寒い時期、冷え性に悩む女性は多いのではないでしょうか?
手足から全身まで冷え切ってしまうと、顔色も悪く体調も崩しがちに。
冷え性の原因は寒さだけでなく、血行不良や運動不足など、熱を生み出しにくい体にあるかもしれません。
この記事では冷え性のメカニズムとすぐにできる対処法、体質改善に役立つ食事のレシピを紹介します。
Contents
冷え性とは
冷え性は、外気温が低い状態でなくても手足などが冷たく、寒さを感じている状態のことです。
自覚症状としては以下のようなものが挙げられます。
- 手足の先が冷たい
- 体が冷えてこわばる
- 顔色が悪い
- 肩こりや頭痛
冷え性がひどくなると、以下のような影響が現れることが考えられます。
- 体温低下による免疫細胞の機能低下で感染症にかかりやすくなる
- 内臓の冷えで便秘や下痢になりやすくなる
- 冷えで眠れなくなることによる倦怠感や不調が起こりやすくなる
- 体温産生が少なく、エネルギー消費が少ないため太りやすくなる
手足の冷えだけでもつらいのに、その上感染症にかかってしまったり太ってしまったりといった影響は避けたいものです。
冷え性のメカニズムを知り、根本から改善していきましょう。
冷え性の原因
冷え性がおこる原因は大きく分けて3つです。
- 体温を作れない(体熱産生の低下)
- 体温が末端まで運ばれない(血流が悪い)
- 気温と体温のバランスをとる働きが弱っている(自律神経の乱れ)
このほか、特定の病気の症状として冷えを感じる場合があります。
それぞれの原因について詳しく解説します。
体熱産生の低下
筋肉が少ない、食事が少ないなどにより体が体温を作り出せなくなると、冷え性の原因になります。
筋肉はエネルギーを消費して体温を作る機能を持ちます。
対して、脂肪は保温の機能はあるもののそれ自体は熱を作り出すことはできません。
特に女性は男性に比べて筋肉が少なく、脂肪が多い体つきになっています。そのため、女性では作り出す熱量がもともと少ないというのが、冷え性が女性に多い原因のひとつといえます。
さらに、やせ形の女性では保温機能を持った脂肪組織も少ないので、どんどん冷えていってしまうのです。
さらに、食事を制限するダイエットを行っていると、体温を作るエネルギーが不足することから冷え性がおこることも考えられます。
また、冷たい食べ物や飲み物を飲む機会が多いと、内臓から体温を奪われてしまい、冷えの原因となります。
血流が悪い
低血圧や筋肉量が少ない事、運動不足などによって血流が悪いと冷え性の原因になります。
血液には酸素や栄養素以外にも、体温を全身に運ぶ役割も持っています。
血流が悪くなって血液が体の先まで届かなくなると、手足などの末端が冷えることにつながります。
さらに、体温が下がると体は中心部の体温を維持するため、血管が収縮してさらに血流量が減ってしまいます。
よって、さらに手足が冷えてしまうという悪循環に陥ってしまいます。
血流が悪くなることで老廃物がたまりやすくなり、冷えが原因となってむくみや肩こり、頭痛などの症状が出ることもあります。
血液の流れが悪くなる要因としては、まず血圧が低く血流が弱いことや、体温が低いことがあげられます。
また、心臓から遠い位置にある血管では筋肉の動きが血液の流れを助けています。
しかし筋肉の量が少なかったり、運動量が少なかったりすると血液を流すポンプ機能が弱く、血行不良になりやすいといえます。
その他にも、締め付けの強い衣類を身に着けていると、その部分が圧迫されて血流を阻害する場合があります。
これらの要因はやはり女性に多くみられるもので、女性が冷えやすい原因の一つと言えるでしょう。
自律神経の乱れ
ストレスや寒暖差によって自律神経が乱れると、体温調節の異常から冷え性につながることが考えられます。
自律神経とは、体内で私たちが意識的にコントロールできない内臓の動きや血管などの制御を行っている神経を指します。
自律神経は気温などの情報を受けて体温調節をしたり、体が緊張状態になると血圧をあげたり、反対にリラックスしているときは胃腸などの働きを高めたりといった調節を行っています。
強いストレスや寒暖差の大きい環境にいると自律神経が乱れることがあり、体の調節機能に異常をきたします。
自律神経が乱れた状態では寒いのに体温をあげる機能が働かず、冷え症の症状が出る人もいます。
その他の病気
また、甲状腺機能低下症などの疾患が原因となって冷えが起こっている場合もありますので、あまりにも冷え性がつらい場合は医療機関の受診をおすすめします。
自律神経の乱れもあまり大きくなると自律神経失調症といって医療機関での受診と治療が必要となります。
冷え性改善に効く食べ物・飲み物とは
食べ物から冷え性を改善するにはどんな点に気をつけるべきでしょうか?
