「おからパウダー」は従来の生おからよりも保存しやすく、使い勝手がいいのが魅力です。
また、食物繊維が豊富なため、健康面やダイエットにも活用できるのもポイントです。
この記事では、健康管理やダイエットのためにおからパウダーを活用したい方に向けて、おからパウダーの栄養価と効果的な使い方を紹介します。
小麦粉やきな粉と比較しながら上手な使い方を解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
Contents
おからパウダーとは?
もともと「おから」はお豆腐を作る過程でできるもの。
茹でてすりつぶした大豆から豆乳を搾り取った残りかすが「おから」です。
このおからは水分を含んでしっとりとした状態(生おから)ですが、生おからを乾燥させてパウダー状にしたものが「おからパウダー」です。
おからパウダーのカロリー・栄養価
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版では、おから(乾燥)としておからパウダーの栄養価が紹介されています。
おからパウダーの栄養価(100gあたり)
エネルギー(カロリー) | 333kcal |
たんぱく質 | 23.1g |
脂質 | 13.6g |
炭水化物(糖質・食物繊維含む) | 52.3g |
糖質 | 8.7g |
食物繊維 | 43.6g |
※日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版より作成、糖質は(炭水化物-食物繊維総量)から計算
また、おからパウダーは複数のメーカーから発売されており、製品によって栄養成分も異なります。
市販のおからパウダーの栄養価(100gあたり)
市販品① | 市販品② | |
エネルギー(カロリー) | 312kcal | 379kcal |
たんぱく質 | 22.4g | 30.8g |
脂質 | 5.2~20.2g | 17.3g |
炭水化物(糖質・食物繊維含む) | 57.7g | 44.0g |
糖質 | 2.9~12.3g | 38.1g |
食物繊維 | 50.1g | 5.9g |
※おからパウダー製品情報より作成
これらの成分値について、おからパウダーと置き換えられることの多い小麦粉と比較します。
カロリー
カロリーについて、おからパウダーと薄力粉を比較します。
おからパウダーと薄力粉の栄養価比較(100gあたり)
食品名 | エネルギー(カロリー) |
おから(乾燥) | 333kcal |
薄力粉 | 349kcal |
※日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版より作成
おからパウダーのカロリーは、100gあたり333kcalで、薄力小麦粉と比較するとわずかに低くなっています。
おからパウダーと薄力粉は重さあたりのカロリーは変わらないものの、含まれる栄養素の内訳は差があります。
たんぱく質・脂質・糖質
たんぱく質、脂質、糖質量を比較します。
おからパウダーと薄力粉の栄養価比較(100gあたり)
食品名 | たんぱく質 | 脂質 | 糖質 |
おから(乾燥) | 23.1g | 13.6g | 8.7g |
薄力粉 | 8.3g | 1.5g | 73.3g |
※日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版より作成
薄力粉は糖質が大部分を占めているのに対し、おからパウダーではたんぱく質と脂質の割合が高くなっています。
食物繊維
続いて、食物繊維の量を比較します。
おからパウダーと薄力粉の栄養価比較(100gあたり)
食品名 | 食物繊維総量 |
おから(乾燥) | 43.6g |
薄力粉 | 2.5g |
※日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版より作成
おからパウダーでは小麦粉と比較して食物繊維の含有量が圧倒的に多いのが特徴です。
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
きな粉・生おからとの違い
大豆からできた粉、というと「きな粉」や「大豆粉(炒っていないきな粉)」も一般的に知られています。
きな粉・大豆粉とおからパウダーはどう違うのでしょうか?
おからパウダーとその他の製品の比較(100gあたり)
食品名 | おからパウダー | 生おから | きな粉 |
カロリー | 333kcal | 88kcal | 451kcal |
たんぱく質 | 23.1g | 6.1g | 36.7g |
脂質 | 13.6g | 3.6g | 25.7g |
炭水化物 | 52.3g | 13.8g | 28.5g |
糖質 | 8.7g | 2.3g | 10.4g |
食物繊維総量 | 43.6g | 11.5g | 18.1g |
※日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版より作成
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
おからパウダーはきな粉と比較して食物繊維が多く、たんぱく質・脂質は少ないのが特徴です。
これは、きな粉は大豆を丸ごと粉末にしたものであるのに対し、おからパウダーは豆乳を絞った残りの部分であるため。
おからパウダーでは丸ごとの大豆から豆乳に移行したたんぱく質や脂質・糖質は少なくなり、代わりに豆乳に溶けださずに残った食物繊維が多くなっています。
また、おからパウダーと生おからの違いは、水分量です。
生おからは水分が多く、あまり日持ちのしないものですが、おからパウダーは乾燥しているために常温での長期保管が可能です。
そのため、毎日・少しずつ使うといった使い方ができ、習慣にしやすい点が魅力といえそうです。
おからパウダーの健康・ダイエットに効果的な活用法
ダイエット効果や健康効果が注目されているおからパウダーですが、具体的にはどんなところがメリットなのでしょうか?
