世間では広く、「美肌といえばコラーゲン」といったイメージが定着していますね。
一方で、食べるコラーゲンには意味がないとする説も。
この記事では、美肌作りをしたい方に向けて、コラーゲンとはそもそもどんなものか、コラーゲンをとることによる美肌効果について解説します。
美肌のためにどのような点を意識すべきかについても解説していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
Contents
コラーゲンとは
コラーゲンはたんぱく質の一種であり、体内では皮膚をはじめとする全身に存在する成分です。
食品では動物性食品のほか、ゼラチンとして加工食品にも含まれています。
それぞれの内容について、詳しく解説します。
タンパク質の一種
コラーゲンはたんぱく質の一種です。
たんぱく質は複数のアミノ酸から成り立つ物質で、アミノ酸が多数つながった鎖のような形をしています。
このうち、コラーゲンは3本のたんぱく質の鎖がらせん状になった構造をしています。
コラーゲンを含む「たんぱく質」や「ペプチド」は20種類のアミノ酸からできています。
たんぱく質の種類の違いはアミノ酸の組み合わせやつながり方の違いによるものです。
コラーゲンは以下のアミノ酸からできています。
- グリシン
- プロリン
- ヒドロキシプロリン
- リシン
- ヒドロキシリシン など
体内では皮膚、骨、軟骨、血管に存在する
ヒトの体に存在するコラーゲンは皮膚をはじめとして、骨、軟骨、血管などに存在します。
全身に存在するコラーゲンは28種類に分類されており、それぞれに構造や性質、存在する場所も異なります。
コラーゲンは皮膚を構成する成分のひとつとして、「真皮」と呼ばれる部分に存在します。
コラーゲンは細胞と細胞の隙間を埋めるように存在し、皮膚の弾力性や柔軟性を保っています。
コラーゲンを含む食べ物
コラーゲンは肉類や魚類など、動物性食品に含まれています。
具体的には、以下のような食品に含まれています。
- 鶏の皮、手羽先
- ふかひれ
- 牛すじ
- 魚の皮
コラーゲンは食品に含まれるそのままの形では消化吸収されにくいことが分かっています。
コラーゲンを加熱分解すると消化吸収されやすい「ゼラチン」の構造に変わります。
(鶏肉や牛すじなど、加熱して食べる食品のコラーゲンはゼラチンの形でとることになります。)
ゼラチンはゼリーや煮こごりのプルプルとした食感の本体です。
コラーゲン鍋などの一般的な食品に入っているコラーゲンはおおむねゼラチンであると考えて問題ないでしょう。
コラーゲンの美肌効果とは?
そもそも、美肌とコラーゲンにはどのような関係があるのでしょうか?
コラーゲンの生成量は加齢によって減ることが分かっており、美容の分野では「食事から補いましょう」といったことがよく言われています。
体内で生成量が減るのであれば、体の外から取り入れましょう、という理屈ですが、食べ物からとったコラーゲンがそのまま、穴を埋めるように補われるわけではありません。
食事からとったコラーゲンの効果について解説します。
肌へ直接の効果はない
コラーゲンを含むタンパク質はそのままの形では大きすぎて吸収できないため、胃や腸の中で消化を受け、比較的小さいペプチドやアミノ酸といった形で血液中に吸収されます。
そのため、吸収された段階では「コラーゲン」としての構造は失われています。
よって、単純にコラーゲンを食べたとしても、そのまま吸収されてコラーゲンのまま体の一部になるわけではありません。
体内では必要なたんぱく質が必要な分だけ作られていますので、食事から摂取したコラーゲン(または分解後のペプチドやアミノ酸)は体内のコラーゲンの材料として使われることもあれば、コラーゲン以外のたんぱく質に作り変えられることもあります。
また、コラーゲンを構成するアミノ酸は人の体内で作り出すことができる「非必須アミノ酸」であるため、体内で合成が可能です。
加齢によって生成するコラーゲンが減っているからと言ってコラーゲンを食べる必要があるわけではなく、また、食べれば補えるとも言えないのです。
アミノ酸スコアは低い
消化吸収によってたんぱく質の鎖が小さくカットされた状態でも、構成成分である「アミノ酸の種類と数」は変わらないため、たんぱく質の種類によって吸収されるアミノ酸の内容には違いが出てきます。
