食欲をそそる風味が特徴のにんにく
栄養的にはどのようなメリットがある食材なのでしょうか?
にんにくに含まれる栄養素とそのはたらきについて解説します。
Contents
にんにくのカロリーと栄養素
にんにくは生のにんにくのほか、市販のチューブに入った「おろしにんにく」があります。
生のにんにく、市販のおろしにんにくの栄養成分は以下のようになっています。
■にんにく(生)とおろしにんにくの栄養成分(100gあたり)
にんにく(生) | おろしにんにく(市販) | |
カロリー(エネルギー) | 129kcal | 170kcal |
たんぱく質 | 6.4g | 4.7g |
脂質 | 0.9g | 0.5g |
炭水化物 | 27.5g | 37.0g |
うち食物繊維 | 6.2g | データなし |
食塩相当量 | 0g | 4.6g |
ビタミンB6 | 1.53㎎ | データなし |
*文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より作成
これらのデータをもとに、にんにくに含まれる栄養素について解説します。
カロリー、炭水化物
生のにんにく100gあたりのカロリーは129kcal。
市販のにんにくチューブでは、製造過程で食塩やでんぷんなどが加えられているため、少しカロリーは高く170kcalとなっています。
にんにくの主成分は水分とそれに次いで多い「炭水化物」で、3割程度を占めています。
割合で言えば、かぼちゃと同じくらいの量が含まれています。
ビタミンB6
あまり有名ではありませんが、にんにくは食品の中でも重さあたりのビタミンB6が多い食品の代表格です。
ビタミンB6はたんぱく質の代謝にかかわる成分で、必須栄養素のひとつです。
ビタミンB6はにんにく以外ではマグロやカツオ、鶏肉などに比較的多く含まれるほか、腸内細菌によってもつくられることが分かっています。
ビタミンB6について詳しく解説した記事はこちら
栄養素の主要な摂取源にはなりにくい
にんにくは1回に使う量が少ないため、特定の栄養素の主な摂取源とはなりにくい特徴があります。
にんにくからとれる栄養素をにんにく一片または小さじ1(5g)に換算すると以下のようになります。
にんにく(生) | おろしにんにく(市販) | |
エネルギー | 6kcal | 9kcal |
たんぱく質 | 0.3g | 0.2g |
脂質 | 0g | 0g |
炭水化物 | 1.4g | 1.9g |
うち食物繊維 | 0.3g | データなし |
食塩相当量 | 0g | 0.2g |
ビタミンB6 | 0.08㎎ | データなし |
*文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より作成
たとえば、にんにくに豊富に含まれるビタミンB6を多く含む食品である肉類・魚類・にんにくの中では、グラムあたりで比較するとにんにくが最も多くビタミンB6を含みます。
しかし、一度に食べる量は肉・魚類とにんにくでは大きく異なり、にんにくの1回量でとれる栄養素量は極めて限定的です。
1人前の量 | 1人前のビタミンB6 | |
にんにく | 5g(1片) | 0.08㎎ |
豚ロース(脂身付き) | 150g(とんかつ1枚分) | 0.48㎎ |
みなみまぐろ(赤身) | 100g(刺身8切れ) | 1.08㎎ |
*文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より作成
1日に必要なビタミンB6は、18歳以上の男性で1.4㎎、18歳以上の女性で1.1㎎*)とされています。
この数値を満たすための摂取量ということを考慮した場合、1回に食べる量に含まれるビタミンB6の量で比較すると、肉・魚類がよりよい摂取源となります。
にんにくはビタミンB6を豊富に含む食品ではありますが、少量のにんにくを食べれば賄えるという事はないので、さまざまな食材を取り入れることが大切です。
アリシン
にんにくといえば「スタミナ食材」というイメージが強い人も多いのでは?
