スーパーだけでなくコンビニでも購入できる「カット野菜」は手軽に野菜をとれる便利な商品のひとつです。
その一方で、栄養素が抜けている、薬品を使っているために危険…という噂も。
カット野菜の栄養素と安全性について解説します。
カット野菜を取り入れるメリットと上手な使い方も解説しますので、野菜不足を感じているけどカット野菜を使うか悩んでいるという人は参考にしてくださいね。
カット野菜とは
カット野菜とは、生野菜をカットして袋詰めした状態で販売されているものを指します。
多くは食品工場で製造されており、用途に応じて様々な種類が販売されています。
カット野菜の種類
カット野菜には様々な種類があり、商品によって野菜の種類や形状が異なります。
料理の用途や好みに応じて選ぶことが可能です。
- 千切りキャベツ
- サラダ用野菜ミックス
- 煮物用野菜ミックス
- 炒め物用野菜ミックス
- 鍋物用野菜ミックス
また、商品によっては内容量にもバリエーションがあり、より使いやすいようになっています。
カット野菜の製造工程
カット野菜の製造工程はそのメーカーや取り扱う野菜によっても違いがありますが、作業工程を公開しているいくつかのメーカーの情報をまとめると、おおむね以下のような流れになるようです。
1. 下処理…商品に適さない部分を取り除きます。ここで洗浄・殺菌を行う場合もあります。 2. カット…多くはスライサーなどの機械を使用し千切りなど商品の形にカットされます。 3. 洗浄(殺菌)…雑菌の繁殖防止のため、電解次亜水(でんかいじあすい)などの殺菌水を用いて洗浄と消毒を行い、水で再び洗浄します。 4. 脱水…野菜の表面に水分が残っていると雑菌の繁殖や劣化につながるため、水分をしっかりとります。 5. 袋詰め…袋詰めされ、店頭の売り場まで冷蔵されて輸送されます。 |
カット野菜には栄養がない?
千切りキャベツやサラダ用カット野菜などは、袋から出してそのままお皿に乗せれば食べられるのが魅力であり、カット野菜は食事に野菜をプラスするハードルを小さくしてくれる商品ですが、工場での洗浄・消毒工程によって栄養素が抜けてしまっているのでは?と心配されることも少なくありません。
結論から言うと、カット野菜であっても野菜の大部分の栄養素は残っており、野菜を食べることによる栄養的なメリットは十分に得られると考えられます。
一方で、カット野菜に使われる野菜の種類に多少偏りがあるために、摂取しにくい野菜が出てきてしまうということはありそうです。
それぞれの内容について詳しく解説します。
大部分の栄養素は残っている
「カット野菜は栄養が抜けてしまっているから食べても意味がない」と言われることがあります。
事実、カット野菜は家庭での調理と違い、カットしてから洗浄を行うため、家庭での調理よりも水に触れている断面が多いといえます。
そのため、家庭での調理に比較して水溶性の栄養素が抜けやすいということがあります。
ただし、栄養素がすべて抜けてしまっているわけではありません。
千切りキャベツの場合、30分水にさらした場合でも、ビタミンCはさらす前の70%が残っていたという実験結果*1) も報告されています。
大手メーカーが行った調査では、カット野菜でも家庭での水洗いをした野菜でも、どちらの条件でもほとんどの栄養成分で80~90%が残っていた*2)そうです。
私たちが心配するほどには、栄養素は抜けていないといえそうですね。
野菜を食べることのメリットは十分得られる
カット野菜であっても、野菜を食べることの栄養的なメリットは十分に得られます。
そもそも、野菜を食べることのメリットとは何でしょうか?
栄養学的には、必須栄養素であるビタミン・ミネラル、生活習慣病のリスクを下げる食物繊維が取れることです。
また、肥満防止の観点では、野菜は水分が多くエネルギー(カロリー)が低いため、食事のエネルギーを上げずに食事のボリュームを上げてくれることがあげられます。
水に溶けだしやすい栄養素は7割程度まで減少しますが、まったくなくなるわけではありません。
また、食事のボリュームアップとしての役割は生野菜でもカット野菜でも変わりません。
もちろん、新鮮な丸ごとの野菜を使う直前に切って使うのに越したことはありませんが、忙しい毎日を送っている人にはなかなか難しいことです。
そんな時に、野菜を食べることをあきらめるのではなく、カット野菜を活用して、無理なく食事に野菜を取り入れることが、健康的な食生活を送ることにつながるのではないでしょうか。
緑黄色野菜を補えるとさらに良い
カット野菜の弱点を挙げるとすれば、緑黄色野菜が少なく、淡色野菜に偏りがちなことです。
緑黄色野菜は体内でビタミンAとして働くβ-カロテンが豊富に含まれている野菜を指し、そうでない淡色野菜とは別にある程度の摂取量を確保したい野菜のひとつのグループを指します。
カット野菜はキャベツやもやしといった淡色野菜が多く、ニンジンやピーマンが多少入っていることもあるものの、緑黄色野菜は少なめになっている傾向があります。
1日に野菜は350g、といわれますが、そのうち120gは緑黄色野菜をとることが目標*3)とされています。
カット野菜を取り入れた食事から、さらに一歩進んだ工夫をする余裕が出てきたら、トマトや豆苗など、調理の手間がかかりにくい緑黄色野菜をプラスできると理想的です。
カット野菜は危険?
