛(偏頭痛)
- 他の病気が原因となっている頭痛
それぞれの頭痛の種類から確認していきましょう。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は日本人に最も多い頭痛で、成人の5人に1人がこの頭痛を持っているともいわれます。
頭全体を締め付けるような痛みがあるのが特徴で、原因は身体的・精神的ストレスや血行不良といわれており、頭や首、肩の筋肉が緊張することで起こると考えられています。
緊張型頭痛の改善には食べ物や飲み物ではなく、首や肩の筋肉をほぐすマッサージや、血行を良くすることでよくなることが多いとされています。
片頭痛(偏頭痛)
片頭痛(偏頭痛)は緊張型頭痛に次いで多く、成人のうち8%ほどの人が片頭痛の症状を訴えているともいわれます。
症状は頭の片側がズキズキと脈打つように痛むのが特徴で、吐き気などを伴う場合もあるといわれています。
原因はいまだ分かっていない部分が多く、以前は頭の血管が拡張することで起こると考えられていました。
最近では、原因は血管ではなく、脳の神経の過剰な興奮と、それに伴う電気信号の抑制によって頭痛が起こっているとする考え方に変わりつつあるようです。
投薬治療のほか、食事を含む生活の見直しがある程度有効であると考えられています。
ほかの病気に伴う頭痛
くも膜下出血などの脳の血管の出血、髄膜炎などの感染症、脳腫瘍などの症状のひとつに頭痛があります。
激しい頭痛が急に現れたり、手足のしびれや意識障害などを伴う場合はこのような重大な病気が原因となっている場合がありますので、いつもと違う頭痛があらわれたときは、すぐに医療機関を受診しましょう。
偏頭痛に効く食べ物・飲み物
緊張型頭痛、片頭痛、大きな病気に伴う頭痛の中で、食事で症状の改善がと規定できるのは「片頭痛」です。
片頭痛に効果があるとされるのは、以下のような食品があります。
- コーヒー(カフェイン)
- マグネシウムサプリメント
- ビタミンB2サプリメント
それぞれのメカニズムと効果について詳しく解説します。
コーヒー(カフェイン)
片頭痛を改善できる食べ物としてよくあげられるものに、「コーヒー」があります。
実際に、コーヒーを飲んで改善がみられたという意見も多く見つかりました。
先に述べたように、片頭痛の原因が脳の血管の拡張であると考えられていた時期がありました。
脳の血管の拡張で起こる頭痛に対して、血管を収縮させる機能を持つカフェインを含んだコーヒーは有効と考えられますが、現在では片頭痛のメカニズムが見直されつつあり、コーヒーが有効である明確なメカニズムは見つかっていないようです。
とはいえ、コーヒーによって頭痛が改善したという人も多いため、何らかの作用で頭痛が改善される可能性も否定できません。
頭痛薬などと同じような作用は期待できないものの、取り入れてみるのもいいかもしれません。
一方、あまりコーヒーを多飲していると、飲むのをやめたときに頭痛が起こる事もあるようです。
また、カフェイン依存のような状態ができてしまうこともあるといわれています。
カフェインの過剰摂取による健康障害も問題視されていますので、飲みすぎない程度に活用してみましょう。
マグネシウムサプリメント
医療の現場で注目されている食品の成分として、マグネシウムがあります。
マグネシウムは神経の興奮や抑制にかかわっているミネラルです。
片頭痛を訴える人の白血球マグネシウム濃度が低かったこと、マグネシウムの経口投与により片頭痛が軽減したという報告があります。
サプリメントとしてマグネシウムを200~600㎎投与した場合に、片頭痛の予防効果がみられたということもあり、日常的に摂取することで片頭痛の起こる頻度を下げることが期待できるといわれています。
ただし、マグネシウムサプリメントを取り入れるにあたっては、以下の点に注意が必要です。
- マグネシウムの摂取推奨量を超える量の摂取での報告であること
(日本人の食事摂取基準における摂取推奨量は成人女性で270~290㎎、成人男性で320~370㎎) - マグネシウムの取りすぎは下痢の原因になること
- サプリメント等の利用では1日あたり350㎎以内にとどめるように定められていること