栄養面から考えると、以下のような栄養素を含む食品が望ましいでしょう。
- エネルギー源になる食べ物
- タンパク質を含む食べ物
- ビタミンB群を含む食べ物
- 温かい食べ物・飲み物
それぞれの詳しい内容と具体例を紹介します。
エネルギー源になる食べ物
体温をつくるにはエネルギー(カロリー)が必要です。
エネルギー源となる栄養素には糖質(炭水化物)、脂質、たんぱく質があります。
それぞれの栄養素を多く含む代表的な食品の具体例を挙げると以下のようになります。
- 糖質…ごはん、パン、麺などの穀類、砂糖、芋類など
- 脂質…油脂類、肉・魚・ナッツ類
- タンパク質…肉や卵、魚、大豆製品
カロリーの高い食品はダイエットの観点から避けられがちですが、冷え性改善のためには不足しないようにとりましょう。
たんぱく質を含む食べ物
体の中で体温をつくる筋肉の主成分はたんぱく質です。
また、たんぱく質はエネルギー源になる栄養素でもあるため、特に意識してとりたい栄養素です。
- 肉類
- 魚介類
- 卵
- 大豆製品
- 乳製品
これらの食品は必須アミノ酸を豊富に含む食品です。
毎食手のひら1枚分程度は確保するようにしましょう。
ビタミンB群を含む食べ物
ビタミンB群はエネルギー代謝にかかわる栄養素です。
例えば糖質のご飯だけを食べていても、糖質をエネルギーに変えるためのビタミンが足りなくなり、体温上昇にはつながりにくいです。
そのため、食事から得た栄養素を効率よくエネルギーに変えるには以下のようなビタミンを多く含んだ食品を取り入れることが重要です。
- ビタミンB1…糖質のエネルギー代謝にかかわり、豚ヒレ肉など赤身の肉に多い
- ビタミンB2…脂質のエネルギー代謝にかかわり、レバー、うなぎ、卵や納豆に多い
- ビオチン…三大栄養素のエネルギー代謝に必須で、レバー、卵、ナッツ類に多い
- パントテン酸…三大栄養素のエネルギー代謝に必須で、レバー、納豆、卵に多い
- ナイアシン…三大栄養素のエネルギー代謝に必須で、たらこ、煮干し、青魚、鶏肉に多い
温かい食べ物・飲み物
あたたかい食事は体をダイレクトに温めてくれます。
体の中が温まると、熱を放出するために血管が拡張するので、手や足の先まで熱が届きやすくなることが考えられます。
薬膳やスパイスの効果
冷え性改善のために体を温める食材として、薬膳の考え方やスパイスが挙げられることがありますが、科学的な効果は証明されていません。
科学的な立ち位置を理解しつつ、補助的なものとして取り入れるのがおすすめです。
薬膳と西洋医学は分けて考える
「薬膳」の考え方は、食材ごとの採れる地域や季節、色などで食材を分類し、体を温めるものや冷やすものに分けるものです。
薬膳の考え方は、科学的な成分の効能を根拠とする一般的な栄養学とは異なるため、ここで紹介することは控えます。
薬膳の考え方のうち、スパイスに属するものは栄養学で研究されているものも少なくありません。
ショウガやトウガラシなどの効果については次に紹介します。
スパイスの辛味成分は味覚に作用する
ショウガや唐辛子といった香辛料・スパイス類は辛味によって熱く感じているため、体を温めるものとして考えられていますが、実はすべてが科学的に立証されているものというわけではありません。
唐辛子の辛み成分であるカプサイシンは口の中の温度を感じる器官に作用し、温度や体温が高くないにもかかわらず「熱い」感覚を引き起こします。
そのため、体温は高くないにもかかわらず、唐辛子を食べたことによって汗をかくということが起こります。
汗をかくときに皮膚の血管が拡張するために冷えが一時的に改善されることが予想されますが、汗が蒸発することでそもそも高くなかった体温がさらに低下するということもあります。
一方で、唐辛子のカプサイシンは熱産生を促進する作用ももちますが、辛味から汗をかく反応とは別のルートで起こる現象であるため、唐辛子を食べることが必ずしも体を温めることにはならないとも言えます。
また、冷え性の女性を対象にショウガの抽出物を摂取してもらった実験では、脈拍の増加は見られたものの手や足先の表面温度などには影響がなかったそうです。
体温には直接的な効果はなくとも、「あたたかくなったように感じる」という点では冷え性のつらさは多少和らぐかもしれません。
根本的な解決にはなりませんが、つらさを和らげる目的で取り入れるのがいいかもしれませんね。
冷え性対策レシピ
冷え性改善のため、簡単に作れてすぐに温めてくれる温かい飲み物のレシピと、スタミナ満点で熱を生み出す体づくりに役立つごはんもののレシピを紹介します。
しっかり食べて冷えしらずの体を目指しましょう!
