投稿日: 2019.04.21 | 最終更新日: 2023.07.28

チアシードの栄養素とは?カロリーと栄養効果、使い方を解説

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チアシード

チアシードはメキシコ原産のシソ科植物の種子であり、直径1㎜ほどの黒や茶、灰色の粒状で、水に浸すと水分を吸収し、種の周りにゼリーのような物質を形成するのが特徴です。

一般的な食品よりも栄養価が高いという、スーパーフードのひとつとして知られていますが、具体的にはどのような点が栄養的に優れているのでしょうか?

チアシードに含まれる栄養素と、効果的な使い方を紹介します。

チアシードの栄養価

スーパーフードともいわれるチアシードですが、どのくらいの栄養素量が含まれているのでしょうか?

チアシードは乾燥状態ではゴマのように使うほか、水分を含ませて食べる方法があります。
いちどに食べる量の目安は、多くても乾燥状態で大さじ1(10g)程度。
水分を含ませると10倍程度に膨張し、100gほどに膨らみます。

今回はチアシード1回分の最大量、10gからとれる栄養素を見ていきましょう。

チアシード10gの栄養素量
エネルギー 49kcal
たんぱく質 2.0g
脂質 3.4g
n-3系脂肪酸 1.9g
炭水化物 3.5g
食物繊維 3.7g

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より作成

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

カロリー

チアシード10g(水戻し後100g)のカロリーは50kcalほど。
これはゆでたタピオカ(100gあたり62kcal)よりもやや低めです。

食物繊維

チアシードに含まれる栄養素のうち、特徴的なもののひとつが食物繊維の量。
全重量のおよそ1/3が食物繊維で占められています。

チアシードに水分を含ませたときにあらわれるゼリー状のものは「グルコマンナン」と呼ばれる水溶性食物繊維によるもの。

食物繊維は便のカサを増やし便通をよくする作用が知られていますが、長期的には生活習慣病予防の観点からも、積極的に取り入れたい栄養素です。

日本人の食物繊維摂取量は目標値と比べると不足ぎみなので、チアシードを習慣的に取り入れることで、長期的な食物繊維摂取量を底上げすることができそうです。

オメガ3脂肪酸

チアシードには脂質も多く、また、脂質の6割をn-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)のα-リノレン酸が占めています。

n-3系脂肪酸はヒトの体内で合成することのできない「必須脂肪酸」といわれ、食事からの摂取が必要な栄養成分。

通常の食生活では不足することは考えにくいものの、欠乏状態では皮膚炎などが起こるといわれています。

チアシード10gでカバーできる栄養素量

チアシード10gからとれる栄養素量を、1日に必要な栄養素量と比較してみました。

チアシード10gの栄養素量 食事摂取基準値
(18歳以上女性)
基準に占める割合
エネルギー 49kcal 活動レベルにより変動
たんぱく質 2.0g 50g【推奨量】 4%
脂質 3.4g エネルギー比で決定
n-3系脂肪酸 1.9g 2.0~2.2g【目安量】 86~95%
炭水化物 3.5g エネルギー比で決定
食物繊維 3.7g 17~18g以上【目標量】 21-22%

オメガ3脂肪酸を多く含み、水戻ししたチアシード100g(乾燥10g)で、n-3系脂肪酸の摂取目安量のおよそ1日分をとれることが魅力です。

また、食物繊維に関しても、摂取量の底上げに役立つ値といえそうです。

チアシードの効果的な取り入れ方

チアシードとランチ

食物繊維やn-3系脂肪酸などを豊富に含むチアシードはどのように食べるのがよいのでしょうか?