自己判断で取り入れるとマグネシウムの過剰摂取につながりやすいため、医師に相談してから取り入れることをおすすめします。
ビタミンB2サプリメント
マグネシウムと同様に、ビタミンB2もサプリメントの摂取によって片頭痛に効果が期待できるといわれています。
片頭痛患者の中にはミトコンドリアの機能障害が原因となっているとする場合もあると考えられていて、この場合の片頭痛の予防にビタミンB2が有効であるとする報告があります。
研究で用いられたビタミンB2は1日400㎎と、通常食事から摂取する量のおよそ400倍にもなる量で、食事からの摂取はあまり現実的ではありません。
(日本人の食事摂取基準では、ビタミンB2の1日あたりの摂取推奨量は成人女性で1.1~1.2㎎、成人男性で1.3~1.6㎎となっています)
マグネシウムとビタミンB2のいずれにしても、専門的知識のない一般の方が個人的に多量を摂取するのはおすすめできません。
食品の成分を治療の主体として考えるのではなく、医療機関を受診し、医師に相談のうえで、取り入れることも考える、というくらいのスタンスがいいでしょう。
頭痛を悪化させるダメな食べ物・飲み物
反対に、頭痛を引き起こしたり悪化させたりする食品もあるといわれています。
- 赤ワイン
- チーズ
- ベーコンなど加工肉
- アスパルテーム
- チョコレート
- スナック菓子
- うま味調味料
- カフェイン入り飲料
代表的なものは赤ワインをはじめとしたアルコール類。
お酒に含まれるアルコールや、赤ワインに含まれるポリフェノールが血管を拡張させたり収縮させたりすることで頭痛を引き起こす誘因になると考えられています。
このほか、チーズや加工肉、スナック菓子やコーヒーなど、様々なものが頭痛を引き起こす可能性があるといわれていますが、メカニズムは明らかになっておらず、その作用には個人差が大きいといわれています。
今までの経験で頭痛のきっかけになった覚えのある食べ物がある場合には、意識して避けることも必要です。
しかし一般的には頭痛の原因になるといわれている食品でも、自分の経験で特に関係ないと考えられるものに関してはさほど神経質になる必要はないといわれています。
頭痛の改善のために気をつけたいこと
慢性的につらい頭痛があるのであれば、まずは医療機関に相談することをおすすめします。
食べ物はあくまで日常生活でできる範囲の配慮に過ぎないので、その症状が深刻な場合、しっかりと治療やお薬の処方を受けることが必要です。
日常生活で意識するポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。
- ストレスや疲労をためないように十分に睡眠時間をとり、規則正しい生活を送る
- 頭痛の引き金になりうる食べ物を避ける
体に負担をかけない生活スタイルを心がけるのも大切です。
まとめ
頭痛のうち、食べ物や飲み物が関係しているものは、「片頭痛(偏頭痛)」です。
片頭痛の改善に効く食べ物・飲み物はコーヒーが代表的ですが、そのメカニズムは確固たるものではないようです。
カフェインの過剰摂取にならないように気をつけながら、適量範囲で試してみてはいかがでしょうか。
また、マグネシウムやビタミンB2など、特定の栄養素をサプリメント等から摂取することで効果が期待できる場合もあるようです。
ただし、通常の食品摂取よりも多量の摂取になるため、自己判断での摂取は避け、医療機関に相談してから取り入れると安心です。
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参考文献 一般社団法人 日本頭痛学会:慢性頭痛の診療ガイドライン2013 一般社団法人 日本頭痛学会:大脳皮質拡延性抑制と片頭痛発生の連続性を説明する新しいパラダイム 武井 和夫,島津 邦男.特集 慢性頭痛:診断と治療の進歩トピックスII.片頭痛6.予防薬の使い方 日本内科学会雑誌 第90巻 第4号・平成13年4月10日 坂井 文彦.特集:内科-100年のあゆみ(神経)診療ガイドラインレビュー2.頭痛 慢性頭痛の治療ガイドライン(2002年版)-日本神経学会治療ガイドライン特別委員会 日本内科学会雑誌 創立100周年記念号 第91巻 第8号・平成14年8月10日 |