アボカドは体に必要な栄養素を豊富に含むことから、「食べる美容液」ともいわれています。
美容効果やアンチエイジング効果が期待されることも多い食材ですが、アボカドを食べることで美容によい結果が得られるのでしょうか?
アボカドに含まれる栄養素から、美容にかかわるものについて紹介します。
Contents
アボカドの栄養素
アボカドは脂質が多くカロリーが高めですが、ビタミンやミネラルも豊富なのが魅力です。
それぞれについて詳しく解説します。
カロリー
日本食品標準成分表2015年版(七訂)によると、アボカドのカロリーは1個120gあたり224kcalです。
エネルギー源となる栄養素のうち、脂質が突出して多く含まれています。
■アボカド1個(120g)あたりの栄養価(カロリーと三大栄養素)
アボカド | |
エネルギー | 224kcal |
タンパク質 | 3.0g |
脂質 | 22.4g |
炭水化物 | 7.4g |
脂質
アボカドの主成分は「脂質」。果実の中で最も脂質を多く含んでいることが知られています。
重量の18.7%を脂質が占めることから、森のバター、バターフルーツとも呼ばれるのもうなずけます。
脂質が多いというと不健康なイメージですが、アボカドの油はバターなどの動物性油脂と比較して一価不飽和脂肪酸が多く含まれているのが特徴です。
植物性食品に比較的多く含まれる一価不飽和脂肪酸は、動物性食品に比較的多い飽和脂肪酸に比べ、血中コレステロール値に悪影響を与えにくく、生活習慣病につながりにくい油として知られています。
食物繊維
アボカドは1個120gあたり6.4gの食物繊維を含みます。
アボカドは滑らかな口当たりながら、食物繊維が豊富に含まれているのも魅力の一つです。
100gあたりでは5.3gと、実はごぼうと同じくらいの食物繊維が含まれています。
食物繊維をしっかりとることで、生活習慣病の予防や腸内環境を改善に役立ちそうです。
ビタミンE
アボカドは1個120gあたり4.0㎎のビタミンEを含みます。
ビタミンEは抗酸化作用によって活性酸素を除去し、細胞の老化を防ぐ作用があります。
乾物や果物の皮部分を除いた果物の中でビタミンEを最も多く含んでいるのはアボカドで、アボカド1/2個で1日の摂取目安量の1/3が確保できます。
ビタミンB2,B6
アボカド1個120gあたり、ビタミンB2は0.25㎎、ビタミンB6は0.38㎎含まれ、それぞれ1日に必要な量の2~3割を賄うことができます。
アボカド | 食事摂取基準に対する充足率 | |
ビタミンB2 | 0.25㎎ | 20.8% |
ビタミンB6 | 0.38㎎ | 34.5% |
*日本食品標準成分表2015年版(七訂)、日本人の食事摂取基準(2020年版)18-64歳女性の値から作成
ビタミンB2・ビタミンB6はアミノ酸や脂質の代謝を助け、肌の健康を保つのに役立つビタミンです。
通常は肉や魚などに多く含まれていますが、アボカドにも豚肉と同じくらいの量が含まれています。
葉酸
アボカドは1個120gあたり、葉酸を100㎍含みます。
アボカド | 食事摂取基準に対する充足率 | |
葉酸 | 100㎍ | 41.7% |
*日本食品標準成分表2015年版(七訂)、日本人の食事摂取基準(2020年版)18-64歳女性の値から作成
葉酸は血液を正常に作る働きをもつほか、妊娠初期に葉酸が不足すると胎児の発育障害が起こりやすくなるといわれており、妊娠する前から不足しないようにしたいビタミンです。
緑黄色野菜に多く含まれますが、水溶性の成分であるため、茹でることで失われやすい特徴があります。
調理することなく生で食べられるアボカドは無駄がない摂取源と言えますね。
葉酸について詳しく解説した記事はこちら
カリウム
アボカドはカリウムも多く含む食材で、1個120gあたり860㎎のカリウムを含みます。
アボカド | 食事摂取基準に対する充足率 | |
カリウム | 860㎎ | 33.1% |
*日本食品標準成分表2015年版(七訂)、日本人の食事摂取基準(2020年版)18-64歳女性の値から作成
カリウムは体内の塩分や水分の調節にかかわっており、むくみの改善や体内の水分・ミネラルバランスを保つのに役立つ成分です。
