投稿日: 2019.04.20 | 最終更新日: 2023.09.29

ブロッコリーの栄養素とは?選び方とビタミンを効果的にとる調理法を紹介

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ブロッコリーを選ぶ女性

サラダやシチューのいろどりにぴったりのブロッコリー。
付け合わせなどの脇役としておなじみの野菜ですが、実は栄養素がたっぷり含まれています。
ブロッコリーに含まれる栄養素の働きと栄養素を活かす調理法、おいしいブロッコリーの選び方やレシピを紹介します。
身近な野菜であるブロッコリーの魅力を知り、日々の食卓にぜひ加えてくださいね。

ブロッコリーの栄養素

ブロッコリー

ブロッコリーは野菜に分類される食品ですが、野菜の中でも含まれる栄養素が豊富なことも魅力です。
カロリーのほか、ブロッコリーに含まれる主要な栄養素について解説し、近年注目されている機能性成分についても併せて紹介します。

カロリーと3大栄養素

ブロッコリー100gあたりのカロリーと3大栄養素の含有量は、以下のようになっています。

■ブロッコリーの栄養成分値(100gあたり)

ブロッコリー(生)  ブロッコリー(ゆで)
カロリー  37kcal  30kcal
たんぱく質  5.4g  3.9g
脂質  0.6g  0.4g
炭水化物  6.6g  5.2g
水分  86.2g  89.9g

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より作成

ブロッコリーの主成分は9割ほどを占める水分と、食物繊維路含む炭水化物、たんぱく質です。
ほかの野菜類と同様、エネルギー源となる栄養素はさほど多くないため、エネルギーは低い食材のひとつです。

たんぱく質

ブロッコリーは野菜の中でも比較的多くたんぱく質を含む食品です。

■野菜類のたんぱく質含有量(100gあたり)

食品名  たんぱく質含有量
えだまめ(生)  11.7g
そらまめ(生)  10.9g
ブロッコリー(生)  5.4g
モロヘイヤ(生)  4.8g
豆苗(生)  3.8g

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より作成

100gに含まれるたんぱく質は5.4gと野菜類の中ではやや多めですが、植物性食品でありアミノ酸スコアも高くないため、主要なたんぱく源というよりは補助的なものと考えるのが良いでしょう。

食物繊維

ブロッコリーは生の状態で100gあたり5.1gの食物繊維を含みます。
これは他の生野菜と比較しても多めで、食物繊維の良い摂取源となる食品のひとつといえます。

■野菜類の食物繊維含有量(100gあたり)

食品名  食物繊維含有量
モロヘイヤ(生)  5.9g
ごぼう(生)  5.7g
ブロッコリー(生)  5.1g
えだまめ(生)  5.0g
オクラ(生)  5.0g

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より作成

食物繊維は炭水化物のひとつですが、ヒトの体では消化されないため、ほとんどカロリーになりません。
腸の中で便のカサを増やして便通を促す作用があるほか、食物繊維を長期的に十分な量を摂取することで、将来の生活習慣病のリスクを下げることがわかっています。
摂取目標量は18-64歳の男性で21g以上、女性で18g以上となっていますが、摂取状況としては不足気味。積極的にとりたい栄養素です。

ビタミン

ブロッコリーは各種ビタミンを多く含む食品でもあります。
ブロッコリーに含まれるビタミンとしては、以下の4種類が代表的です。

  • ビタミンC
  • ビタミンK
  • 葉酸
  • β-カロテン(プロビタミンA)

ブロッコリーに含まれるビタミン類の量は以下のようなデータがあります。

■ブロッコリーに含まれるビタミン類(100gあたり)

栄養成分名  含有量
ビタミンC  140㎎
ビタミンK  210㎍
葉酸  220㎎
β-カロテン  900㎍

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より作成

ビタミンCは抗酸化作用を持つビタミンで、細胞の老化を防ぐとともに、コラーゲン生成にかかわっています。
野菜や果物に主に含まれますが、ブロッコリーはビタミンCを多く含む野菜としてトップクラスに位置しています。

ビタミンKは血液凝固を正常に保ったり、骨の健康を維持したりするのに働くビタミンです。
ブロッコリーのほか、身近な野菜では小松菜やホウレンソウ、モロヘイヤなどに多く含まれています。

