投稿日: 2023.01.06 | 最終更新日: 2023.10.20

アーモンドの栄養素とは?カロリーと糖質量、効果的な食べ方を紹介

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健康的な食品として近年注目度が上がっているナッツ類。
その中のひとつ、アーモンドはそのままナッツとして食べるほか、アーモンドミルクなどの加工品としても親しまれています。

アーモンドに含まれる栄養素とその特徴のほか、効果的に取り入れる方法を紹介します。

アーモンドのカロリーと栄養素

アーモンドは種実類(ナッツ類)に分類される食品のひとつです。
様々な加工品の原料として使われますが、食材として最もシンプルなのは粒のままで味付け等を行わない、乾燥のもの。
無加工(乾燥)のアーモンドについて、100g、10粒あたりの栄養価を紹介します。

100gあたりのカロリーと主要栄養素

アーモンドの100gあたりの栄養価を紹介します。
栄養素含有量の比較対象として、日本人の食事摂取基準2020年版における30~49歳女性の値を併記します。

■アーモンド(乾)の栄養素(100gあたり)

栄養素等  100gあたりの含有量  (参考)食事摂取基準(30~49歳女性)
エネルギー  609kcal  2050kcal(身体活動レベルふつう)
たんぱく質  19.6g  50g(推奨量)
脂質  51.8g  摂取エネルギーの20~30%(目標量)
 飽和脂肪酸  3.95g  摂取エネルギーの7%以下(目標量)
 一価不飽和脂肪酸  33.61g  なし
 多価不飽和脂肪酸  12.12g  n-3系1.6g、n-6系8g(目安量)
炭水化物  20.9g  摂取エネルギーの50~65%
 食物繊維  10.1g  18g以上
カルシウム  250㎎  650㎎(推奨量)
マグネシウム  290㎎  290㎎(推奨量)
鉄  3.6㎎  10.5㎎(月経あり推奨量)
ビタミンE  30.0㎎  5.5㎎(目安量)
ビタミンB 1.06㎎  1.2㎎(推奨量)

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書 より作成

10粒あたりのカロリーと主要栄養素

アーモンド100gあたりの栄養素…といわれてもイメージしにくいかもしれません。
実際に食べるときに意識しやすい、10粒あたりの栄養価も併せて紹介します。

アーモンドの一粒あたりの重さは個体差があるものの、1.0~1.2g程度。
1つあたり1.1gとして、10粒分(11g)での栄養価を紹介します。

■アーモンド(乾)の栄養素(10粒(11g)あたり)

栄養素等  10粒(11g)あたりの含有量  (参考)食事摂取基準(30~49歳女性)
エネルギー  67kcal 2050kcal(身体活動レベルふつう)
たんぱく質  2.2g 50g(推奨量)
脂質  5.7g 摂取エネルギーの20~30%(目標量)
 飽和脂肪酸  0.43g 摂取エネルギーの7%以下(目標量)
 一価不飽和脂肪酸  3.70g なし
 多価不飽和脂肪酸  1.33g n-3系1.6g、n-6系8g(目安量)
炭水化物  2.3g 摂取エネルギーの50~65%
 食物繊維  1.1g 18g以上
カルシウム  28㎎ 650㎎(推奨量)
マグネシウム  32㎎ 290㎎(推奨量)
鉄  0.4㎎ 10.5㎎(月経あり推奨量)
ビタミンE  3.3㎎ 5.5㎎(目安量)
ビタミンB 0.12㎎ 1.2㎎(推奨量)