たんぱく質の栄養価を表す指標として、「アミノ酸スコア」というものがあります。
これは人が体内で作ることのできない必須アミノ酸を、どれだけバランスよく含んでいるかを表します。
一般的に、肉類、魚類、卵類、大豆製品は、コラーゲンも含めた様々なたんぱく質が組み合わさってできている食品で、必須アミノ酸を十分に含むためアミノ酸スコアは「100」となっています。
一方で、「コラーゲン」はたんぱく質のうち1種類を指します。
コラーゲンには一切含まれていない必須アミノ酸が存在するため、アミノ酸スコアは「0」になってしまいます。
たんぱく質の摂取源として考えた場合、コラーゲンそのものは栄養価が低いものといえます。
コラーゲン摂取以外の影響
コラーゲンそのものに肌の調子を整える作用があるとは言えないものの、コラーゲンの多い食品を食べた翌日、お肌の調子がいい!といった話はよく聞かれます。
しかし、肌細胞のターンオーバーには28日かかるため、摂取したコラーゲン由来のアミノ酸が翌日には肌の表面に変化をもたらすとは考えにくいといえます。
コラーゲンを食べたことによる肌の変化は科学的に解明されている現象ではなく、コラーゲン摂取以外の要素による可能性も否定できません。
- 「効果があるはず」と考えることによるプラセボ効果
- コラーゲンを食べた日には、効果を高めようといつも以上にスキンケアを丁寧に行ったりすることなどの効果
コラーゲンペプチドとその効果
コラーゲンペプチドはサプリメント等に利用されるコラーゲンの一種を指します。
通常の食品からとるコラーゲンよりも美肌効果が得られやすいと考えられていますが、サプリメント等からの摂取では美肌に効果はあるのでしょうか?
コラーゲンペプチドの概要と現時点での美肌効果について解説します。
低分子化されたコラーゲン
コラーゲンペプチドはコラーゲンやゼラチンを加水分解で細かくしたもので、アミノ酸のつながりが2~100以下のペプチドの混合物です。
コラーゲンペプチド以外に、低分子コラーゲンと呼ばれることもあるようです。
コラーゲンペプチドは完全にアミノ酸単位に分解するのではなく、コラーゲンの特長を残しつつ吸収されやすいかたちになっているのが特徴です。
このコラーゲンペプチドが形を保ったまま吸収されることで、体内コラーゲンの材料としてではなく、体内でのコラーゲンの合成を促進することができるのではないか?といった研究がすすめられています。
サプリメントやコラーゲンドリンクに含まれる
健康食品に含まれるコラーゲンの多くはこの「コラーゲンペプチド」です。
コラーゲンを含む健康食品には、以下のような形態があります。
- サプリメント(粉末)
- サプリメント(錠剤)
- コラーゲンドリンク
健康食品に使われるコラーゲンはブタ皮や鶏軟骨、魚ウロコ由来のものが一般的です。
美肌効果は研究途上
コラーゲンペプチドが肌に与える効果やそのメカニズムは、食品由来のコラーゲンと同様に、いまだしっかりとは解明されていません。
しかし、健康食品やサプリメント業界では、分解して低分子化したコラーゲンペプチドには確固たる美肌効果があるように紹介されていますが、正確ではありませんので注意しましょう。
コラーゲンペプチドが体内でのコラーゲン合成を高める可能性を示す実験はあるものの、試験管内でマウスの細胞を使ったものであったり、人での研究でも可能性が示されたのは関節でのコラーゲン合成についてだったりと、人の皮膚でのコラーゲン合成が促進されたとはっきり示す研究結果は出ていません。
現時点では、「コラーゲンが美肌につながるのか」「どのくらいの量を、どのくらいの期間摂取すれば効果が出るのか」といった具体的なことは何もわかっていません。
そのため、わざわざサプリメント等からコラーゲンを摂取する意味はあまりないといえそうです。
皮膚でのコラーゲン合成はいまだ未知数である一方で、コラーゲンペプチドを4週間にわたって継続摂取することで皮膚の水分量が増えたといった、美肌に関連する研究結果もあるため、今後研究が進めばコラーゲンペプチドの肌への機能が見つかるかもしれません。
美肌作りのために気をつけたいポイント
美肌と言えばコラーゲンというイメージが強いですが、コラーゲンそのものだけを補うだけでは必ずしも美肌を手に入れられるわけではないようです。