カット野菜は工場で製造され、薬品を用いて洗浄されることからか、安全性に疑問を持つ人も少なくないようです。
しかし、カット野菜の製造に使用される薬剤等は安全性を確認して使用されているもので、カット野菜が健康に悪いということはありません。
また、カット野菜が未開封の状態で新鮮さを保つことができるのは、工場生産ならではの衛生管理と保存・輸送状態の管理によるものが大きな理由となっています。
洗浄・殺菌工程の薬剤は心配不要
家庭で生野菜を扱うときとの違いは、殺菌水を使っている点。
カット野菜の製造工程では、電解次亜水(でんかいじあすい)などの殺菌水を使用し、殺菌・洗浄を行ったのち、水で洗い流す工程があります。
この殺菌水による殺菌工程を危険視する声もありますが、人体には影響のない使用方法で取り扱われているため、カット野菜が人体にとって危険ということはありません。
カット野菜が日持ちするのは加工・保存状態の管理によるもの
カット野菜はカット工程後に包装・輸送・陳列され、食卓に上がるまでに時間があるにもかかわらず、新鮮さを保っていることが不思議に思われることも少なくないようです。
カット野菜の保存性という点では、以下の工程における管理が大きな役割を果たしています。
- 殺菌水による殺菌
- カットに使われるスライサーなどの切れ味がよいこと
- 包装時の脱気
- 輸送・保管時の低温の維持
家庭での調理とは比べ物にならないほどの管理体制で製造されているために、新鮮さを保つことができているのです。
カット野菜を使うメリット
カット野菜のメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- 時短調理に最適
- 使いきりサイズで無駄がない
- 用途に合わせて種類が豊富
カット野菜のメリットについて解説します。
時短調理に最適
カット野菜はサラダ用・加熱用のいずれの場合も、
- 野菜の食べられない部分をカットする
- 洗う
- 食べる大きさに切る
といった下処理の工程が省けるのが大きな魅力です。
サラダ用であればそのまま食卓へ、加熱調理用であっても、鍋やフライパンに直接入れて調理ができるなど、利便性が最大の魅力といえます。
使いきりサイズで無駄がない
カット野菜は少量ずつ包装されているので、1人暮らしなど、丸ごとの野菜を買っても使い切れない人にとって便利な商品です。
量に対しての値段は丸ごとの野菜に比べるとやや割高ですが、使い切りサイズなので出費自体は少なく済む場合もあります。
丸ごとの野菜を購入して使い切れなくなってしまうより、カット野菜を活用したほうが経済的ですね。
価格変動が少ないので、野菜が高騰していてもほとんど影響がないのもうれしいポイントです。
用途に合わせて種類が豊富
少し前まで、カット野菜は切り方や野菜のバリエーションに乏しく、必ずしも自分の思った通りの切り方になっていないのが難点でした。
しかし、最近ではサラダ用だけでなく鍋用、炒め物用などの用途に合わせたカットになっている商品も販売されています。
目的とする料理に合った野菜が複数種ミックスされたものなども充実していますので、うまく活用できると食事の幅も広がります。
カット野菜の上手な使い方と保存方法
カット野菜は便利な商品ですが、上手に使うにはいくつかのポイントがあります。
鮮度を保ちながら活用するためのポイントと、よりおいしく食べるためのポイントをまとめました。
1回で使い切れる量を買う
カット野菜は買い置きには向いていないので、できれば買った日に食べきるのがおすすめです。
洗浄・殺菌されているとはいえ、丸ごとの野菜ほどは日持ちがしないため、製造後3~4日の消費期限内に食べきる必要があります。
また、開封済みのカット野菜は消費期限よりもさらに早く痛む可能性もあるためです。
買い置きには適していないので、使う分だけ買うこと、買ったらなるべく早く食べることを意識するのがよいでしょう。
開封せずに保存
カット野菜は開封することで殺菌・脱気の効果がなくなってしまうため、傷むスピードが速くなってしまいます。
買ってすぐに食べない場合には、開封しないで保存するほうが良いでしょう。