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書 より作成

アーモンドの栄養価の特徴

アーモンドに含まれる栄養素には以下のような特徴があります。

  • 脂質が多く高カロリー
  • 一価不飽和脂肪酸が豊富
  • 食物繊維が豊富
  • ビタミンE・ビタミンB2が豊富
  • カルシウム・鉄分が豊富

健康維持・増進のための食材としてみると、これらの特徴は健康的に良い場合とそうでない場合、両方があるといえます。

脂質が多く高カロリー

アーモンドだけに限らず、ナッツ類は全般的に脂質を多く含む食品で、水分が少ないために重さあたりのカロリーが高い傾向があります。

そのため、ほかの食品よりも少量で摂取カロリーに影響しやすいといえます。

食が細いなど、手軽に摂取カロリーを増やしたい人には効率的な食品のひとつといえそうですが、ダイエット中の人や、食事が脂質に偏りがちな人にとっては食べすぎを避けるべき食材といえそうです。

一価不飽和脂肪酸が豊富

「脂肪酸」とは脂質を構成するもののひとつで、それぞれの構造の違いによって3つに分けられます。

  • 飽和脂肪酸
  • 一価不飽和脂肪酸
  • 多価不飽和脂肪酸

これらの脂肪酸はそれぞれ体内での作用が異なることが知られています。

アーモンドに含まれる脂質は「血中コレステロール濃度に影響しにくい」一価不飽和脂肪酸が多く、飽和脂肪酸は少ない特徴があります。

そのため、飽和脂肪酸を多く含む肉類や乳製品の脂質と比較すると、生活習慣病予防の観点からは比較的健康的なものといえそうです。

とはいえ、脂質そのものの摂取量が多すぎるのも生活習慣病のリスクを高めてしまいますので、適量の摂取を心掛けたいところです。

食物繊維が豊富

重量の2割ほどを炭水化物が占めていますが、その半分は食物繊維で、様々な食品の中でも食物繊維が豊富な食品といえそうです。

食物繊維はさまざまな疾患に対して予防的に働くことから、日々の食事から十分な量を摂取したいとされている栄養素です。
しかし、日本人の食生活では食物繊維の摂取量は不足しがちです。

食物繊維が豊富なアーモンドは上手に取り入れることで食物繊維の摂取量の底上げに役立つかもしれませんね。

ビタミンE・ビタミンB2が豊富

ビタミン類では、ビタミンEやビタミンB2を豊富に含んでいます。

ビタミンEは抗酸化作用を持つビタミンで、体内の過酸化脂質の生成や動脈硬化の進行を抑える働きを持っています。

ビタミンB2は3大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質)のエネルギー代謝にかかわっているビタミンで、皮膚の健康維持などの働きを持ちます。

他の食材からも摂取できるものの、アーモンドはこれらのビタミンのよい摂取源となる食品といえます。

カルシウム・マグネシウム・鉄分が豊富

ミネラルでは、カルシウム・マグネシウム・鉄分がナッツの中では比較的豊富な食材といえます。

カルシウムは骨の健康維持のために、鉄分は赤血球をつくるのにそれぞれ必要な栄養素ですが、日本人では摂取量が不足しがちです。

特に鉄分の不足は月経のある女性で多く、様々な食品から少しずつでも摂取量を増やしたいところ。
アーモンドだけでカルシウムと鉄分の不足を解消!…とはいきませんが、貴重な摂取源となりそうです。

アーモンドの加工品と栄養価

粒状の「ナッツ」として食べる以外にも、アーモンドはいろいろな加工品として利用されており、その形状の違いによって栄養的な位置づけも変わります。

■アーモンドの加工品の例(一部)

  • 味付きフライアーモンド
  • アーモンドミルク
  • アーモンドプードル

    今回はアーモンドの加工品として、この3つについて栄養価と位置づけを解説します。

    アーモンド(フライ・味付け)

    ナッツとして食べるアーモンドには、油で揚げて食塩などで味付けしたタイプも存在します。
    見た目にはほとんど変わりませんが、調理加工によって多少栄養価も変化するようです。

    ■アーモンド(フライ・味付け)の栄養素(100gあたり)