水分を含ませて食べる場合と乾燥のまま使う場合でそれぞれ紹介します。

ヨーグルトや飲み物に加える

ヨーグルトや飲み物にチアシードを加えることで、食物繊維の摂取量を無理なく増やせます。

チアシードそのものは味にあまり特徴がなく、どんな食べ物とも違和感が少なく組み合わせられる食品といえます。
習慣的に取り入れるのであれば、「いつもの飲み物」「いつもの食べ物」に加える方法がおすすめです。

毎日ヨーグルトを食べる人であればヨーグルトに、野菜ジュースが習慣になっている人では野菜ジュースに加えて…など、自分の生活に合わせて取り入れてみてはいかがでしょうか。

乾燥したままトッピング

チアシードの見た目は黒ゴマにも似ており、お好みの料理のトッピングとして、黒ゴマ感覚で振りかける方法であれば、水で戻す手間もなく簡単です。

水を含んでおなかの中で膨れるので、かけすぎには注意しましょう!

チアシードのダイエット効果

チアシードと女性

チアシードはダイエットに効果的といわれる食品のひとつです。

ダイエットにチアシードを取り入れるメリットは、

  • 水分を吸って膨張すること
  • 食物繊維が豊富で満足感を増してくれること

その一方、注意点としては、

  • チアシードのカロリーを相殺する必要があること

それぞれについて解説します。

水分を吸って膨張する

チアシードは水分を吸って10倍ほどに膨張する性質があります。

それによって、食事のカロリーを抑えつつ、食事の満足感を得るのに役立つかもしれません。

食物繊維が豊富で満足感アップ

チアシードは乾燥状態で重量の1/3を占めるほど食物繊維が豊富に含まれているため、食事の消化吸収をゆっくりにし、満腹感を引き延ばして間食を防ぐことにつなげられるかもしれません。

チアシードの分食事量を調整する必要がある

チアシードのエネルギーは水で戻した状態では100g当たり50kcalほどになりますが、これはゆでたタピオカ(100gあたり62kcal)よりもやや低めのエネルギー(カロリー)です。

チアシードそのものにもエネルギーがあるので、単に足すだけでは摂取エネルギーの上乗せになってしまいます。

よって、チアシードを取り入れてダイエットするには、前後でチアシードのエネルギーを上回るカロリーカットが必要です。

自分の消費カロリーを計算できるページはこちら

チアシードの注意点

食物繊維や必須脂肪酸の摂取源として注目されているチアシードですが、摂り方や量にも注意が必要です。

食べすぎに注意

チアシードは水分を多く含みますが、乾燥状態で食べた場合も、体内で水分を吸収します。
チアシードを1日にたくさん摂りすぎたり、十分な水分を一緒にとらなかったりすると、消化管内の水分を吸収しすぎて便秘を悪化させることも考えられるため、たっぷりの水分をとることも忘れないようにしましょう。

オメガ3を意識してとる必要はない

n-3系脂肪酸はチアシード以外にも、魚の脂や植物性油脂にも含まれています。
欧米と比べて「魚」を食べる機会が多く、動物性油脂と比較して「植物性油脂」の割合の大きい日本人では、欧米と比較するとn-3系脂肪酸の不足は考えにくいといわれています。

オメガ3を目的として、いつもの食事にチアシードを加える理由はあまりないかもしれません。

とはいえ、お魚を全く食べない、油脂の摂取量を厳しく制限しているという人にとっては、必要な脂質の摂取源としてチアシードを活用するのもいいかもしれません。

まとめ

まとめると、チアシードは食物繊維とn-3系脂肪酸が豊富で、食物繊維の摂取量を増やしたい人やダイエット中の人にはメリットの大きい食品のひとつといえます。

ただしカロリーは水だけで戻しても100gで50kcalほどあるため、ダイエット中の人は特に、食事全体のカロリーに注意しましょう。

チアシードを紹介するメディアでよく言われる「水とチアシードさえあれば生きていける」というほどには、栄養的に魅力的な食材だとは言いにくいですが、食物繊維をとる目的では、習慣的な摂取量アップに役立つ食品といえそうです。

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参考文献

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

一般社団法人 日本スーパーフード協会:「スーパーフードとは」

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(チアシードについて)

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。