カリウムの含有量も乾物を除く果物の中でアボカドは最も多く、一般にカリウムを多く含むとされるほうれん草をやや上回っています。
アボカドの美容効果
アボカドは栄養価の高い果物のひとつ。
必須栄養素である「ビタミンE」や、便のカサを増やして便通を促してくれる「食物繊維」が豊富なのが特徴です。
なかでもビタミンEに抗酸化作用があることから、アンチエイジングや美容によいといわれるようになっているようですが、即効性のあるものとは言いにくいようです。
老化と抗酸化作用とは
メカニズムは完全には解明されていないものの、老化=活性酸素による細胞障害という見方があります。
いっぽう、抗酸化作用を持つ物質(抗酸化物質)は活性酸素を除去するはたらきがあることから、
抗酸化物質(を含む食品)=細胞の老化を防ぐ=アンチエイジング作用がある
と考えられています。
アボカドに含まれる栄養素のうち、ビタミンEなどに抗酸化作用があることは分かっているものの、実はアボカドそのものには科学的に裏付けのある美容効果は見つかっていないのが現状です。
抗酸化作用とアンチエイジング効果の関係
アボカドに抗酸化作用のあるビタミンEが豊富なら、アボカドにはアンチエイジング効果があるようにも思えますが、実際にはそんなに単純な話ではないようです。
ビタミンEは必須栄養素であるため、不足することは避けたい栄養素です。
いっぽうで、たくさんとればとるだけ若返るようなものでもなく、取りすぎによる健康被害*1)も気を付けたいところ。適量の範囲で摂取することが大事です。
また、老化の仕組みや有効なアンチエイジングの方法についてははっきりとは解明されていないものの、抗酸化物質だけでなく、運動習慣や適度なカロリー管理などもかかわっている*2)と考えられています。
抗酸化作用をもつビタミンとしてはビタミンCやビタミンEが有名で、非必須栄養素ではポリフェノールなども注目されていますが、魔法の若返り薬でないことは確かです。
カロリー管理と適度な運動と合わせて、過剰でない量をとることがもっとも大事なことといえそうです。
美容のための取り組みの一つとして、期待しすぎない範囲で栄養価の高いアボカドを活用すのがよさそうですね。
アボカドの利点を生かす使い方
アボカドを食べさえすれば必ず美肌に…といったことは期待できませんが、アボカドそのものは栄養価が高い魅力的な食材のひとつです。
アボカドを効果的に取り入れるには、
- 相対的に高カロリーなものの代わりにする
- 摂取量が多くなりすぎないように気を付ける
これらの点に気を付けるのがおすすめです。
高カロリーな油脂類の代用品
くだものとしてはカロリーの高いアボカドですが、バター(745kcal/100g)やマヨネーズ(706kcal/100g)といった「油脂類」と比較するとカロリーは控えめ。
アボカドをつぶして塩・胡椒などで味をととのえたペーストをマヨネーズやバターの代わりに使えば、カロリーカットだけでなく、食物繊維もプラスできてヘルシーです。
この後にアボカドで作るマヨネーズ風ペーストのレシピを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
量と頻度には注意が必要
アボカドにはビタミンや食物繊維といった栄養素が豊富に含まれる一方、脂質も多くエネルギーも高めです。
たくさん食べるほど良いというものでもないので、取り入れるときは適量に気を付けたいですね。
1日1/2個くらい(約60g、112kcal)までがひとつの目安になりそうです。
おいしいアボカドの見分け方、保存方法
食べごろのアボカドは果皮が黒くなって軽く押すとわずかに柔らかさを感じる程度と言われています。
最近は食べごろの日付が印刷されたシールが貼ってある場合もあるので、チェックしてみてくださいね。
切らない丸ごとの状態であれば、5~7℃の温度で30日間ほど保存が可能のようです。
ただし、常温では追熟が進みすぎたり、5℃以下では低温障害で味が落ちたりするので、注意が必要です。
アボカドは切った後に果肉の断面が空気に触れ続けると茶色に変色してしまいます。
もし食べきれずに保存するときは、レモンなどの酸によって変色をおさえることができるので、断面にレモン汁などを塗ってから空気に触れないようにラップをすると変色を防ぐことができます。
