メディアや地域のスーパーやコンビニなどでも見かけることが多くなってきた「植物性ミルク」。
種類がいくつもあり、それぞれ異なった特徴を持つようです。
牛乳の代わりの食品として注目されているようですが、栄養面や健康面のほか、どのような点でメリットがあるのでしょうか?
新しい食品である「植物性ミルク」の栄養価とメリットについて解説します。
Contents
植物性ミルクとは
植物性ミルク(plant milk)とは、「植物由来のミルク状の食品」のこと。
ミルクと名前についていますが、牛乳が含まれているのではなく、ミルクのように白い液体であることが由来しています。
見た目が牛乳と似ていることから、飲み物や料理に、牛乳の代用品として使われることも多いようです。
植物性ミルクの原料
植物ミルクの主な原料となるのは大豆などの豆類、米や麦などの穀類、アーモンドなどのナッツ類、その他ココナッツや麻の実など、様々な植物性食品です。
多くは水を含ませた原料を絞った液汁に、味や品質を整えるための副材料が加えられているものが多くなっています。
そのため、植物ミルクに含まれる栄養素は、豆類・穀類・ナッツ類といった主原料の違いと、製造中に加えられる副材料によって異なります。
植物性ミルクの栄養価
植物ミルクをいち早く取り入れ始めた欧米に比べると、日本で手に入る植物ミルクの種類はまだまだ少なめ。
今回は日本国内で手に入りやすいものについて、製法や栄養価を紹介します。
*植物ミルクは製品によって砂糖使用の有無などでバリエーションが存在し、栄養価が異なります。今回は標準的なものを選定しました。
豆乳
原材料(市販品の例) 大豆(カナダ又はアメリカ)(遺伝子組換えでない)、砂糖、米油、天日塩 / 乳酸カルシウム、乳化剤、糊料(カラギナン)、香料 |
調製豆乳 | |
エネルギー | 58kcal |
たんぱく質 | 3.5g |
脂質 | 3.9g |
飽和脂肪酸 | 0.61g |
コレステロール | 0.0㎎ |
炭水化物 | 4.8g |
食物繊維 | 0.4g |
*100mlあたり、キッコーマン 調製豆乳 商品情報より |
豆乳は日本で最も広く知られている植物ミルクといえるでしょう。
すりつぶした大豆を水で煮て水分を搾り取ったもの。
搾りかすは「おから」、調味料等を加える前の無調整豆乳はにがりで固めると「豆腐」になります。
たんぱく質・脂質・炭水化物のバランスが牛乳と近く、代用しやすいのが魅力です。
アーモンドミルク
原材料(市販品の例) アーモンドペースト、砂糖、食物繊維(イヌリン)、果糖ぶどう糖液糖、デキストリン、ハチミツ、植物油脂、食塩、アーモンドオイル加工品/pH調整剤、香料、セルロース、乳化剤、炭酸Ca、増粘剤(キサンタンガム)、ビタミンE |
アーモンドミルク | |
エネルギー | 40kcal |
たんぱく質 | 0.6g |
脂質 | 1.6g |
コレステロール | 0㎎ |
炭水化物 | 7.0g |
食物繊維 | 2.0g |
ビタミンE | 5.0㎎ |
*100mlあたり、グリコ アーモンド効果オリジナル 商品情報より |
豆乳に次いで手に入りやすいアーモンドミルク。
水を含ませたアーモンドを豆乳と同様に絞り、搾りかすを除いたものです。
たんぱく質や脂質は少なく、炭水化物が多め。栄養価としては牛乳とは似ていません。
ビタミンEが強化されたものが多く、サプリメント感覚で取り入れることもできそうです。
アーモンドミルクに含まれる栄養素について詳しく解説した記事はこちら
ライスミルク
原材料(市販品の例) 米、米麹 |
ライスミルク | |
エネルギー | 50kcal |
たんぱく質 | 0.5g |
脂質 | 0.1g |
コレステロール | 0.0㎎ |
炭水化物 | 12.1g |
食物繊維 | 0.1g |
糖質 | 12.0g |
*100mlあたり、福光屋 プレミアムライスミルク 商品情報より |
日本で昔から親しまれている「甘酒」に似た製法で作られているライスミルク。
甘酒よりもさらっとしたテクスチャーで、たんぱく質・脂質は極めて少なく、こちらも栄養価では牛乳とはかなり違うものといえそうです。
オーツミルク
原材料(市販品の例) オーツ麦(えん麦)、食物繊維(イヌリン)、ひまわり油、食塩/リン酸カルシウム、増粘剤(ジェランガム)、ビタミンB2、ビタミンD2、ビタミンB12 |
オーツミルク | |
エネルギー | 46kcal |
たんぱく質 | 0.3g |
脂質 | 1.5g |
コレステロール | 0㎎ |
炭水化物 | 8.7g |
食物繊維 | 1.5g |
カルシウム | 120㎎ |
*100mlあたり、ダノンジャパン ALPRO たっぷり食物繊維オーツミルク ほんのり甘い 商品情報より |
日本ではなじみが薄いものの、徐々に広まりつつある「オーツミルク」。
麦の一種であるえん麦が原料で、酵素処理により製造されるため、ライスミルクと似た作り方といえるかもしれません。
たんぱく質と脂質はほとんど含まれていませんが、この商品ではいくつかの栄養素が強化されており、植物ミルクの中ではカルシウムが比較的多めなのも特徴です。
そのほかの植物性ミルク
これらのほかに、日本ではあまり一般的ではないものの、
- 落花生
- 麻の実(ヘンプ)
- くるみ
- エンドウ豆
- カシューナッツ
などを主原料とした植物性ミルクも存在しています。
今後、植物性ミルクが広まっていくにつれ、手に入る種類も増えていきそうですね。
植物性ミルクを牛乳の代わりに使う利点
牛乳の代替品として取り入れられることの多い植物性ミルク。
牛乳に代わって植物性ミルクを取り入れることで、どのような利点があるのでしょうか?