葉酸は赤血球を正常に保つほか、妊婦では胎児の正常な発育に必要なビタミンです。
ブロッコリーのほか、菜の花、えだまめ、モロヘイヤに多く含まれています。

ブロッコリーは体内でビタミンAとして働くβ-カロテンを900㎍含み、「緑黄色野菜」に分類されています。

ビタミンAは正常な視覚を保つのに必要な栄養素である一方、取りすぎもよくないものですが、野菜のβ-カロテンは必要な分だけビタミンAに変換されるため、安心して取ることができるのが魅力です。

ミネラル

ブロッコリーは一部のミネラルも豊富に含む野菜といえます。
ブロッコリーに含まれるミネラルは、以下のようなものがあります。

  • カリウム

■ブロッコリーに含まれるミネラル類(100gあたり)

栄養成分名  含有量
カリウム  460㎎
鉄  1.3㎎

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より作成

カリウムは体内のミネラルバランスを保つのに必要なミネラルであり、高血圧の原因となるナトリウムの排出に働きます。
現代の食生活ではナトリウムをとりすぎる傾向にあるため、カリウムは特に意識してとるようにしたい栄養素といえます。
ブロッコリーは比較的多くカリウムを含む野菜ではありますが、基本的に不足しやすい栄養素であるため、ブロッコリーに限らずいろいろな野菜からとるのがおすすめです。

鉄分は赤血球の主要な成分を構成するミネラルです。
月経のある女性では不足しやすいため、さまざまな食品からとりたい栄養素のひとつです。
鉄は小松菜やほうれん草に多く含まれているミネラルですが、ブロッコリーも比較的多く含んでいます。

その他の成分

ブロッコリーは必須栄養素のほかに、機能性成分として健康機能が期待されている成分が含まれる食品のひとつです。
ブロッコリーに含まれる機能性成分としては、以下の2種類が代表的です。

  • スルフォラファン
  • ルテイン

スルフォラファンはブロッコリーのほか、ケールなどに含まれる「えぐ味」のある成分です。
肝臓の解毒作用を助ける作用、抗炎症作用、ピロリ菌への抗菌作用などが期待されているものの、食事としてヒトが摂取した場合の効果については十分な根拠が得られていないようです。
ブロッコリーの新芽(スプラウト)に特に多いことで知られています。

ルテインは私たちの体内では眼球に多く存在する成分で、目の健康維持や疲労回復効果、目の病気の予防効果が嫌いされている成分でもありますが、効果に関する研究はいまだ途上といった状態であり、ルテインを含む食品を食べると目が健康になる、といった風に単純に考えることは難しいようです。

ブロッコリーはどんな人におすすめ?

ブロッコリーがおすすめな人

さまざまな栄養素を豊富に含むブロッコリーですが、特にどんな人におすすめといえるのでしょうか?
ブロッコリーの持つ栄養的な特徴から考えた場合、以下のようなパターンが考えられます。

  • ダイエット中の方
  • 野菜の栄養を効率的に取りたい方
  • 妊娠中の方

それぞれについて詳しく解説します。

ダイエット中の方

ブロッコリーは低カロリーで食べ応えがあるため、食事からのカロリー摂取のコントロールが必要なダイエット中の方の食事におすすめの食材です。

低カロリーなだけでなく、たんぱく質や食物繊維など、ダイエット中に摂りたい栄養素が豊富に含まれる特徴があるので、ダイエットメニューにも良く利用されています。
ダイエット中に起こりがちな便秘の予防や解消にも役立つことが期待されます。
野菜の中では歯ごたえがあるため、食事の満足感を高める効果も期待できそうですね。

ブロッコリーをダイエットに活用する方法について詳しく解説した記事はこちら

野菜の栄養を効率的にとりたい方

ブロッコリーは野菜の中でもビタミンC、葉酸、ビタミンKといった野菜の各種栄養素が豊富に含まれているため、限られた食事量で野菜の栄養素を効率的に取りたいという方にもおすすめです。

ブロッコリーは比較的淡白な味わいのため、どんな味付けにも合うのが魅力です。
野菜が苦手な方でもブロッコリーの味付けを工夫することで、食べやすく野菜の栄養も摂れるのではないでしょうか。

妊娠中の方

妊娠中に必要量が高まる葉酸や鉄分の摂取源としてもブロッコリーは優秀な食材です。

特に葉酸は妊娠初期に重要な働きを持つため、妊娠がわかる前から意識したい栄養素といわれています。
葉酸サプリメントの活用も一つの方法ですが、普段の食生活で葉酸摂取量を増やしたいという人の場合には、ブロッコリーも便利な食材のひとつになります。