手作りマサラチャイ
【材料】2人分
- 紅茶(粉末状がおすすめ)…5~10g(ティーバッグ2~4袋)
- 水…100ml
- 生姜(薄切りかすりおろし)…1~2枚または1/2かけ分(10g程度)
- 牛乳…400ml
- 砂糖…5~20g
- シナモンパウダー…少々(3~5振り)
【作り方】
1. 小鍋に生姜と水を入れ、火にかけて煮立たせる。
2. 紅茶を入れて2~3分煮出す。
3. 牛乳を加えて沸騰させないように温める。
4. 砂糖とシナモンパウダーを好みの味になるように加える。
5. 必要があれば茶こしで濾してカップに注ぎ入れる。
【栄養価とコメント】
1人分150~180kcal
紅茶・砂糖・生姜・シナモンパウダーはお好みに合わせて調節してください。
ティーバッグのまま煮出すと濾す必要がなくて簡単ですが、袋から出したほうが茶葉がしっかり煮出されます。
生姜はスライスに比べてすりおろしたほうが風味が強く出ます。
また、おすすめは生の生姜ですがチューブでも作ることができます。
繊維質が気になるときは絞り汁だけ入れるか、煮出した後に茶こしで濾してください。
もっと手軽に作りたいときはあらかじめスパイスが入ったチャイ用のティーバッグも便利です。
牛乳と甘めの味付けでエネルギーを補充しつつ、体をあたためるメニューです。
マサラチャイはもともと様々なスパイスを組み合わせるものなので、生姜やシナモン以外にも、好みの組み合わせを見つけるのもいいですね。
電子レンジキーマカレー
【材料】2人分
- 豚ひき肉(赤身)…150g
- 玉ねぎ(みじん切り)…1/2個(100g)
- パプリカ(みじん切り)…1/2個(60g)
- しめじ(みじん切り)…1/2株(100g)
- にんにく(みじん切り)…ひとかけ(5g)
- 生姜(みじん切り)…ひとかけ(10g)
- ケチャップ…20g
- カレールー(刻む)…40g(2ブロック)
- 薄力粉…小さじ2(6g)
- 水…80ml
- ごはん…300g
- 温泉卵…2個
【作り方】
1. 耐熱のボウルにみじん切りした野菜とひき肉、調味料、水をすべて加えて混ぜ合わせる。
2. ボウルにふんわりラップをかけて600wの電子レンジで5分加熱し、一度かき混ぜてさらに5分加熱する。
3. お皿にご飯を盛り、カレーと温泉卵を盛り付ける。
【栄養価とコメント】
- 1人分…686kcal
- タンパク質…28.4g
- 鉄分…3.2g
- ビタミンB1…0.72g
- ビタミンC…51㎎
豚ひき肉と卵で鉄分とたんぱく質をしっかりとり、カレーのスパイスで体を温めるメニューです。
にんにくのアリシンという成分は豚肉に含まれるビタミンB1の吸収を助け、糖質であるごはんをエネルギーに変える後押しをしてくれます。
電子レンジで簡単に調理できるので、具材をアレンジしたりしていろいろなパターンで楽しんでみてくださいね。
食事以外の冷え性対策
食事以外では、単純に冷えた部分(または全身)の温度を上げるようにしてみましょう。
冷えた手足を覆う衣類を身に着けたり、入浴やマッサージを行ったり、筋肉を動かす運動をすると体温をあげることができます。
また、自律神経を整えるために、リラックスできる環境を整えましょう。
体を動かす
運動によって体を温めることや筋肉をつけることが血行改善には有効です。
運動をすると血圧が上がるため、血液の流れがよくなります。
また、この時に産生した熱を逃がさないように、汗をしっかり拭いたり、あまり薄着にならないようにしたりしましょう。
長期的な改善法としては、筋肉量を増やすために十分な量のたんぱく質を摂取しつつ筋トレを行うなども冷えにくい体づくりに有効でしょう。
マッサージや入浴
運動以外に、マッサージや入浴も血行促進に効果的です。
足湯などで局所的に温めつつ、軽いマッサージなどで血流を改善することで全身に熱を伝えることができます。
寒暖差を避ける
自律神経の乱れの原因はさまざまなストレスですが、このうち対処しやすいストレス要因のひとつは寒暖差です。
外気温と室温の差が大きいときは、衣類で調節できるように衣類を用意しておくといいですね。
自律神経の乱れに関しては、明確な原因がわかりにくく、さらに個人によって異なることからも、はっきりとした対処法が提示しにくいといえます。
普段の生活から肉体的・精神的負担をなるべく減らすようにしてみましょう。
締め付けの少ない、ゆったりとした服装を心がけるのも大事なポイントです。
まとめ
食事に加えて、体を冷やさないようにする生活習慣も重要です。
薄着を避けて体の熱を逃がさないようにし、体を動かす習慣を作りましょう。
入浴もなるべく湯船にゆっくりつかるようにして、睡眠時間を十分にとって自律神経を整えるようにしましょう。
これを機会に、体全体をいたわる習慣をつけたいですね。
【おすすめ】冷えの改善には運動も効果的!運動習慣作りにヨガスタジオ・オンラインヨガの活用がおすすめです!
おすすめのヨガスタジオ・オンラインヨガを紹介するページはこちら
参考文献 吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010. |