投稿日: 2019.04.20 | 最終更新日: 2024.04.11

納豆ダイエットの効果とは?1パックのカロリーと痩せるための食べ方を解説

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納豆ダイエット

10年ほど前、健康番組で注目された納豆を使ったダイエット。
結局、その番組が検証結果や専門家の発言をねつ造していたことがわかり、ブームも収束していきました。

しかし近年になって、また納豆を取り入れたダイエット方法が注目されているようです。

この記事では、納豆にダイエット効果があるのか、ダイエットに活用するにはどう食べるのがいいのかについて解説します。

そのほか、食物繊維・ナットウキナーゼ・大豆ペプチド・大豆サポニン・レシチンといった成分のダイエット効果についても解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

痩せるために必要なこと

ダイエットに必要なこと

どんな食材を取り入れたダイエット方法であっても、痩せるメカニズムは同じです。
体脂肪を減らすには、消費カロリーが摂取カロリーを上回る必要があります。

体脂肪1㎏に相当するカロリーは7200kcal。
1日当たり240kcalの消費を多くすることで、ひと月で1㎏の体脂肪の減少が期待できます。

体脂肪を減らすダイエットの基本について解説した記事はこちら

納豆のダイエット効果

納豆のダイエット効果

納豆を取り入れることで摂取カロリーを減らすことは期待できるでしょうか?

1パックあたりのカロリーと栄養価について、ダイエットの観点から解説します。

1パックのカロリー

納豆1パックあたりどのくらいのカロリーをとることになるのでしょうか?
納豆と同じく「たんぱく質」を主成分とする食品と同じ重さで比較します。

また、納豆1パックあたりの量は製品によって40~50gと幅がありますが、今回は50gとして比較します。

50gあたりの栄養価比較

納豆 鶏卵 鶏もも肉(皮つき) 豚肩ロース
カロリー 92kcal 71kcal 95kcal 119kcal
たんぱく質 8.3g 6.1g 8.3g 8.6g
脂質 5.0g 5.1g 7.1g 9.6g
炭水化物 6.1g 0.2g 0g 0.1g
 うち食物繊維 4.8g 0g 0g 0g

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より作成

納豆の重さあたりのカロリーは卵より多く、鶏もも肉と同等程度であり、豚肉よりは少ないようです。

とはいえ、残念ながら特別に低カロリーな食材という訳ではありません。

脂質が比較的少ない

肉類は部位によって脂身の量が異なるため一概には言えませんが、納豆は鶏肉や豚肉などと比較すると低脂質に抑えられているのが特徴です。

また、卵、鶏もも肉、豚肩ロース肉と比較して飽和脂肪酸が少なく、多価不飽和脂肪酸が多いのもポイントです。
飽和脂肪酸は血中LDLコレステロール値を介して生活習慣病リスクを上げる作用を、多価不飽和脂肪酸はリスクを下げる作用を持っています。

健康維持のためのダイエットの観点では、納豆はメリットのある食材といえそうです。

食物繊維が取れる

納豆は動物性食品では摂れない食物繊維を摂れることが魅力のひとつです。

食物繊維は食事に含まれる栄養素の吸収を緩やかにして満腹感を長続きさせたり、腸内環境を整えることで便秘予防に働いたりと、ダイエット中には意識してとりたい栄養素です。

主にたんぱく源となる動物性食品には食物繊維は含まれておらず、納豆はたんぱく質を摂りつつ食物繊維も摂れる貴重な食品のひとつです。

納豆の機能性成分の効果

納豆の機能性成分の効果

納豆に含まれる様々な機能性成分が注目されています。

  • 納豆菌
  • ナットウキナーゼ
  • 大豆ペプチド
  • 大豆サポニン
  • レシチン

これらの成分がダイエットに効果があるといわれることがありますが、実際に効果があるのか検討します。

納豆菌の効果

納豆菌を摂取することで直接体重減少につながる作用はありませんが、便秘の解消には役立つ可能性があります。

納豆に含まれている納豆菌は腸管内で善玉菌のはたらきを助けるといわれ、人での効果ははっきりしていませんが、腸内環境を整えるはたらきが期待されています。

便秘がちの人は便秘を解消することによって体重の減少やお腹周りがすっきり見えることがあるため、ダイエット中にはうれしい変化のひとつといえそうです。
ただし体脂肪が減っているわけではないため、厳密にはやせたとはいいにくく、体全体がほっそりするような効果は見込めません。

ナットウキナーゼの効果

サプリメント等に利用されている「ナットウキナーゼ」はダイエットに関する効果は期待できないようです。

試験管での実験ではありますが、ナットウキナーゼには血栓を溶かす効果があることが報告されていますが、体重減少に対しての効果は無いようです。

「ナットウキナーゼによって血流が良くなると基礎代謝が上がって消費エネルギーが増えて痩せる」とする情報もしばしば見受けられますが、「ナットウキナーゼ」には、特にダイエットや基礎代謝にかかわる働きは確認されていません。