    栄養素等  100gあたりの含有量  (参考)アーモンド(乾)100g
    エネルギー  626kcal  609kcal
    たんぱく質  21.3g  19.6g
    脂質  55.7g  51.8g
     飽和脂肪酸  4.34g  3.95g
     一価不飽和脂肪酸  34.84g  33.61g
     多価不飽和脂肪酸  11.72g  12.12g
    炭水化物 17.9g  20.9g
     食物繊維  10.1g  10.1g
    カルシウム  240㎎  250㎎
    マグネシウム  270㎎  290㎎
    鉄  3.5㎎  3.6㎎
    ビタミンE  22.0㎎  30.0㎎
    ビタミンB2 1.07㎎  1.06㎎
    食塩相当量  0.3g  0g

    文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」から作成

    微量栄養素は大きく変動していないものの、油で揚げる調理のために脂質量とカロリーは乾燥アーモンドと比較して高くなっています。

    さらに、味付けのため食塩相当量も増加するため、そのまま食べる場合と比較して健康的な食品としての価値は少し弱まるかもしれませんね。

    とはいえ、スナック菓子のポテトチップスなどと比較すると脂質は多いものの食物繊維も豊富で、食べすぎさえしなければ健康的な間食と考えることもできそうです。

    アーモンドミルク

    アーモンドミルクはアーモンドをペースト状にして水分を絞ったもので、市販品では味や品質を整えるための原材料が添加されています。

    ■アーモンドミルクの栄養価(100mlあたり)

    アーモンドミルク(加糖) アーモンドミルク(砂糖不使用)
    エネルギー  40kcal  20kcal
    たんぱく質  0.6g  0.5g
    脂質  1.6g  1.5g
    コレステロール  0㎎  0㎎
    炭水化物  7.0g  2.0g
    食物繊維  2.0g(添加含む)  1.5g(添加含む)
    食塩相当量  0.3g(添加含む)  0.3g(添加含む)
    カリウム  18㎎  19㎎
    カルシウム  30㎎(添加含む)  30㎎(添加含む)
    リン  13㎎  13㎎
    ビタミンE  5.0㎎(添加含む)  5.0㎎(添加含む)

    メーカー商品情報より

    アーモンドミルクは水分を加えられて繊維質は取り除かれているため、含まれる栄養素はアーモンドの栄養そのままという訳ではありません。
    そのため、元のアーモンドに豊富に含まれる栄養素(食物繊維、カルシウム、ビタミンEなど)は決して多いとは言えない量になっています。
    アーモンドの栄養素を取り入れるためにアーモンドミルクを選ぶのはあまり良い選択ではないでしょう。

    砂糖不使用のものの場合、牛乳や豆乳と比較するとカロリーが低めなのが特徴です。
    また、添加された副材料によるものではあるものの、食物繊維やビタミンEが比較的豊富な点が魅力といえるかもしれません。

    アーモンドの栄養素をとるためというよりも、乳製品の代わりに、カロリーを抑えたい場合の選択肢となるのではないでしょうか。

    アーモンドミルクの栄養について詳しく解説した記事はこちら

    アーモンドプードル(菓子材料)

    アーモンドプードルはアーモンドを粉状に加工したもので、主に菓子材料として使用されています。

    ■アーモンドプードルの栄養成分表示

    栄養素等  100gあたりの含有量  (参考)アーモンド(乾)100g
    エネルギー  625kcal 609kcal
    たんぱく質  21.6g 19.6g
    脂質  51.3g 51.8g
    炭水化物 19.2g 20.9g
    食塩相当量  0g 0g

    文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」、メーカー商品情報より作成

    アーモンドプードルはアーモンドを粉末状に加工しただけなので、栄養価は基本的にアーモンドと変わりません。

    しかし、基本的に菓子材料として使われるもので、小麦粉と同じような立ち位置であることがポイントです。
    小麦粉と比較すると脂質が極端に多くカロリーも倍近く(薄力粉:349kcal/100g)あるため、アーモンドプードルを使用したお菓子はより高カロリーな傾向があります。

