- 睡眠不足は肥満や生活習慣病のもと、肥満から睡眠不足が起こることも
- 睡眠不足が生活習慣病リスクを高める仕組み
- 肥満が原因となって睡眠不足になる場合も
- 睡眠不足を解消し、睡眠の質を高めるためのポイント
- 生活習慣改善のひとつとして、睡眠を見直してみては?
生活習慣病の原因となる生活習慣というと食事内容や運動不足の問題が代表的ですが、睡眠の問題も原因のひとつであり、さらに、肥満などによってもたらされる不調のひとつでもあります。
睡眠と生活習慣病の関係を知り、生活習慣の改善を始めてはいかがでしょうか?
睡眠不足は肥満や生活習慣病のもと、肥満から睡眠不足が起こることも
睡眠不足は生活習慣病のリスクと関連する
睡眠時間が6時間未満の人は、6~8時間の人と比較して早く亡くなる確率が12%高くなることが報告されています。
また、生活習慣病に関連しては、睡眠時間の短い人では肥満や高血圧、高コレステロール血症や2型糖尿病などが多い傾向があることが知られています。
このように、睡眠と健康は相互に関係しあっています。
生活習慣病に関しては、睡眠不足や不眠の解消により生活習慣病発症の予防につながる可能性が期待されています。
睡眠不足は「生活習慣の乱れ」のひとつ。肥満の原因や肥満の結果となる場合もある
不規則な食事や運動不足と同様に、睡眠不足も生活習慣の乱れといえます。
長時間勤務をはじめとした生活習慣を乱しやすい生活状況では、偏った食事や運動不足に加えて睡眠不足も起こりやすくなっており、睡眠不足を自覚している場合には、そのほかの生活習慣上の問題を伴っていることが考えられます。
睡眠不足は生活習慣の乱れを反映するひとつのバロメーターとしてとらえることもできそうです。
また、不規則な食事や運動不足が原因となる肥満が原因となって睡眠時無呼吸症候群を起こしている場合、肥満の原因としてではなく、肥満の結果として睡眠不足が起こることもあります。
睡眠不足が生活習慣病リスクを高める仕組み
睡眠不足は生活習慣病の発症と関連することが分かっています。
どのような仕組みで生活習慣病リスクが高くなるのか、見ていきましょう。
睡眠不足により食欲関連のホルモンバランスが変化、肥満になりやすくなる?
睡眠不足によって食欲を調節するホルモンの分泌が乱れ、食欲を抑えるレプチンは減少、食欲を高めるグレリンは増加することが分かっています。
このホルモン分泌の変化により食欲が増加、食事量が増えたことにより肥満になると、生活習慣病リスクを高めることにつながります。
睡眠不足は糖代謝や血圧に影響を及ぼす
食欲の変化から肥満につながりやすくなるほか、睡眠不足が体内での糖代謝や血圧に対して直接与える影響もあります。
睡眠時間が4時間の人では、睡眠時間が8時間の人と比較してインスリン(血糖値を下げるホルモン)の効きが悪く、インスリン感受性が20~25%低下することが報告されています。
また、睡眠不足の人では高血圧の発症率が2倍となるほか、高コレステロール血症、2型糖尿病になる人が多い傾向があります。
睡眠不足につながる生活習慣は肥満になりやすい生活習慣ともいえる?
このほか、睡眠不足を引き起こしやすい生活スタイルは、生活習慣病リスクの高い不規則な食事や運動不足なども引き起こしやすいものと考えられそうです。
例えば、残業が多く帰宅時間が遅いために睡眠不足になりやすい人では、
- 残業のために夕食が遅くなる
- 多忙のために短時間で食べられるどんぶりものなどの野菜の少ない食事になる
- 睡眠不足によって朝食を抜かしがちになる
- 疲れが残るために身体活動がすくなくなる
…といった生活の状況が想像できます。
このように、睡眠不足の状態では、食事や運動の問題も伴っていることが予想されます。
肥満が原因となって睡眠不足になる場合も
寝つきが悪かったり、眠りが浅かったりして、十分な睡眠の量や質が確保できないと、日中の生活に支障が出ることも。
睡眠不足は肥満の原因の一つになりますが、反対に、睡眠の質の低下に肥満がかかわっている可能性も考えられます。
生活習慣を整えて肥満を解消することで睡眠の質が向上し、日中の生活の質が改善されるかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に何度も呼吸が止まってしまう疾患で、肥満や高血圧・糖尿病などに合併して起こることが多いとされています。
昼間の眠気、睡眠の充足感がない、激しいいびきや窒息感がある場合には、睡眠時無呼吸症候群が疑われるかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群は睡眠の質を下げて日中の生活に影響するほか、脳・心臓・血管に負担をかけ、メタボリックシンドロームと同様に循環器系疾患のリスクを高めることが知られています。
肥満の解消で睡眠の質の向上
睡眠時無呼吸症候群で睡眠の質が低下していた場合、減量によって症状の改善が期待できます。
そのため、生活習慣病リスク低下のためだけでなく、食事や運動の見直しなどの生活習慣の改善は質の高い睡眠・日中の生活の改善にとっても重要なポイントとなります。
睡眠不足を解消し、睡眠の質を高めるためのポイント
では、心身の健康を保つための十分な睡眠とはどのくらいの時間が必要なのでしょうか?
質の高い睡眠にするためのポイントと合わせて紹介します。
目標は7時間以上
十分な睡眠のためにはある程度の睡眠時間が必要で、最低でも7時間以上は確保したいところです。
睡眠時間が5時間未満になると、生活習慣病のリスクが高まるほか、心の健康にもよくないとされています。
朝食と適度な運動習慣
朝食は朝の目覚めを促して生活リズムを整えるはたらきがあります。
また、適度な運動習慣は寝つきを改善し、夜中の途中覚醒を減らすことが示されています。
- 朝食の効果?
- 適度な運動習慣とは
就寝前のポイント
就寝前はスムーズな入眠と深い眠りのために重要な時間帯です。
覚醒作用のあるカフェインや喫煙、激しい運動、夜食の摂取は避けましょう。
カフェインは利尿効果で夜中に目が覚める原因にもなりますし、喫煙は睡眠を浅くすることがわかっています。
アルコールは一時的に入眠を促進しますが、中途覚醒が増えて睡眠が浅くなり、熟睡感が得られなくなるのでお勧めしません。
質の良い睡眠のためには夜更かしせず、リラックスして過ごすのが重要です。
ただし、必要以上の長時間を寝床で過ごすのは睡眠を浅くしてしまうことがあるので、気を付けましょう。
生活習慣改善のひとつとして、睡眠を見直してみては?
睡眠不足は生活習慣の乱れを招き、肥満によってさらに睡眠の質が下がってしまう…といった悪循環に陥りやすいポイントといえるかもしれません。
生活習慣を変えるのは簡単ではありませんが、睡眠の改善による体調の変化は効果を感じやすいポイントなのではないでしょうか?
質の良い睡眠によって毎日を元気に過ごすことを目標に、生活習慣全体の改善を始めてみてはいかがでしょうか?