ヘルシーなイメージの強い玄米。
ダイエットにも取り入れられそうな食材ですが、特別なダイエット効果はあるでしょうか?
ダイエットに玄米を取り入れる利点と、効果的な使い方を紹介します。
Contents
玄米のダイエット効果とは
ダイエットの原則は「食事からの摂取エネルギーを運動などによる消費エネルギーよりも小さくすること」。
玄米が食事からの摂取エネルギーを減らすのに役立つのであれば、ダイエットに活用できるといえそうです。
体脂肪を減らすためのダイエットとカロリーについて詳しく解説した記事はこちら
玄米と白米の比較
玄米をダイエット目的で使うという場合、白米と置き換えて使うという人が多いと考えます。
白米を玄米に置き換えて使ったときの摂取栄養素等の変化を見てみましょう。
■白米ごはんと玄米ごはんの栄養価比較
白米ごはん | 玄米ごはん | 変化量 | |
エネルギー | 302kcal | 297kcal | -5kcal |
タンパク質 | 4.5g | 5.0g | +0.5g |
脂質 | 0.5g | 1.8g | +1.3g |
炭水化物 | 66.8g | 64.1g | -2.7g |
うち食物繊維 | 0.5g | 2.5g | +2.0g |
*それぞれお茶碗約1杯分180gあたり 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より作成 |
食物繊維が多いのが特徴
玄米で特徴的なのは、食物繊維が白米よりも多い点です。
白米は稲から外した状態ではもみ殻という殻に覆われています。
もみがらを外しただけのものが玄米といわれる状態、精米によって「胚乳」といわれる部分だけにしたものが白米です。
白米である胚乳の部分には炭水化物がほとんどを占め、食物繊維はぬかや胚芽の部分に多く存在するために、玄米と白米でこのような差が出ます。
食物繊維は便のカサを増やして便秘の予防・改善に良いとされるほか、十分な摂取により生活習慣病予防にはたらくことが知られています。
食物繊維は穀類、野菜類、キノコ類などに含まれていますが、その中でも米、小麦などの穀類は、主食として食事への登場頻度も高く、摂取量も多いため、安定して食物繊維を摂取するのに適した食品といえます。
玄米は白米に比べても食物繊維が豊富なので、毎日の食事で無理なく食物繊維をとるのに役立ちます。
1日1回、お茶碗1杯分を白米から玄米に変えた場合、2gほどの食物繊維を増やすことができます。
カロリーオフ効果はほぼない
ダイエットの観点から見た場合に、白米ごはんを玄米ごはんに同じ量で置き換えたとすると、カロリー摂取量にはほとんど変化がありません。
そのため、単純に白米を玄米に置き換えたとしても、ダイエット効果があるとは言えないようです。
よく噛むことで食事量を抑える
ダイエットに関して玄米に効果があるとすれば、「食物繊維が豊富で噛み応えがある」という点です。
玄米と白米を比較すると、食物繊維の含有量が異なります。
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
玄米は食物繊維が多いために白米に比べると固めの食感になり、「よく噛んで食べる」ことに適していると言えます。
よく噛むと満腹感が得られやすいため、少なめの量でも満足できれば、摂取エネルギーのカットに役立ちそうですね。
また、食物繊維が豊富な食事は消化吸収がゆっくりになり、満腹感が長く続くため、腹持ちの面でもダイエット向きです。
また、食物繊維の摂取量が増えることで、便のカサが増えて腸管を刺激し、便秘の解消につながることが期待できます。
便秘によるぽっこりおなかが気になる人にはうれしい変化になるかもしれませんね。
玄米の利点を生かす取り入れ方
玄米を取り入れてダイエットをするのなら、満腹感を得やすい点に期待していつもの白米ごはんの量から少し減らして食べてみてはどうでしょうか?
