健診項目に影響する生活習慣とは?

健診項目に影響する生活習慣とは?

メタボは「生活習慣病」、毎日の生活習慣が原因であり、改善のカギ

メタボは「生活習慣病」

メタボリックシンドロームや、その一部である高血圧・高血糖・脂質異常などの代謝異常は、「ある日突然起こる、運悪くかかる」というものではなく、毎日の生活習慣の積み重ねが重要な原因であると考えられています。

もちろん、これらの代謝異常を起こしやすい遺伝的素因もかかわるものの、基本的には「予防のしようがない病気」ではありません。

「ひっかかった」項目には原因がある

血圧が高め、血糖値が高め、脂質代謝の数値のアンバランス…健康診断で「ひっかかった」項目には、やはり何らかの原因があると考えられます。

生活習慣というのは毎日のことであり、問題点があってもなかなか自分では気づきにくいものですが、長期的な予防のためには、生活習慣の中に「引っかかった原因」を探す必要があります。

原因の見直しが改善のカギ

「血圧が高めといわれたら」といったようなトクホやサプリなどが世の中にあふれています。
手っ取り早くて確実な方法に思えますが、効果が認められたトクホでも、トクホだけの効果はそう大きいものではなく、補助的なものにとどまります。

しっかり改善したいのであれば、新しい何かを取り入れるだけではなく、今までの自分の生活で代謝異常の原因となっているもの・ことを見つけることが重要です。

メタボの項目と関係がある生活習慣と効果の見込める改善点について

高血圧

高血圧の原因

原因となりやすい生活習慣

ナトリウム(塩分)の過剰摂取、習慣的なアルコール摂取は高血圧の原因となりやすいことが知られています。
特に、日本人の食生活はナトリウムの摂取量が多く、ほかの人と比べて濃い味を好む自覚がなくても、ほとんどの日本人はナトリウムを摂りすぎています。
食事以外では、遺伝的体質、運動不足、ストレス、内臓脂肪型肥満も血圧を上げる要因となります。

原因となりやすい生活習慣の例

減塩を心がけたことはない
毎日お酒を飲む
座って過ごすことが多い
…など

改善のためのポイント

高血圧を改善するためのポイントとしては、ナトリウム摂取量を減らす(減塩)・ナトリウムの排出を助けるカリウムの摂取・飲酒量を適度に抑える、適度な運動を行うなどの方法がとられます。
次いで、肥満の解消、食物繊維・カルシウムを積極的に摂るなどもポイントとなります。

改善のための取り組みの例

麺類のスープは飲まない
減塩調味料を活用する
ナトリウムの排出を助けるカリウムを効率よくとれる野菜類・果物類を積極的に摂る
飲酒の量・頻度を減らす
意識して体を動かす
…など

高血糖

高血糖の原因

原因となりやすい生活習慣

肥満や運動不足のほか、喫煙や睡眠不足などもインスリンの効きを悪くし、血糖値が高い状態が続く原因となります。

原因となりやすい生活習慣の例

身体活動量に対して食べる量が多い
食べる量に対して身体活動量が少ない
仕事が忙しく、睡眠不足である
…など

改善のためのポイント

血糖値を改善するための取り組みとしては、肥満解消のための食事量の見直し、身体活動の増加などが挙げられます。
また、禁煙や食事のとり方(時間や回数など)を見直し、食物繊維の摂取を増やす方法もとられます。

改善のための取り組みの例

間食を減らす
ご飯を大盛から普通盛りにする
なるべくエスカレーターではなく階段を使う(身体活動量を増やす)
夕食は20時までに済ませ、その後はカロリーのあるものは口に入れない
十分な睡眠時間を確保する
…など

脂質代謝異常

血中中性脂肪高値

血中中性脂肪高値

原因となりやすい生活習慣

肥満のほか、中性脂肪というと油ものが原因?と思われがちですが、原因となりやすいのは糖類や炭水化物、アルコールです。

原因となりやすい生活習慣の例

ラーメン+チャーハンなど、炭水化物に偏った食事が多い
毎日甘いお菓子を食べる
飲み物は清涼飲料水を選ぶことが多い
毎日お酒を飲む習慣がある
…など

改善のためのポイント

肥満を解消するための食事内容の見直しや身体活動を増やすことのほか、砂糖類の摂取量を減らす、食物繊維を増やすなどの方法がとられます。

改善のための取り組みの例

間食を減らす
ご飯を大盛から普通盛りにする
飲み物は無糖のものを選ぶ
移動はなるべく体を動かす方法で(身体活動量を増やす)
…など

血中HDLコレステロール低値・血中LDLコレステロール高値

コレステロール異常の原因

原因となりやすい生活習慣

血中コレステロール値の異常は、肥満のほか、食事からの飽和脂肪酸摂取が多い、喫煙している、身体活動量が少ないなどの生活習慣が原因となりやすいといわれています。

原因となりやすい生活習慣の例

脂身の多い肉、バターや生クリームを食べる量と頻度が多い
おかず中心の食事になりやすい
…など

改善のためのポイント

低下したHDLコレステロール値を上げるには、禁煙、身体活動を増やして肥満を解消することが挙げられます。
高すぎるLDLコレステロール値を下げるには、食事から摂取する飽和脂肪酸やコレステロールを減らし、多価不飽和脂肪酸や食物繊維を増やすなどの方法があります。

改善のための取り組みの例

脂身の多い肉を避け、脂質の少ない肉や魚を選ぶようにする
バターや生クリームを植物性の油脂やクリームに変える
コレステロールを多く含む食品(たまごなど)の頻度を下げる
…など

食事からのコレステロールは血中コレステロール値に関連しないので気にしなくてよい…といわれることもありますが、これはあくまで数値に異常がない人の場合。
コレステロール値を指摘された人の場合、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017では、食事からのコレステロール摂取を制限することで、数値改善が期待できるとされています。

「具体的な改善ポイント」は人それぞれ。専門家の指導を活用しよう

ここまで、メタボリックシンドロームの検査項目が基準を外れてしまう原因となりやすい生活習慣と改善ポイントについて、それぞれいくつかの具体例を挙げてみました。
しかし、この具体例はあくまでも例であり、すべての人に当てはまるものではありません。

同じ項目に引っかかっても、原因は同じではない

例えば、同じ「血中中性脂肪」で基準を外れた人が複数いたとしても、原因となる生活習慣は「おやつは少ないけど飲酒が多い」「飲酒は問題ない範囲だけど麺+ごはんのパターンが多い」など、それぞれ異なる可能性があります。

人それぞれ異なる生活習慣に、画一的に行動目標を掲げても、効率的とは言えません。
自分にとって効果的な「改善ポイント」を見極めて、効率的に取り組みたいですね。

原因となる「生活習慣」を見つけるのに専門家のサポートを活用しよう

とはいえ、自分の生活習慣を客観的に振り返るのはなかなか難しいことです。
専門的知識も必要となり、時間も手間もかかってしまいます。

そこで、活用したいのが「特定保健指導」。
メタボ健診(特定健康診査)で検査値から生活習慣の改善が必要と判断された人が対象で、医師や保健師、管理栄養士など、生活習慣改善の専門家からサポートを受けられます。
費用負担もほとんどないので、積極的に活用したいですね。