特定健康診査の数値基準

特定健康診査の数値基準

内臓脂肪の蓄積に着目したときの健康リスクの高い人(メタボリックシンドロームの人とおおむね同じ意味)を見つけるための健康診査であり、「メタボ健診」とも呼ばれる特定健康診査。
特定健診において問題となる健診項目にはどんなものがあり、リスクが高いとされる数値の基準はどこにあるのでしょうか?

特定健康診査のメタボの基準

特定健康診査においてリスクの階層化に用いられる項目と数値

特定健康診査においてリスクの階層化に用いられる項目と数値

内臓脂肪蓄積

腹囲:男性 85cm以上、 女性 90cm以上
 または
腹囲は基準以下だがBMIが25㎏/m2以上

解説

腹部CTスキャンによって測定される腹腔内脂肪面積(いわゆる内臓脂肪面積)が100㎠を超えると、高血圧、脂質異常症、高血糖といったリスクファクターを持つ数が増えることが報告され、ひとつのボーダーラインとなっています。
内臓脂肪面積100㎠に対応するものとして、腹囲を測定します。

血圧

血圧

収縮期血圧130㎜Hg以上 または 拡張期血圧85㎜Hg

解説

血圧とは血管の内側の圧力のこと。血圧が高いと血管に負担をかけてしまい、硬く、弾力性が失われていくため、動脈硬化性疾患のリスクを高めます。

血中脂質

血中脂質

中性脂肪150㎎/dL以上 または HDLコレステロール40㎎/dL未満

解説

血管壁にコレステロールが沈着し、詰まりやすくなった状態も動脈硬化といいます。血中の余分なコレステロールを回収するHDLコレステロールが少なく、中性脂肪が多いと、動脈硬化を進行させてしまいます。

血糖値

血糖値

空腹時血糖(やむを得ない場合は随時血糖)100㎎/dL以上 または
HbA1c(NGSP値)5.6%以上

解説

通常、食後に上がり空腹時には下がる血糖値が高いままだと、血管にダメージを与え、動脈硬化を進行させます。その他、糖尿病が進行すると様々な合併症を引き起こします。

喫煙習慣

喫煙習慣

質問票より喫煙歴がある

解説

たばこの成分は血管にダメージを与え、また、血の塊(血栓)を作りやすくなり、動脈硬化の原因の一つとなります。

 

内臓脂肪蓄積+追加リスクの数によって階層化される

特定健康診査では、内臓脂肪の蓄積に加え、血圧、血糖値、血中脂質、喫煙の追加リスクの数によって「特定保健指導」の対象となるかどうか、また、どのレベルの支援を受けるかの階層化が行われます。

補足:特定健診の数値はメタボ基準の元祖となる数値とは少し異なる

特定健康診査は「メタボ健診」とも呼ばれ、特定健診に引っかかった人はメタボリックシンドロームである…と考えてほぼ問題ありません。
しかし、本来のメタボリックシンドロームの定義とは微妙に異なる点もあります。

メタボリックシンドロームの定義

日本でのメタボリックシンドロームの定義は、日本内科学会をはじめとする複数の医学系学会が合同で策定したものです。

内臓脂肪蓄積:ウエスト周囲径 男性85cm以上 女性90cm以上
に加え
血中脂質:高TG血症 50㎎/dL以上 かつ/または 低HDL-C血症 40㎎/dL未満
血圧:収縮期血圧 130㎜Hg以上 かつ/または 拡張期血圧 85㎜Hg以上
血糖値:空腹時血糖 110㎎/dL以上
のうち2項目以上

*CTスキャンなどで内臓脂肪量測定を行うことが望ましい。
*ウエスト径は立位・軽呼気時・臍レベルで測定する。脂肪蓄積が著明で臍が下方に偏位している場合は肋骨下縁と前上腸骨棘の中点の高さで測定する。
*メタボリックシンドロームと診断された場合、糖負荷試験がすすめられるが診断には必須ではない。
*高トリグリセライド血症・低HDLコレステロール血症・高血圧・糖尿病に対する薬剤治療を受けている場合は、それぞれの項目に含める。
*糖尿病、高コレステロール血症の存在はメタボリックシンドロームの診断から除外されない。

BMIや空腹時血糖、HbA1cなど、異なる点がある

特定健康診査の基準と異なる点としては、BMI・HbA1cの基準値がないこと、空腹時血糖の基準値が異なること、喫煙習慣が基準に含まれないことが挙げられます。

特定健康診査のほうが本来のメタボリックシンドロームの診断基準よりも項目が多く、やや厳しいものとなっている、といえそうです。