牛乳が飲めない人でも飲める
アレルギー、乳糖不耐症、菜食主義など、様々な理由から「牛乳を飲めない」人は少なからず存在します。
植物性ミルクは牛乳を使っていないため、牛乳を飲めない人でも飲めるミルクとして、活用することができます。
ただし、植物性ミルクの原材料すべてがアレルギーの原因にならないわけではありません。植物性ミルクの原材料に対してアレルギーを発症することもあるため、初めての摂取には注意が必要です。
栄養的なメリット
植物性ミルクに含まれる栄養素は、主原料の違いや製品によってもさまざま。
牛乳と比べて栄養面で劣る部分もありますが、他方では優れている部分もあるため、栄養面のメリットも選ぶ理由のひとつとなりそうです。
牛乳に比べると低カロリーな傾向
スタンダードなものだと、植物ミルクのエネルギーはおおよそ40~60kcal/100ml、牛乳は64kcal/100gであり、同じ量でも多少摂取エネルギーを抑えられる傾向があります。
栄養素が強化されている場合も
糖類や油脂類、たんぱく質、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が強化されているものなどがあり、好みによって選び分けるのもよいでしょう。
環境負荷が小さい「エコな食品」
近年、あらゆる産業で「環境負荷」への意識が高まっています。
動物由来の畜産物は生産にかかる環境負荷(温室効果ガスの排出、水や土地の使用量)が植物由来の農産物よりも大きいことが問題視され、なるべく植物由来のものを使おう…という動きが起こっています。
植物性ミルクは動物由来の牛乳よりも生産に必要な環境負荷が少なく、「地球にやさしい食品」とされ、エコな食品として選ぶ人も増えてきています。
植物性ミルクの弱点
植物性ミルクは牛乳と比較して栄養面で優れている場合もありますが、完全に優位な食品、という訳でもありません。
植物性ミルクを選択するときに気を付けたい、植物性ミルクの」弱点を紹介します。
牛乳と同様にアレルゲンとなる
上で紹介した通り、植物ミルクがアレルギーをおこさないわけではありません。
不安な人は、かかりつけの医療機関に相談してから取り入れるなど、慎重に取り入れるのがおすすめです。
牛乳の栄養素をカバーできない
牛乳の代わりに使われることも多い植物ミルクですが、牛乳と全く同じ栄養素を含むものではありません。
カルシウムやたんぱく質の含有量は牛乳に劣るものも多く、必ずしも最善の選択肢ではありません。
栄養管理が必要な場合には、栄養素の過不足が起こらないように調整が必要となります。
製造過程で原料から栄養素が一部失われる
大豆やアーモンドなどの栄養素を飲み物として手軽に摂れるといわれることもありますが、製造の過程で「搾りかす」が取り除かれるため、摂取できる栄養素等も丸ごとの摂取とは多少異なります。
特に食物繊維などは少なくなる傾向があるため、食物繊維をしっかり食べたいという人は注意しましょう。
植物性ミルクを活用できる人・注意すべき人
植物ミルクにはメリットとデメリットの両方が存在します。
メリットをうまく活用できる人にとっては、とても便利な食品といえるでしょう。
- 体質的・信条的理由から牛乳が飲めない人
- 植物ミルクに含まれる栄養素を取りたい人
- 環境にやさしい食事を心がけたい人
このような人には植物ミルクはぴったりの食品といえそうです。
一方、気を付けたいのは
- アレルギー等の理由で植物ミルクを飲めない人もいる
- 牛乳により多い栄養素が必要な人もいる(たんぱく質やカルシウムは牛乳に豊富)
- ミルク化する過程で原材料から減る栄養素もある
ということ。
植物ミルクは「牛乳よりもヘルシー」と紹介されることもありますが、内容は製品によっても異なり、必ずしもすべての人にとって牛乳よりも優れたものということではありません。
大切なのは、その製品が自分に合っているかどうか。
自分にとって健康的とはどういうことか、カロリーなのか、たんぱく質の量なのか、ビタミンやミネラルの量なのか、アレルギー症状が出ないことなのか…ある程度のものさしをもって判断するのがよさそうです。
【消費カロリー管理に便利】スマートウォッチのおすすめ商品ランキングのページはこちら
【おすすめ】健康維持やダイエットのための運動習慣作りにおすすめ!ヨガスタジオ・オンラインヨガのご紹介
おすすめのヨガスタジオ・オンラインヨガを紹介するページはこちら
参考文献 |