切った後は2日程度を目安に食べきってくださいね。
アボカド活用レシピ
アボカドは栄養価が高いことが魅力の食材です。アボカドの利点を活かしたレシピを3つ紹介します。
- ハイカロリーなマヨネーズの代用レシピ
- 抗酸化ビタミンを活かすレシピ
- 美肌作りを意識したレシピ
マヨの代用に。アボカドのマヨネーズ風ペースト
【材料】
アボカド | 1/2個(60g) |
油 | 小さじ1(4g) |
レモン汁または酢 | 大さじ1(15g) |
塩 | 適量 |
胡椒 | 適量 |
【作り方】
アボカドの皮と種を除き、材料を加えてつぶし混ぜる。
(ブレンダーなどを使うと滑らかになります)
【栄養価】
エネルギー153kcal(出来上がり全量80g)
抗酸化ビタミンたっぷり!にんじんとアボカドのサラダ
【材料】2人分
アボカド | 1個(120g) |
にんじん | 1/2個(100g) |
レモン果汁 | 小さじ2(10g) |
塩 | 少々(1g) |
こしょう | 少々(ひとふり) |
オリーブオイル | 小さじ1(4g) |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
【作り方】
1. レモン果汁、塩、こしょう、オリーブオイルをよく混ぜ合わせてドレッシングを作る。
2. にんじんをごく細い千切りにするか、スライサーで薄くスライスし、ドレッシングとあえる。
3. アボカドの皮と種を取り除き、薄くスライスしてにんじんに加え、崩れないようにあえる。
アボカドのビタミンE、にんじんのビタミンA、レモン果汁のビタミンCを合わせた「抗酸化ビタミンたっぷり」メニューです。
【栄養価】一人分150kcal ビタミンE 2.4㎎ ビタミンA 350㎍RAE ビタミンC 15㎎
たんぱく質とビタミンCで美肌に。アボカドチキンサラダ
【材料】2人分
アボカド | 1個(120g) |
鶏もも肉 | 1枚(300g) |
塩 | 少々(1g) |
こしょう | 少々(2~3振り) |
レタス | 3枚(60g) |
赤パプリカ | 1/2個(60g) |
塩 | 少々(1g) |
こしょう | 少々(ひとふり) |
オリーブオイル | 小さじ1(4g) |
酢 | 小さじ2(10g) |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
【作り方】
1. 鶏もも肉を一口大に切り、塩コショウを振っておく。
2. フライパンに鶏もも肉をのせて皮目から焼く。皮がこんがり焼けたら裏面も焼く。
3. ドレッシングの材料をすべて混ぜておく。
4. レタスを洗って一口大にちぎって皿に盛る。
5. パプリカの種をとり、一口大に切る。
6. アボカドの皮と種をとり、一口大に切る。
7. レタスの上に鶏肉、アボカド、パプリカを盛り、ドレッシングをかける。
食事のメインにもなるがっつり系のおかずサラダです。
アボカドでビタミンB2とB6、鶏もも肉で肌細胞のもとになるたんぱく質を、パプリカでコラーゲン合成にかかわるビタミンCをたっぷりとれます。
【栄養価】1人分469kcal ビタミンB2 0.41㎎ ビタミンB6 0.70㎎ ビタミンC 67㎎
まとめ
アボカドが美容のための万能薬、ということはありませんが、栄養価の高さは大きな魅力です。
高カロリーな点などに注意しながら、上手に取り入れていきたいですね。
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参考文献 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010. 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書 川北 哲也, 坪田 一男. 抗加齢医学の過去、現在、そして未来(総論). 総合健診 38巻2号212-222 (2011) *1)和田 小依里,吉川 敏一. サプリメントの利用とアンチエイジング. ビタミン 83巻 7号 (2009) *2)後藤 佐多良. 抗酸化サプリメントの功罪とカロリー制限および運動の抗老化作用. 日本老年医学会雑誌 45巻 2号 155-158.(2008) |