鉄分は普段の食事では不足しやすく、妊娠中は必要量も高まります。
肉類から効率的にとれる栄養ではありますが、あえて肉類にこだわるのではなく、ブロッコリーを含む野菜などから幅広くとることが大事なポイントです。

その他、妊娠中に起こりやすい便秘の解消に役立つ食物繊維が多く含まれることも魅力です。
また、体重コントロールがうまくいかない場合には、低カロリーで食べ応えがある点を妊娠中の食事管理に役立てることができそうです。

ブロッコリーの栄養を効果的にとるための調理のコツ

レンジ調理のブロッコリー

ブロッコリーを食べるとき、調理方法にも気を配るとさらに栄養素を効率的にとることが可能です。

ここからは、ブロッコリーを調理するときに気を付けたいポイントについて紹介します。

新鮮なものを使う

ブロッコリーに限った話ではないですが、野菜は収穫後も生きているため、時間がたつと野菜に含まれる栄養素が消費され、栄養価が下がってしまいます。

  • つぼみ部分が黄色くなく、張りのあるものを選ぶ
  • 買ったらなるべく早く使う
  • 保存は冷蔵庫の野菜室で

新鮮なものを購入すること、購入したら低温で保存しなるべく早く使うことを意識するとよいでしょう。

ゆで調理よりレンジ調理・蒸し調理が効果的

ブロッコリーの調理はゆでるのが定番ですが、ゆで調理はお湯に栄養素が流れ出すため、栄養素を無駄なくとりたい場合は電子レンジ調理や蒸し調理などがおすすめです。

また、電子レンジ調理や蒸し調理をする場合の下処理では、漬け置きでの洗浄を行うと良いでしょう。

ブロッコリーは細かく枝分かれしているため、つぼみの部分にゴミや小さな虫が入りやすい特徴があります。
その上、つぼみの部分は水をはじきやすくなっており、さっと洗うだけでは十分に汚れが取れにくいのが難点。
小房に分けて茹でる・またはしばらくつけおきしておくことで、小さな虫が取れやすくなります。

漬けおきで汚れを取り除く方法

ボウルに1%程度の塩水を作り、小房に分けたブロッコリーを浸し、落とし蓋などを使って10~20分水没させましょう。
取り出すときは振り洗いをすると汚れが落ちやすいです。

つけおき処理後は、そのままレンジ調理や炒め物に使うことができます。
加熱しすぎないようにして食感を保つことで、食べ応えも出て満足感が得られます。

油と一緒に調理する

ブロッコリーはビタミンKやβ-カロテンが豊富な野菜です。
ビタミンKやβ-カロテンは脂溶性ビタミンに属する栄養素で、油と一緒に摂取することで、吸収率を高められることが知られています。

具体的には、以下のような調理法が挙げられます。

  • 油脂類を使った炒め物にする
  • オイル入りのドレッシングをかける

このときの油脂類は、バターやラードのような動物性の油脂よりも菜種油やオリーブオイルのような植物性の油脂を選ぶと、生活習慣病につながりにくい特徴を持つため健康的です。
合わせて、油脂類は総じて高カロリーであるため、摂取カロリーにも気を付けつつ、適量範囲で取り入れてみてはいかがでしょうか?

冷凍ブロッコリーは栄養に問題なし

ブロッコリーは冷凍野菜としても販売されています。
冷凍で比較的長期間保存されているため、栄養素が減っているのではないかと心配されることもありますが、生で購入・調理したブロッコリーと比較して冷凍ブロッコリーが栄養面で劣ることはありませんので、安心して利用しましょう。

冷凍野菜は総じて新鮮なうちに下処理・冷凍されており、また冷凍保存による栄養素の損失はほとんど起こらないため、新鮮なブロッコリーが手に入りにくい時期には冷凍野菜が最善の選択肢になることも少なくありません。

