投稿日: 2020.10.09 | 最終更新日: 2023.07.31

ココアの栄養素は健康的?カカオポリフェノールとテオブロミンの効果

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ココア

甘くておいしい飲み物のひとつ・ココア。
幅広い世代に人気のココアですが、近ごろは健康面で注目されることも増えています。
テオブロミンカカオポリフェノールなど、ココアに含まれる成分のはたらきも研究されていますが、実際には私たちの健康にどのような効果をもたらしてくれるのでしょうか?

栄養価や、ココアに関する研究結果を見ていきましょう。

ココアとは?

カカオ製品

飲み物として身近な「ココア」は、

  • ココアパウダー(ピュアココア、純ココア)
  • 砂糖
  • 牛乳

からできています。

ココアパウダーと砂糖を少量のお湯または牛乳でよく練り、温めた牛乳で伸ばすという作り方が一般的です。

ココアの主な材料である「ココアパウダー」は、チョコレートなどと同じく「カカオ」が原料となっています。

カカオ製品の種類

カカオ製品はその加工の違いにより、様々な種類があります。

  • カカオマス・・・カカオ豆を発酵・焙煎させた後にすりつぶしたもの
  • カカオバター…カカオマスに含まれる油脂分
  • ココアケーキ…カカオマスからカカオバターを取り除いた残り
  • ココアパウダー(ピュアココア)…ココアケーキを粉末状に加工したもの

ココアはこのうちココアパウダーから作られています。

ピュアココアとミルクココアの違い

お湯や牛乳を注ぐだけで手軽にココアを楽しめるようになっている、ココアパウダーにあらかじめ砂糖や乳成分が加えられた製品も身近ですね。

ココアパウダー(ピュアココア、純ココア)に対して、上記のような製品は調整ココア(ミルクココア)と呼ばれます。

ココアの栄養価

ココアにはどのような栄養素が含まれるのでしょうか?

ピュアココア(純ココア)、調整ココアについて調べてみました。

ピュアココア 調整ココア
1食分の使用量(例) 5g 20g(製品によって異なる)
エネルギー 14kcal 82kcal
たんぱく質 0.9g 1.5g
脂質 1.1g 1.4g
炭水化物 2.1g 16.1g
食物繊維 1.2g 1.1g

*文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より作成

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

1杯のココアに使う分量は、ピュアココアでおよそ5g、市販の調整ココアは製品によって差があるものの、15~20gほど。
1回の使用量ではビタミンやミネラルといった微量栄養素の含有量に目立ったものはなく、ビタミンやミネラルの摂取目的でココアを飲むというのは難しそうでした。

食物繊維が豊富

その一方、意外と多かったのが食物繊維。
ココア1杯で1g程度の食物繊維が取れそうです。
1日の食物繊維摂取目標量は18-69歳で男性20g以上、女性18g以上となっているので、ココアだけでまかなうことができるというような量ではありませんが、飲み物としては多いほうと考えることができます。

ピュアココアと調整ココア、どっちがカロリー低い?

ミルクココアの粉末

甘くておいしいココアですが、そのカロリーが気になるという人も多いのではないでしょうか。

ピュアココアと砂糖・牛乳から作る手作りココアと、お湯または牛乳を注いで作ることができる調整ココア、どちらがカロリーを低く抑えられるでしょうか?

調整ココアとお湯で作ったココア1杯分は77kcal、牛乳で作った場合は163kcal。

ピュアココア5g、砂糖8g、牛乳140gから作った手作りココアのエネルギーは138kcalとなりました。

ピュアココア
で作ったココア
調整ココア(市販)
で作ったココア
調整ココア(市販)
と牛乳で作ったココア
1食分の材料 ピュアココア5g
上白糖8g
普通牛乳140g
調整ココア20g
湯140g
調整ココア20g
湯20g
牛乳120g
エネルギー 138kcal 82kcal 163kcal
たんぱく質 5.5g 1.5g 5.4g
脂質 6.4g 1.4g 5.9g
炭水化物 16.8g 16.1g 21.8g
食物繊維 1.2g 1.1g 1.1g

*文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より作成

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

手作りココアに比べると、牛乳で作った調整ココアのエネルギーはやや高め、お湯で作った調整ココアは低めに抑えられるようです。

とはいえ、手作りココアでは砂糖を減らしたり、低カロリー甘味料を使ったり
また牛乳を低脂肪タイプにする、といった工夫である程度のカロリーをカットすることもできます。
(砂糖のカットで30kcal程度、低脂肪乳使用でさらに30kcal程度のカットが可能です)

最近では、市販の調整ココアにも低カロリータイプが登場しているので、工夫次第でダイエット中でもココアを楽しむことができそうです。

ココアに含まれる機能性成分

ココアの機能性成分としては、カカオポリフェノールやテオブロミンも有名です。

カカオポリフェノール

カカオポリフェノールはカカオ製品に含まれるポリフェノールの総称。
「フラバノール」というポリフェノールの重合体を含む様々な化合物をまとめてカカオポリフェノールと呼んでいます。
日本食品標準成分表2015年版(七訂)で示されていたそれぞれのポリフェノール含有量は以下の通りです。