ただし、未開封の状態で冷蔵保存していても消費期限は最大でも4日程度ですので、早めの消費を心掛けましょう。
生食するものは水につけると食感が復活
カット野菜は雑菌の繁殖を防ぐために水けをきっているためか、サラダ用のカット野菜はぱさぱさした食感になりやすく、生野菜にと比べると味は落ちやすいようです。
食感が気になる場合には、食べる前に10分程度水につけておくとシャキシャキの食感を復活させることができます。
手間は増えてしまいますが、よりおいしくなりますのでぜひ試してみてくださいね。
風味が気になる場合は加熱用がおすすめ
サラダ用カット野菜のぱさぱさした食感がどうしても気になる方は、カット野菜は加熱用に限って活用するのも一つの方法です。
炒め物用・鍋物用・煮物用などのカット野菜は調理によって水分や油分が補われるので、あまり違いは気にならないことが多いようです。
カット野菜を活用したおすすめレシピ
カット野菜を活用したメニューを紹介します。
カット野菜を使うので包丁やまな板は不使用、洗い物も少なく済みますので、ぜひ試してみてくださいね。
炒め物用カット野菜でインスタントラーメンを健康的に
【材料】1人分
- インスタントラーメン…1食
- 炒め物用カット野菜…1/2袋(100~150g)
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
【作り方】
- 鍋にラーメンの規定の量の水を入れて沸騰させる。
- 鍋にカット野菜、麺を入れ、規定通りにゆでる。
- ラーメンに添付された調味料を加え、器に盛る。
ほとんど手間もエネルギーも増えずにボリュームアップができます。
インスタントラーメンも野菜たっぷりで罪悪感なしですね!
千切りキャベツで簡単お好み焼き
【材料】1枚分
- 千切りキャベツ…1袋(120~150g)
- 小麦粉…50g
- 卵…1個
- 水…60ml
- 豚肉やシーフードミックス…70g程度
- サラダ油…大さじ1/2
- お好み焼き用ソース…お好みで
- マヨネーズ…お好みで
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
【作り方】
- ボウルに卵、水、小麦粉を入れて混ぜる。
- 千切りキャベツを加えてさっくり混ぜる。(豚肉以外の具はここで加える)
- フライパンに油をひいて加熱し、生地を流し入れて焼く。豚肉があれば上に乗せ、蓋をする。
- 裏面がきつね色になったらひっくり返し、蓋をしてもう片面も焼く。
- 中まで火が通ったら皿に盛り、ソース、マヨネーズをかける。
混ぜるだけでキャベツたっぷりのお好み焼きが簡単に作れます。
千切りキャベツ用のお好み焼き粉も売っているので、それを活用するのもありですね!
まとめ
カット野菜は、味や種類など、丸ごとの野菜に劣る部分もありますが、
少人数でも使いきれる量
手間なく取り入れられる
といった点が魅力です。
- 丸ごとの野菜は使いきれない人
- 簡単な調理ができる人(加熱調理用カット野菜の場合)
- 買ってすぐに食べられる人
におすすめです。
忙しい人や自炊初心者の人にもおすすめなカット野菜は、手軽にできる範囲から野菜を食べる習慣をつけるのにぴったりです。
カット野菜に使われている野菜の種類は意外と少ないため、慣れてきたらほかの野菜(特に緑黄色野菜)にも挑戦してみてもいいかもしれません。
また、手軽に野菜の摂取量を増やしたいという人にはさらに「冷凍野菜」という選択肢もあります。
カット野菜のバリエーションは多いので、上手に活用して食生活を充実させていきたいですね。
冷凍野菜の活用法について詳しく解説した記事はこちら
【消費カロリー管理に便利】スマートウォッチのおすすめ商品ランキングのページはこちら
【おすすめ】普段のお水をよりおいしく・健康的に!浄水器のご紹介
浄水器のおすすめ商品ランキングのページはこちら
参考文献 *1)吉田企世子 監修. 女子栄養大学 栄養のなるほど実験室. 女子栄養大学出版部, 2019. *3)公益財団法人 健康・体力づくり事業財団:「健康日本21」 太田 英明,菅原 渉.カット野菜の品質保持研究の現状 調理科学Vo1,19No.4(1986) |