おからパウダーの栄養価を活かす使い方を紹介します。
食物繊維の摂取量増加に
おからパウダーには食物繊維、特に「不溶性食物繊維」が豊富であることから、食物繊維の摂取量を増やすことによる以下の効果が期待できます。
- 排便を促す
- 食事の消化・吸収を緩やかにする
- 生活習慣病の予防に働く
不溶性食物繊維は便の「骨組み」となる成分で、水を含んで便のカサを増やし、腸管を刺激して排便を促します。
便秘が気になるときはたっぷりの水分とともに食物繊維の摂取源としておからパウダーが役立ちそうですね。
また、不溶性食物繊維は食事の消化・吸収を緩やかにすることで、食後の満腹感を長引かせる効果が期待できます。
このほか、食物繊維は生活習慣病予防の面で注目されている成分でもあります。
食物繊維を十分にとると様々な疾患の発症率が低下することから、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準2020年版」では食物繊維の摂取目標量が定められています。
食物繊維の1日あたりの摂取目標量は18-64歳の男性で20g以上、18-64歳の女性で18g以上。
平成29年における摂取量の平均値は、20歳以上男性で15.2g、20歳以上の女性で14.8gとされており、目標値まで3-5gほど不足している状態です。
一方、おからパウダーに含まれる食物繊維の量は、100gあたり40-60gほど。
製品によっても異なりますが、1日あたり5-12gほど(大さじ1-2)の摂取で、不足した分を補うことができる計算になります。
ダイエット中の満腹感アップに
おからパウダーはダイエット中の食事の満足感を高めることにも役立ちます。
- 水分を含んで膨らむ
- 食事の消化・吸収を緩やかにする
製品によっても異なりますが、小麦粉などと比較して水分をよく吸うため、少量でも水をたくさん吸って大きくなり、満腹感につながりやすい特徴があります。
また、先に解説した通り、食事の消化吸収を緩やかにしてくれるため、満腹感を長続きさせるのに役立ちます。
おからそのものは低カロリーな食品というわけではありませんが、上手に使えばダイエット中のストレスを少なくできそうです。
おからパウダーの注意点
人気が高まりつつあるおからパウダーですが、使用にあたっては注意が必要な場合もあります。
気をつけたいポイントを押さえて上手に使いたいですね。
カロリーは低くない
小麦粉の代わりにおからを使ったクッキー、というとヘルシーなイメージがありませんか?
しかし、小麦粉とおからパウダーの栄養価を比較すると、(製品によってのばらつきはありますが)おからパウダーは小麦粉と同等かそれ以上のエネルギーである場合も。
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
同じ量を使ったレシピで同じ量を食べた場合、摂取エネルギーとしては大きな違いがないことに注意が必要です。
たっぷりの食物繊維で満腹感を得られやすいため、十分な水分とともに少量で抑えることを意識しましょう。
油の吸収率が高い
おからはよく水分を吸う、ということは有名ですが、同時に油もよく吸うことはあまり知られていないかもしれません。
そのため、揚げ物や焼き物の衣などに使った場合、小麦粉や片栗粉に比べてより多くの油を摂取してしまうことも考えられ、こちらも同じ量で単に置き換えるのはおすすめできません。
たっぷりの食物繊維のはたらきを活かして、少量で満足できるように使うのがよいでしょう。
調理にコツがいる
おからパウダーは小麦粉などと同じパウダー状であることから、置き換えて料理に使われることもあります。
しかし、レシピ上の小麦粉と同量のおからパウダーを単純に置き換えるだけでは、まとまるまでに必要な水の量やでんぷん質の量の違いからおいしく作れないこともしばしばです。
失敗しないためには、おからパウダー専用のレシピを活用することをおすすめします。
まとめ
おからパウダーは健康やダイエットのための「特効薬」ではありませんが、長所を生かして使えばとても役立つ食品です。
また、便秘の改善や健康のために食物繊維をとりたい!という場合は、「習慣化」がたいせつです。
自分にとって続けやすく、飽きにくい組み合わせでおからパウダーを取り入れる習慣をつけられると理想的です。
おからパウダーの活用で間食がなくなればダイエットにも効果的ですので、上手に活用してくださいね。
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参考文献 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 |