生活習慣病予防のための身体活動とは

生活習慣病予防のための身体活動とは

身体活動とは

定義

「身体活動」とは、安静にしている状態よりも多くエネルギーを消費するすべての動作を指します。
スポーツや筋力トレーニングなどの運動だけではなく、通勤や家事、仕事などの日常生活で体を動かすことも含まれています。

スポーツ以外の日常生活動作も身体活動に含まれる

日本人は身体活動不足ぎみ?

国民の健康づくり運動である「健康日本21」の最終評価によると、平成9年から平成21年にかけて、運動を心がけている人の割合は増えたものの、日常生活における平均の歩数は男女ともにおよそ1000歩減少していることがわかっています。

意識的に運動を行っている人以外では、身体活動量は減っているのが現状と考えられるかもしれません。

身体活動の意義

身体活動は「健康的な生活習慣」を構成する要素のひとつです。

十分な身体活動量を維持することで得られるメリットは大きく分けてふたつ。
筋肉量や身体機能を維持し、将来にわたって動ける体を作ること、生活習慣病や一部のがんの発症予防や死亡リスクの低減に役立つことがわかっています。

身体活動量の維持→身体機能の維持・生活習慣病予防

このうち、特定健康診査・特定保健指導において注目されるのが生活習慣病の予防にかかわる効果です。
生活習慣病の予防においては、肥満の予防・改善のほか、血圧などに直接与える影響が期待されています。

身体活動→エネルギー消費量増・代謝への影響→生活習慣病予防

エネルギー消費量を増やして肥満の予防・改善

身体活動の量は、エネルギー消費量に大きく関係しており、消費エネルギーは身体活動の強さ(強度)と身体活動を行った時間、体重からおおよそ計ることができます。

生活習慣病のリスクの大部分を占める肥満の予防・改善には、食事内容の見直しによる摂取エネルギーの適正化だけでなく、十分な身体活動によるエネルギー消費を確保することも重要なポイントとなります。

身体活動そのものが健康に良い影響を与えるものも

肥満の解消とは別に、体を動かすことそのものが体に良い影響を与えることがわかっています。

  • 食後1~2時間での運動は食後高血糖を抑える効果があります。
  • 身体活動により骨格筋のインスリン抵抗性が改善、血糖値を下げる効果があります。
  • 身体活動により血管の状態や機能が改善し、血圧を下げる効果があります。
  • 身体活動により骨格筋の脂質の代謝が促進され、血中HDLコレステロール値を高めます。
  • 身体活動の増加により、虚血性心疾患や脳梗塞、一部のがんのリスクを下げる可能性があります。

体を動かすことそのものにメリットがあるので、肥満を完全に解消するほどのエネルギー消費につながらなくても、なるべく体を動かす時間を増やしていきたいですね。

注意が必要な場合も

身体活動は生活習慣病やその先の虚血性心疾患・脳梗塞のリスクを下げるのに有効ですが、人によってはかえって健康を害する可能性も考えられるため、注意が必要です。

ひざや腰、手足などに痛みなどの不調がある場合、安易に身体活動を増やすのは危険です。

また、脳卒中、心臓病、慢性腎臓病などの既往・現病がある場合には、身体活動により血圧・血糖値・心臓などに悪影響を及ぼす可能性も考えられます。

いずれの場合も、身体活動を取り入れる前に、医療機関に相談をするのが望ましいとされています。

生活習慣病予防のために見直してみましょう

身体活動を増やすことは単に肥満防止を目的としたエネルギー消費のためだけではなく、血圧や血糖値などの改善にも役立ちます。

忙しい現代において運動のための時間を確保することは簡単なことではありませんが、効果的なポイントを見極めることで、毎日の生活に伴う身体活動を増やすことができます。

自分の日常的な身体活動が足りているのか、身体活動を無理なく増やすためのポイントについても、特定保健指導などを活用しながら見直してみてくださいね。