投稿日: 2019.07.19 | 最終更新日: 2023.08.02

ラム肉(羊肉)の栄養素とカロリーは?鉄分豊富で貧血対策にも!

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生のラム肉

近年、いろいろなところで目にする機会が増えてきた「ラム肉」。
生後およそ12か月未満のひつじの肉のことを指し、ジンギスカンやステーキ、煮込み料理などに使われています。

鶏肉や豚肉・牛肉に比べるとまだまだ広く食べられているとは言いにくいものの、その栄養価にも注目が集まっています。

健康的なお肉ともいわれる「ラム肉」に含まれる栄養について、ほかのお肉と比較しながら見ていきましょう!

ラム肉の栄養素

スーパーなどで一般的なお肉とラム肉の栄養価を比較します。
ビタミンやミネラルなどの微量栄養素に特徴があるようです。

ラム肉とそのほかの肉との比較

ラム・もも
脂身付き・生
鶏・もも
皮付き・生
豚・もも
脂身付き・生
輸入牛・もも
脂身付き・生
国産牛・もも
脂身付き・生
エネルギー 198kcal 204kcal 183kcal 165kcal 209kcal
たんぱく質 20.0g 16.6g 20.5g 19.6g 19.5g
脂質 12.0g 14.2g  10.2g 8.6g 13.3g
炭水化物 0.3g 0g 0.2g 0.4g 0.4g
鉄分 2.0mg 0.6mg 0.7mg 2.4mg 1.4mg
亜鉛 3.1mg 1.6mg 2.0g 3.8mg 4.5mg
ビタミンB12 1.8㎍ 0.3㎍ 0.3㎍ 1.5㎍ 1.2㎍
飽和脂肪酸 4.91g 4.37g 3.59g 3.22g 5.11g
n-3系脂肪酸 0.18g 0.09g 0.06g 0.05g 0.02g
*100gあたり。文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より作成

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

カロリーに大きな差はなし

今回はどのお肉も同じ部位「もも」で栄養素を比較してみたところ、カロリーに大きな差はありませんでした。

ほかのお肉と比べるとカロリーが低いと紹介されることも多いラム肉ですが、それは異なる部位で比較しているため。

カロリーが気になるときには、牛肉やラム肉といったお肉の種類で選ぶよりも、脂身の少ない部位(もも肉やヒレなど)を選ぶのがよさそうです。

鉄分が牛肉に並んで豊富、貧血予防に◎

ラム肉には、月経のある女性では不足しがちな「鉄分」が豊富に含まれています。

鉄は栄養素の中でも吸収されにくいもののひとつですが、野菜などに含まれるものよりも、肉類からとれる鉄のほうが吸収されやすいことが分かっています。

同じく鉄分を豊富に含む赤身の牛肉と並んで、ラム肉は鉄分の優秀な摂取源となりそうです。

ビタミンB12は100gで1日の2/3がとれる

ビタミンB12は動物性食品でしかほとんどとることができない栄養素です。
100gのラムのもも肉では、成人男女の1日推奨量の2/3をまかなうことができます。

n-3系不飽和脂肪酸は肉の中では多いけど…

血中コレステロールを低下する作用があるとして注目されているn-3系脂肪酸は、動物性食品の中では魚が代表的な摂取源ですが、ラム肉も肉類としては比較的豊富に含んでいます。
とはいえ、やはり魚に比べるのその含有量は少なく(例:鮭100gで0.92g/ラムもも肉100gで0.18g)、n-3系脂肪酸を摂取する目的でラム肉を食べるというのはあまり効率的ではないかもしれません。

部位ごとの違い、ラムとマトンの違い

ラムの部位

ラム肉にも部位があり、もも、肩、ロースなどに分けられます。

部位によって肉質や脂肪分が異なるため、食感のほか栄養面でも個性があるようです。

ラム肉の部位別の栄養成分

ラム・もも
脂身付き・生
ラム・肩
脂身付き・生
ラム・ロース
脂身付き・生
エネルギー 198kcal 233kcal 310kcal
たんぱく質 20.0g 17.1g 15.6g
脂質 12.0g 17.1g 25.9g
炭水化物 0.3g 0.1g 0.2g
鉄分 2.0mg 2.2mg 1.2mg
亜鉛 3.1mg 5.0mg 2.6mg
ビタミンB12 1.8㎍ 2.0㎍ 1.4㎍
飽和脂肪酸 4.91g 7.62g 11.73g
多価不飽和脂肪酸 0.52g 0.61g 0.87g

*100gあたり。文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より作成

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

部位によって味や用途、栄養価もちがう

もも

脂肪が少なく、やわらかい部分はステーキやローストに、固い部分は煮込み料理に使われることが多いようです。
エネルギー(カロリー)としてはもっとも少なく、脂質が少ない分、たんぱく質が多いのが特徴です。

ももと比較すると脂肪が多く、そのため特有のにおいが強いのが特徴です。
かための肉質であるため、煮込み料理に適しています。

脂質が多い分エネルギー(カロリー)も比較的高めになりますが、鉄や亜鉛の量が多いのも特徴です。

ロース

肉質がやわらかい、最高級の部位です。
骨付きのロース肉は「ラムチョップ」とも呼ばれ、骨付きのままローストやステーキに使われます。
脂質が最も多く、高カロリーな部位です。

ラムとマトンはどう違う?

ラムとマトンの違いで大きなポイントのひとつが、その風味の強さ。
一般的にマトンのほうが特有のにおいが強く、苦手とする人が多いようです。
ラムが好まれるのはクセの少なさが理由のひとつだといえそうです。

ラム肉の利点を生かした取り入れ方

ラム肉の利点は、

  • たんぱく質の主な摂取源である肉類であること

  • 鉄分を豊富に含むこと

があげられます。

積極的に鉄分をとりたい女性にとっては、貧血予防に役立つ食品のひとつといえます。

牛肉や赤身魚などに加えて、鉄分補給に役立つ食品のバリエーションのひとつとして役立てるのがよいのではないでしょうか。

吸収されにくい鉄分の吸収率を上げる働きを持つのは「ビタミンC」。
貧血予防にはお肉だけではなく、野菜や果物もしっかり食べるようにすると効果的です。

「やせる肉」としてダイエットにラム肉を取り入れることについて解説した記事はこちら

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参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

日本ハム:「羊肉の基礎知識」

オージー・ラム公式サイト:「元気なラム肉のヒミツ」

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。