冷凍野菜は調理済みですぐに使える利便性や価格が安定していて経済的、といったメリットもありますので、必要に応じて上手に活用するのがおすすめです。

ブロッコリーの選び方・保存方法

おいしいブロッコリーの特徴

ブロッコリーは手に入りやすい野菜ではありますが、おいしく・栄養素を効果的にとるためには、良いものを選び取って適切に保存するのが大事です。

おいしく栄養満点なブロッコリーの上手な選び方と保存方法を紹介します。

おいしいブロッコリーの選び方

おいしいブロッコリーの選び方のポイントは、旬の時期に良い状態のものを選ぶことです。

ブロッコリーの旬は12~3月の冬の時期。
この時期のブロッコリーはより栄養価が高くなり、値段もお手頃になるので、積極的に取り入れたいですね。

ブロッコリーは小さなつぼみの集合体です。
おいしいブロッコリーはこのつぼみの部分が固く締まっていて、全体が丸く盛り上がったようなものを選びましょう。

色は緑が濃いものが良いですが、冬場には紫がかった甘みが増しているものも見かけるようになります。
これもおいしい証拠ですので、チェックしてみてください。

また、茎の切り口もおいしいブロッコリーを見分けるポイント。
亀裂が入っていない、みずみずしいものを選ぶと柔らかく甘味があるといわれています。

ブロッコリーの保存方法

ブロッコリーはあまり日持ちのしない野菜なので、なるべくなら早めに使い切りましょう。

使い切れない場合は、水けをとってビニール袋に入れ、冷蔵庫で立てるように保存します。
または、新鮮なうちに小房に分けて固めに茹で、冷蔵保存するか冷凍して保存しましょう。

冷凍すると食感が柔らかくなってしまうので、固めの食感が好きな場合はなるべく早く使い切りましょう。

ブロッコリーの栄養素を活かすレシピを紹介

ビタミンに富んだブロッコリーを活かしたメニューのレシピを紹介します。
栄養を意識した食事の参考にしてみてくださいね。

ビタミンたっぷり!鮭のクリームシチュー

鮭のクリームシチュー

【材料】4人分

生鮭 2切れ(200g)
ひとつまみ(1g)
薄力粉 大さじ1(9g)
サラダ油 小さじ1(4g)
玉ねぎ 1個(200g)
にんじん 1本(150g)
ブロッコリー 1株(小房に分け、茎の皮をとって300g)
じゃがいも 1個(150g)
400ml
牛乳 200ml
クリームシチューのルー 1/2箱(4皿分)(80g)

※横スクロールで表全体の確認が可能です。

【作り方】

  1. 鮭は3~4等分の食べやすい大きさに切り、塩を振りかけ、小麦粉をまぶす。
  2. ブロッコリーは小房に分けてつぼみの部分を1%の食塩水に10~20分つける。茎の部分は一口大に切る。
  3. 玉ねぎはくし切り、にんじんとじゃがいもは乱切りにする。じゃがいもは水にさらす。
  4. 鍋に油を熱し、鮭の両面を焼いて取り出す。じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、ブロッコリーの茎を炒める。玉ねぎがしんなりしたら水を加える。
  5. 煮立ったらアクをとって具材が柔らかくなるまで弱火で20分煮込む。
  6. ブロッコリーを水からあげ、耐熱の器に入れて軽くラップをかけて600wの電子レンジで1分30秒加熱する。
  7. 鍋の火を止め、シチューのルーを割り入れて溶かし、牛乳、鮭、ブロッコリーを入れて軽く煮込んで出来上がり。

【栄養価】

1人分343kcal ビタミンA 350㎍ ビタミンE 3.1mg ビタミンC 110mg

ビタミンA・C・Eは細胞を酸化から守ってくれるビタミン。
一皿でビタミンAとビタミンEは1日の推奨量の半分が、ビタミンCは100%以上が取れます!

まとめ

ブロッコリーはエネルギーが低い一方、食物繊維、ビタミン、ミネラルのような栄養素が豊富に含まれている優れた食材のひとつです。

ダイエットのためのカサ増し食材としても、ビタミンの効率的な補給にも役立つ便利な野菜といえます。
ダイエット中の人、野菜の栄養を摂りたい人、妊娠中の人など、幅広い人におすすめです。
健康維持・増進のために、ブロッコリーを上手に取り入れてくださいね。

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参考文献

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報「ブロッコリー」

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

吉田企世子 監修. 女子栄養大学 栄養のなるほど実験室. 女子栄養大学出版部, 2019.4

上西一弘. 食品成分最新ガイド 栄養素の通になる 第5版. 女子栄養大学出版部, 2022.8

中村宜督. 食品でひく 機能性成分の事典. 女子栄養大学出版部, 2022.7

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。