    アーモンドは栄養価の高い食材ではあるものの、アーモンドプードルを使用したお菓子類が健康的かというとそうではないことに注意が必要です。

    アーモンドのおすすめの食べ方

    アーモンドそのものとしては食物繊維や各種ビタミン・ミネラルが豊富といった栄養的な魅力があるものの、調理加工によっては健康的な食品としての魅力がなくなってしまう場合もあるようです。
    アーモンドを健康的に取り入れるためのおすすめの食べ方のポイントは3つ。

    • 素焼き・無塩
    • 噛み応えのある間食として取り入れる
    • 1日あたり15粒までが適量

    それぞれについて解説します。

    素焼き・無塩

    アーモンドはもともと、脂質の多い食材です。
    フライや飴がけ、チョコがけなどの加工品は油脂分や砂糖類などによってさらにカロリーの上乗せになってしまいます。
    また、塩味がついているものでは食塩の摂取量を増やしてしまうのが難点です。

    健康的な食材として取り入れるのであれば余分なカロリーとなる油脂や砂糖類、過剰摂取になりがちな食塩が加えられていないものがベストです。

    近年では健康を意識した素焼きのナッツが多く販売されていますので、意識して選ぶとよいでしょう。

    噛み応えのある間食として

    アーモンドは噛み応えがあり食物繊維が豊富な一方、脂質の含有量が高く高カロリーであるため、たくさん食べるほど体に良いというものではありません。

    低カロリーで食事のかさましになる野菜のようにたくさん食べましょう、といったものではないことに注意しましょう。

    アーモンドは食事のメインとするよりも「少量で食べ応えのある間食」として取り入れるのがおすすめです。
    アーモンドでおなかを膨らませるのではなく、少しずつ味わって食べるものとして取り入れるのが良いでしょう。

    1日あたり15粒までが適量

    繰り返しになりますが、アーモンドは脂質の含有量が高く少量でも高カロリーな食材のひとつです。
    食べすぎは摂取カロリーの過多につながり、食事内容が脂質に偏りすぎることが懸念されます。

    アーモンドを間食として取り入れる場合、1日あたりの摂取量は100kcal以内に収めるのが栄養バランス的にも安心です。

    アーモンド100kcal分は、おおよそ15粒(17g)が目安です。
    あらかじめ取り分ける、少量の個包装商品を活用するなどして適量摂取を意識するとよいでしょう。

    まとめ

    ナッツ類は高脂質で高カロリーな食材である一方、習慣的な摂取が死亡リスクを下げるなど、健康によい食品として知られています。

    アーモンドはナッツ類のひとつとして、栄養面で様々な魅力を持つ食材です。

    • 脂質が多く高カロリーだが、一価不飽和脂肪酸が豊富
    • 食物繊維が豊富
    • ビタミンE・ビタミンB2が豊富
    • カルシウム・鉄分が豊富

    ただし、食べれば食べるほど体に良いというものではなく、食べ方には注意が必要です。
    なるべく加工度の低い「素焼き・無塩」のものを選び、あくまで間食のひとつとして食べすぎには注意しましょう。
    目安は1日15粒までで、アーモンド以外の食事内容にも気を配れるとより健康的な食生活に近づけます。

    健康な生活習慣のきっかけづくりとして、アーモンドを上手に取り入れてみてくださいね。

    主食・主菜・副菜をそろえた栄養バランスの取れた食事について詳しく解説した記事はこちら

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    参考文献

    文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」

    社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011.

    厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書

    上西一弘. 食品成分最新ガイド 栄養素の通になる 第5版. 女子栄養大学出版部, 2022.8

    佐々木敏. データ栄養学のすすめ. 女子栄養大学出版部, 2018.2

    Bao Y, Han J, Hu FB, Giovannucci EL, Stampfer MJ, Willett WC, Fuchs CS. Association of nut consumption with total and cause-specific mortality. N Engl J Med. 2013 Nov 21;369(21):2001-11.

    平井 しおり管理栄養士
    平井 しおり管理栄養士

    2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

    現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。