ポリフェノール含有量(g/100g)
ピュアココア 4.1 g/100g
調整ココア 0.9 g/100g

ココア1杯当たりの量を比較すると、
ピュアココア5gでは200㎎ほど
調整ココア20gでは180㎎ほど

が含まれているというデータがあります。

テオブロミン・カフェイン

テオブロミンやカフェインはともに「アルカロイド」というグループに属する物質で、強さの差はあるものの、どちらも興奮作用や利尿作用があることが知られています。
日本食品標準成分表2015年版(七訂)で示されていたそれぞれのテオブロミン及びカフェイン含有量は以下の通りです。

テオブロミン含有量
(g/100g)
カフェイン含有量
(g/100g)
ピュアココア 1.7 g/100g 0.2g/100g
調整ココア 0.3 g/100g Tr(微量)

ココア1杯あたりの量で比較すると、
ピュアココア5gではテオブロミン85㎎、カフェイン10㎎
調整ココア20gではテオブロミン60㎎、カフェイン微量
となります。

カフェインを含むとはいえ、ココアはコーヒー(カフェイン90㎎/150ml)と比べるとかなり少なめ。
テオブロミンもカフェインに比べると望ましくない影響は少ないと考えられており、よほどの大量摂取をしない場合であればカフェインについてさほど心配する必要はなさそうです。

カフェインについて詳しく解説した記事はこちら

市販品はばらつきが多い

最近ではカカオポリフェノールなどの機能性成分が注目され、通常よりも多くポリフェノールを含む調整ココアも販売されています。

そのため、ポリフェノール含有量は製品によっても大きく変わることが考えられます。気になる人はその都度パッケージの表示などをチェックするのがいいでしょう。

ココアは健康にいいってほんと?

ココア

カカオポリフェノールやテオブロミンといった成分によって、ココアやチョコレートのようなカカオ製品に健康機能があるのでは、と期待されています。

カカオの機能性成分にはどんな効果がある?

カカオ製品は、俗に

  • ポリフェノールや食物繊維によって生活習慣病予防効果がある?

  • 食物繊維のはたらきによって便通改善作用がある?

  • テオブロミンやカフェインによって集中力を高める?

…などといわれています。
実際にそのような効果があるのでしょうか?

研究が進められている途中と考えるのが◎

俗に言われているような健康効果は、カカオ製品に含まれる成分の特徴から推察されたものであり、ヒトの体での効果は、実際にヒトが飲んで調べなければわかりません。

カカオ製品の機能性を探る研究において、ヒトを対象にしたものは

  • 血中脂質に与える影響

  • 血圧に与える影響

  • 便秘に与える影響

  • 糖尿病、肥満に与える影響

  • 神経系に与える影響

などの研究結果が報告されています。

しかし、いずれも「カカオ製品の摂取で効果が得られる」という明確な結果は出ておらず、現時点ではココアを含むカカオ製品に

  • 何らかの健康効果がそもそもあるのか?
  • 効果があったとして、量やタイミングなど、どのような条件の摂取で効果があるのか?

ということはわかっていません。
そのため、現時点ではなんらかの健康効果を期待してココアを取り入れるのはあまり現実的ではない、といわざるを得ません。

現時点で期待できる(かも)なのは血圧への効果

そんな中、ココアを含むカカオ製品の健康効果の中で最も期待できそうなのが「血圧への効果」です。

オーストラリアの国立統合医学研究所で2012年に行われたメタ分析(複数の研究報告を分析する研究方法)では、2週間以上、1日あたり平均545㎎ほどのフラバノール(カカオポリフェノール)の摂取により、短期的ではあるものの血圧を有意に下げる可能性がある*)、と結論付けられました。

カカオ製品の摂取によって下がった血圧は2-3㎜Hgというわずかなものではあったため、現時点では治療目的で活用するのは難しいものの、将来的にはココアを含むカカオ製品が健康のために活用されるときが来るかもしれませんね。

摂取エネルギーには注意が必要

健康効果を期待されることも多いココアですが、砂糖や乳製品を加えて摂取することが多く、摂取エネルギーが高くなりやすいことに注意が必要です。

ココアの健康効果を期待しすぎてたくさん飲んだ結果、摂取エネルギーの増加によって肥満を招いてしまっては元も子もありません。

現時点では明確な健康効果が分かっていないことからも、今のところは「甘くておいしい飲み物」のひとつとして考えるのがいいでしょう。
食事全体のバランスをとったうえで、摂取エネルギーが過剰にならないように楽しむのがよさそうです。

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参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

文部科学省:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)PDF(日本語版)」

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(カカオについて)

Martínez-Pinilla E, Oñatibia-Astibia A and Franco R (2015) The relevance of theobromine for the beneficial effects of cocoa consumption. Front. Pharmacol. 6:30.

*)Ried K, Sullivan TR, Fakler P, Frank OR, Stocks NP. Effect of cocoa on blood pressure. Cochrane Database Syst Rev. 2012 Aug 15;(8):CD008893.

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。