美肌作りのためには、食事を含めた生活全体の見直しが大切です。
たんぱく質の摂取
健康な皮膚をつくるために、皮膚の弾力を保つコラーゲンだけではなく、十分な量のたんぱく質(アミノ酸)を摂取しましょう。
たんぱく質は皮膚をはじめとする全身の細胞の主成分となる栄養素で、様々な食品に含まれています。
特に以下のような動物性食品は必須アミノ酸を十分に含んでいるため、たんぱく質の栄養価が高い食品といえます。
- 肉類
- 魚介類
- 卵
- 牛乳・乳製品
- 大豆製品
現代日本人の通常の食生活においては、たんぱく質が不足することは考えにくいものの、肉や魚などの摂取が少ない食生活では、いくらコラーゲンをとっていても必須アミノ酸が不足してしまいます。
毎食、自分の手のひら1枚分程度のお肉やお魚、卵などを取り入れるようにするといいですね。
たんぱく質について詳しく解説した記事はこちら
ビタミンCの摂取
美肌のために、ビタミンCを含む野菜や果物を積極的に摂るようにしましょう。
ビタミンCは体内でコラーゲンを合成するときに必要になる栄養素です。
コラーゲンのもととなるアミノ酸が体内にあったとしても、ビタミンCが不足した状態ではコラーゲンは十分にはつくられなくなってしまいます。
ビタミンCは主に果物や野菜に含まれます。
野菜は1日350g、生の状態で両手に1杯くらいの量が食べられると理想的です。
果物は1日200g、1日のどこかで食べられるとよいでしょう。
ビタミンCを多く含む食品について詳しく解説した記事はこちら
規則正しい生活と肌のケア
皮膚の状態の変化というのは、加齢によるコラーゲンの減少だけによって起こるわけではなく、さまざまな要因が肌の状態に変化をもたらすことが知られています。
- 皮脂の増減
- 乾燥
- 紫外線
- 睡眠不足
肌を健康に保つために、コラーゲンだけに頼るのは得策ではありません。
以下のような肌のケアや生活スタイルを整えることも大切です。
- 適切な洗顔
- 保湿
- 紫外線を避ける
- 十分に睡眠をとる
まとめ
コラーゲンはたんぱく質の一種であり、皮膚の弾力性を保ち美肌の一要素ではあるものの、食事や健康食品等から摂取することで肌の状態を良くするとは言えないようです。
肌の健康にかかわるものはコラーゲン以外にもあり、たんぱく質やビタミンCの摂取、肌のケアや規則正しい生活も大切です。
健康食品から摂取するコラーゲンに関しては、偏った食事を避け、保湿や紫外線対策で外的なダメージを防ぎ、十分に睡眠をとるといったような、毎日の心がけのひとつとして、期待しすぎない程度に取り入れるのがちょうどいいのかもしれません。
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参考文献 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報「コラーゲン」 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報コラム「コラーゲン」 明治大学科学コミュニケーション研究所 疑似科学とされるものの科学性評定サイト:「コラーゲン」 君羅 好史、真野 博.コラーゲンペプチドの食品機能性.日本食生活学会誌,Vol.25 No.1(2014) 大原 浩樹, 伊藤 恭子, 飯田 博之, 松本 均.コラーゲンペプチド経口摂取による皮膚角層水分量の改善効果.日本食品科学工学会誌,56巻 3号(2009) Effect of Prolyl-hydroxyproline (Pro-Hyp), a food-derived collagen peptide in human blood, on growth of fibroblasts from mouse skin.Shigemura Y, Iwai K, Morimatsu F, Iwamoto T, Mori T, Oda C, Taira T, Park EY, Nakamura Y, Sato K.J Agric Food Chem. 2009 Jan 28;57(2):444-9 吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010. |