たとえば、お茶碗1杯180gを130gに減らした場合、1食あたり80kcal程度の摂取カロリーカットになります。
1日1回変更した場合は90日で、1日2回変更した場合は45日で体脂肪1㎏に相当する摂取カロリーをカットすることができます。
玄米ダイエットの代表格「七号食ダイエット」の効果
玄米を取り入れたダイエット方法として有名なのが「七号食ダイエット」。
七号食ダイエットとは、以下のようなルールの下で行うダイエット方法です。
- 10日間小豆入りの玄米ごはんだけを食べる
- そのほかに食べられるものはゴマと塩のみ、肉や野菜は禁止
- 1日に食べる玄米ごはんの量や回数に制限はないものの、1日の目安は600g
- 一口ごとに30回噛んで食べること、1日40分歩くこと、早寝などが推奨されている
本質は摂取カロリー制限
七号食ダイエットによるダイエット効果は、食事内容が極端に制限されることで摂取エネルギーが激減することにあります。
標準的な活動量の成人女性の消費エネルギーは、1日あたりおよそ2000kcal。
目安とされている玄米ごはん600g(約2合)で摂れるエネルギーはおよそ1000kcal程度であり、不足するエネルギーは1000kcalほどになります。
10日間で不足するエネルギーが合計約10000kcalだったとすると、10日間で1.3㎏程の体脂肪が消費されることになります。
結果だけ見ればよいダイエット方法のように思えるかもしれませんが、その内容は通常の食事を抜いてスムージーや酵素ドリンクのみを摂取する「ファスティング(断食)」とそう変わりません。
体調不良に注意が必要
玄米ごはんだけを食べる七号食ダイエットですが、その問題点として
- 極端な食事制限により摂取栄養素が大きく偏る
- 極端なカロリー制限により起こる体調不良が予想される
ということが挙げられます。
七号食ダイエットではこういった体調不良について、「瞑眩反応」「好転反応」などと称して「デトックスの証」「よくなっている証拠」と説明していることもありますが、医学的にはこのような「よくなる過程で一度悪い反応が出ること」という解釈はなく、不必要に体調不良を起こすものは避けるべきです。
また、「10日間限定」で食事を変えるだけでは、もともとの食習慣が改善されていないため、リバウンドを引き起こしかねません。
栄養の面でも、食事が小豆入りの玄米ご飯のみではたんぱく質や脂質が不足することが予想され、栄養バランス的にも望ましいものとは言えません。
どのダイエット方法も、本質は摂取エネルギーの制限にはなりますが、その方法は短期間につらい方法を耐える…というものではなく、もともとの食習慣から見直すような続けられる方法がリバウンドしない方法と考えられるのではないでしょうか。
玄米が適さない場合、玄米が苦手な場合のポイント
消化に悪いので、消化管が弱っている人には不適
食物繊維が多い食品ということは、消化されにくい食品ということでもあります。
消化されにくい食品は胃や腸などの消化器官に負担をかけるため、胃や腸が弱っている人はなるべく避けたほうがいい食品となります。
同様の理由で、玄米は消化管の未熟な乳幼児にもあまり適した食材とは言えません。
玄米以外の選択肢にも目を向けてみる
玄米は食物繊維の摂取源として優秀ですが、白米に比べて口に合わない…と思う人がいるのも事実。
パサパサした食感が気になる人は白米と玄米の中間に位置する3分つき米や半つき米(5分つき米とも)、7分つき米などを選ぶとおいしく食べられるかもしれません。
また、穀類の中でも、全粒粉や押し麦、もち麦なども食物繊維が多い食品としてよく知られています。
そのほか、食物繊維の摂取源は穀物だけではなく、野菜や果物、きのこ、海藻類など、様々なものがあります。
食事の腹持ちアップや食物繊維のプラスには玄米でなければ、ということはありませんので、おいしく食べられるものを選ぶのがよいでしょう。
まとめ
完全栄養食ともいわれることもある玄米ですが、実際にはそのようなことはありません。
また、玄米に限らず、「これさえ食べていれば痩せられる・健康でいられる」というものはありません。
玄米に関しては、白米と比べてカロリーは変わらないものの、食物繊維が豊富で噛み応えがある点が魅力です。
ダイエットにおいては、これまで食べていた白米ごはんを、量を減らした玄米ごはんに変える方法がおすすめです。
健康的なダイエットのためには、いろいろな食材を適量取り入れるのが良いでしょう。
ダイエットの後押しになる食材のひとつとして、頼りすぎない程度に玄米を取り入れていてはいかがでしょうか?
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参考文献 |