とはいえ、にんにくそのものはエネルギー源になる栄養素は少なく、にんにくだけを食べてスタミナアップにつながるわけではありません。
にんにくがスタミナ食材といわれるのは、にんにくの風味による食欲増進効果に加え、「アリシン」という成分が含まれていることも理由の一つと考えられます。
「アリシン」はにんにく特有の香り成分のことで、にんにくにもともと含まれる「アリイン」と「アリイナーゼ」という物質から作られます。
生のにんにくをつぶしたり、切ったり、すり下ろしたりといった調理を行うと、にんにくの細胞が壊れ、アリインとアリイナーゼが接触し、アリイナーゼがアリインをアリシンに変換します。
アリイナーゼによってつくられたアリシンはにんにく特有のにおいを出す物質ですが、「ビタミンB1の吸収をよくする」という働きもあります。
ビタミンB1は主に炭水化物(糖質)をエネルギーとして利用するのに必要な栄養素です。
にんにくに含まれるアリシンはビタミンB1と結合して「アリチアミン」という物質になり、体内に吸収されやすくなるという特徴があります。
直接的ではありませんが、にんにくは「エネルギー源を活用しやすくする」というはたらきによって、エネルギーに満ちた体づくりに役立つ食材といえそうです。
ビタミンB1について詳しく解説した記事はこちら
にんにくの栄養を活かす効果的な食べ方
にんにくに含まれる成分「アリシン」は、ビタミンB1の吸収を助ける成分です。
アリシンをより効果的に活用するための食材の組み合わせや調理のポイントを紹介します。
にんにく+豚肉+糖質を組み合わせる
アリシンはビタミンB1の吸収を助ける成分であり、ビタミンB1は糖質の代謝に働く成分であるため、それぞれの働きを高めるためには、これらを一緒に摂ることをおすすめします。
スタミナをつけたい!と考えている方は、にんにくに合わせてこのような食材を組み合わせるのがおすすめ。
- ビタミンB1…赤身の豚肉に多い
- 炭水化物(糖質)…ごはんやパン、麺類が主な摂取源
具体的には、以下のような食材を取り入れるのがおすすめです。
- ごはんやパン
- メイン食材は豚肉
- 味付はにんにくを活用
さらに具体的な料理名を挙げるとすれば、以下のようなメニューが挙げられます。
- にんにく入り豚丼(スタミナ丼)
- トンテキ定食
- 餃子
にんにくはみじん切り・すりおろしにする
アリシンの働きを強くするためには、にんにくはみじん切りやすりおろしなど、なるべく細かい状態にするとよいでしょう。
にんにくのスタミナ効果は吸収のよい「アリチアミン」ができることによるものです。
アリチアミンを多くつくるためには、元となる成分同士がより多く接することがポイントです。
- アリシンを多くつくるために細胞内のアリインとアリイナーゼがより多く接するようにする
- アリチアミンを多くつくるためにアリシンとビタミンB1が効率的に接するようにする
いずれの成分も、元となる食材(にんにくや豚肉)が細かくなっているほど表面積が増えるので、アリチアミンを効率的に作るためには、
- みじん切り
- すりおろし
…など、なるべく細かい状態で混ぜ合わされると効率的と考えることができます。
にんにくの注意点
独特の風味で食欲を増してくれたり、ビタミンB1の吸収を介して糖質エネルギー代謝を助けるにんにくは「健康に良い」といえる食材のひとつですが、極端なとり方には注意が必要です。
多量に食べるような場合、にんにくチューブでは食塩のとりすぎに、生にんにくでは健康障害の恐れがあります。
以下で詳しく解説しますので、食べ方には気をつけましょう。
にんにくチューブは食塩量に注意
にんにくチューブを使っている人は、過剰な量をとることで食塩摂取量に影響が及ぶことがあるので注意しましょう。
食塩のとりすぎは高血圧など生活習慣病の原因となるため、摂り過ぎを避けたい栄養素です。
基本的に、「市販のにんにくチューブ」も主な原材料は生のにんにくであるため、おおむね同じものと考えても問題ありませんが、製品によって製造過程で食塩が加えられています。
少量であればほとんど差はありませんが、塩分管理が必要な方、多量に食べる場合などでは違いが出てくるため、注意しましょう。
生にんにくの多量摂取は避ける
生のにんにくを皮膚や粘膜に長い時間接触させたり、多量に食べたりすることによって皮膚炎や胃腸障害を起こしたという報告が多数あります。
生のにんにくには殺菌作用があることでも知られていますが、一方で細胞を壊すはたらきがあることが分かっています。
生のにんにくをまるかじりする人はあまりいないと思われますが、「生のすりおろしにんにく」はラーメンのトッピングにもなっていることもあり、大量に食べることが比較的容易なため、気を付けましょう。
まとめ
にんにくは栄養的特徴(ビタミンB6やアリシンなど)のある食品ではありますが、いちどに摂取する量が少ないために、残念ながら料理の中のにんにくの有無が食事全体の栄養バランスに大きく影響することはそうありません。
どちらかというと、にんにくの風味によって食事が進むためにエネルギー補給に効果的、といったような影響の方が大きいかもしれません。
食欲増進のためのスパイスとしての役割が大きいのではないでしょうか。
栄養素の摂取源としてというよりも、料理にアクセントをつけるための食材のひとつとして、にんにくを適量取り入れるのがいいと考えます。
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文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 |