苦みが特徴のゴーヤは、いかにも栄養がたっぷりのように思えます。
胃腸の調子を整える、糖尿病の予防にも効果あり?とうわさされますが、本当なのでしょうか?
ゴーヤの栄養と機能性について調べてみました。
Contents
ゴーヤ(苦瓜、にがうり)とは
ゴーヤはキュウリやスイカなどと同じ、ウリ科の植物です。
ニガウリ、ゴーヤ、ツルレイシなどとも呼ばれ、日本以外の国でも食べられている野菜です。
ゴーヤはもともと沖縄での呼び名ですが、今では全国で親しまれている呼び名ですね。
ちなみに、英語では「ビターメロン」と呼ばれるそうですよ。
ゴーヤの栄養価
独特の苦みが特徴のゴーヤ。
ビタミンやミネラルは豊富なのでしょうか?
代表的なものを紹介します。
ニガウリ | 食事摂取基準充足率 1~69歳女性 |
|
エネルギー | 9kcal | – |
水分 | 47.2g | – |
たんぱく質 | 0.5g | – |
脂質 | 0.1g | – |
炭水化物 | 2.0g | – |
食物繊維 | 1.3g | 7% |
カリウム | 130㎎ | 5%(目標量) |
ビタミンK | 21㎍ | 14%(目安量) |
葉酸 | 36㎍ | 15%(推奨量) |
ビタミンC | 38㎎ | 38%(推奨量) |
*1食分50g(1/4本)あたり、 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」、厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書より作成 |
ほぼカロリーゼロ
栄養素の中でもたんぱく質、脂質、炭水化物はエネルギー源となるものです。
ゴーヤは野菜の中でもこれらの栄養素がかなり少なく、カロリー(エネルギー)が低いのが特徴です。
比較的、炭水化物はあるように見えますが、その大部分は食物繊維で、残りのほとんどは水分でできています。
ビタミン類が比較的豊富
エネルギーが低いわりに、ビタミンC、ビタミンK、葉酸といった主に野菜に含まれるビタミン類が比較的豊富に含まれています。
ゴーヤだけで1日の必要量をまかなえるといったことはありませんが、ビタミン補給の意味からも、「食べて損はない」といえそうです。
緑黄色野菜ではない
深い緑色の見た目をしているゴーヤですが、実は緑黄色野菜には分類されません。
緑黄色野菜の判断基準となるβ-カロテンが緑黄色野菜は600㎍以上のところ、ゴーヤのβ-カロテン当量は210㎍と意外に少ないため、淡色野菜に分類されます。
バランスのとれた食生活のためには、緑黄色野菜もしっかりとりたいですね。
苦味成分が特徴
独特の苦みは、モモルディシンやククルビタシンといった苦味成分によるもの。
苦みが苦手な人は、薄切りにして水にさらしたり、少量の砂糖と塩でもむと水分と一緒に苦み成分も抜けるので、試してみてくださいね。
ゴーヤの機能性
ゴーヤはおいしい食材として以外にも、糖尿病を改善したり、胃腸を整えたりといった効果が期待されているそう。
実際にサプリメントなどにも活用されているようですが、本当に効果はあるのでしょうか?
糖尿病にいい?
ゴーヤが血糖値を下げ、糖尿病に効果あり、といわれています。
しかも薬のような副作用がなくて安心、とする情報も。
しかし、ゴーヤと糖尿病に関するいくつかの実験を調べたマレーシアの研究では、2型糖尿病に対してゴーヤによる効果は見られず、治療目的でゴーヤを推奨する根拠は不十分*1)、と結論付けています。
一方で、ゴーヤを食べることで血糖値に何らかの影響を与える「可能性」はある、と言われています。
副作用がなく血糖値が下がるといわれていますが、実際には「どのくらい食べればどんな影響があるのか、わかっていない」ということです。
通常の食品として食べる範囲ではさほど重大な影響はないのでは、と考えられていますが、糖尿病や耐糖能異常がある人には、過剰量の摂取や濃縮物はおすすめできません。
自己流の医療で体調が悪化してしまっては元も子もありませんので、医療機関に相談し、指示を仰ぐのが安心です。
胃腸の調子を整える?
ゴーヤに含まれる苦味成分が胃腸のはたらきを整えるとも言われています。
しかし、ゴーヤに含まれる成分によって胃腸に良い効果があったとする報告は見当たりませんでした。
むしろ、種と表皮に含まれる「レクチン」という成分によって、理論上は腸管のはたらきを阻害する可能性があるようです。
実際にゴーヤからの抽出液を大量に摂取したインドの男性の例では、200-300mlの吐血をし、胃に潰瘍が見つかったという報告*2)もあります。
胃粘膜に刺激を与える物質は少量であれば食欲増進に働くこともあります(例:唐辛子の辛み成分、レモンや酢に含まれる酸)。
ゴーヤの苦み成分もこれらと同じように少量なら食欲増進に働く可能性はありますが、胃腸の働きに不安があるとき、過剰な量を摂取してしまうと逆効果になってしまうことも予想されますので、むちゃな取り方は避けたほうがよいでしょう。
ゴーヤに注意が必要なポイント
健康食品の素材として使われることもあるゴーヤですが、とる人やとり方には一部注意が必要になることもあるようです。
妊娠中、妊娠希望の女性は少し注意
動物実験レベルの話ではありますが、ゴーヤが妊娠に影響する可能性があります。
生のニガウリの実に含まれる成分が流産を誘発すること、種子に含まれるモモルカリンという成分に妊娠阻害作用が認められたことがある*2)ようです。
ヒトでの明確な被害報告はないため、通常の食事レベルの摂取量では起こりにくいと考えられますが、妊娠を希望している人や妊娠中の人に関しては、通常の食事の範囲を逸脱するような高い頻度で食べたり、多量に食べたりといったことは控えたほうが安心です。
サプリメント等による過剰摂取に注意
通常の食事で食べる量では問題は起こりにくいと考えられていますが、ゴーヤを原料としたサプリメントや、スムージーのような液体では、通常では難しいような大量摂取が比較的容易にできてしまいます。
そのため、サプリメントや液体としての摂取では普段の食生活では起こりにくい胃腸障害や妊娠への悪影響を及ぼす可能性がないとは言い切れない点に注意が必要です。
現時点ではゴーヤの多量摂取によって体に良い効果があるとはいえません。
わざわざサプリメントとしてゴーヤの成分をとる必要はないと考えたほうがよさそうです。
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参考文献 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 *1)Ooi CP, Yassin Z, Hamid TA. Momordica charantia for type 2 diabetes mellitus. Cochrane Database Syst Rev. 2010 Feb 17;(2):CD007845. |