ナットウキナーゼを配合したダイエットサプリメントなども販売されていますが、ダイエット効果はないものと考えましょう。

大豆ペプチドの効果

大豆ペプチドは基礎代謝を高める働きがあると報告されているものの、その効果はわずかです。

大豆に含まれる大豆ペプチドという成分には食事後のエネルギー消費を増加させる効果があることが報告されています。

とはいえ、体脂肪量の変化が数値に現れるほどの効果は期待できないといえます。
(基礎食に比べて3時間で14.4kcalの消費増を1日1回=1日14.4kcal=1㎏の体脂肪を落とすまで500日かかる計算)

また、この実験と同等の成果を出すためには、1日の摂取たんぱくのうち少なくとも15g分を納豆に置き換えることになります。
納豆に換算すると90g、1日およそ2パックの摂取を500日続けてやっと1㎏の体脂肪を減らす効果が得られるかもしれない、という程度です。

体脂肪の減少を期待するにはあまりにもささやかな効果であるうえ、いつもの食事に加えて2パックの納豆を食事に加えるだけでは摂取カロリーが過剰になってしまいます。

大豆サポニン・レシチンの効果

大豆に含まれるサポニンやレシチンといった成分が脂肪を燃焼させたり肝臓での脂質の代謝を高めたりする効果があることが期待されていますが、その効果はしっかりと確認されたものではないようです。

人を対象にした有効性はいまだ未知数なこともあり、現状では日常的に大豆製品をとることで㎏単位での体脂肪の減少効果があるとは言いにくいと考えられます。
将来、血中脂質の改善など、生活習慣病の予防分野において研究が進むことが期待されます。

ダイエットに良い納豆の食べ方

ダイエットに良い納豆の食べ方

納豆をダイエットに活かすためには、いくつかの点に注意しながら取り入れる必要がありそうです。

  • 高カロリーな肉類と置き換えて食べる
  • 納豆ばかり食べない
  • 食事全体でカロリーが減るよう調整する

それぞれの内容について詳しく解説します。

高カロリーな肉と置き換える

納豆をダイエットに活かすためには、納豆よりもカロリーが高いものと置き換える必要があります。
同じ「たんぱく源」である肉類がおすすめです。

納豆の置き換えイメージ

たとえば、ハンバーグを中心とした食事の場合、納豆を取り入れた分、肉料理であるハンバーグを減らすことでカロリーオフを狙いましょう。
納豆には炭水化物も含まれることを考慮して、ごはんを減らすとより効果的です。

カロリーの変化量の計算

  • 増えるエネルギー…納豆1パック(約90kcalプラス)
  • 減らすエネルギー…ご飯お茶碗1/2杯、ハンバーグ75g(約340kcalマイナス)

トータルカロリー増減…マイナス250kcal

ただし、納豆はそれほどかさの張る食材ではないため、やはり多少の我慢が必要になってくると考えられます。

納豆を食べれば満腹まで食べてもやせられるといったことは期待できません。
 「納豆を食べる分とカロリーカットしたい分をあわせてメインのおかずを半分に、ごはんもいつもは大盛りだから半分にしよう」
といった感じで、食事量をあらかじめ決めておけば食べ過ぎを防ぎやすいでしょう。

納豆ばかり食べない

納豆ばかり食べる食事内容では栄養バランスの乱れが生じ、ダイエットや健康維持には逆効果なので避けましょう。

納豆はたんぱく質や食物繊維など、ダイエット中に意識してとりたい栄養素を含む食品ではあるものの、1品だけで栄養バランスの取れる食品ではありません。

1日1パック程度までを限度とし、いろいろな食材を取り入れるようにしましょう。

食事全体でカロリーを調整する

ダイエットを成功させるためには、納豆を食べることばかりでなく、食事全体のカロリーを見直し、調製していくことが必要です。

納豆を食べてやせたいのなら、それ以上に摂取エネルギーをカットする必要があります。

納豆は特別低カロリーな食材という訳ではないため、ただ食べるだけで痩せるという事はありません。
食事全体を確認したうえで食べ過ぎの部分を是正していく必要があります。

まとめ

納豆は低脂質ながらたんぱく質や食物繊維が摂れるのが魅力です。
とはいえ、カロリーは特別低いわけではないため、ダイエットのために取り入れるにはコツがいるようです。

納豆の機能性成分は注目されていますが、その効果は極めて限定的です。

  • 便秘解消に役立つ可能性はありそう
  • ナットウキナーゼや大豆ペプチドのはたらきでやせるのは難しい
  • 納豆の食べ過ぎも要注意。たくさん食べれば効果が出るというものでもない

インターネット上のダイエット法が唱えるような、食前に食べて食事量を抑える、食物繊維の整腸作用に期待するという点では、納豆よりもエネルギーが低く食物繊維も同程度含まれる野菜やきのこ、海藻、こんにゃくなどのほうが効果的と考えています。
納豆自体は食物繊維も豊富でたんぱく質に富む良い食品ですので、高脂質で高カロリーになりがちな肉のおかずに一部置き換えることで、カロリーカットをしつつたんぱく質や食物繊維を摂取することができると考えます。

世の中には「〇〇するだけダイエット」というものがたくさんありますが、ダイエットの基本は摂取エネルギーを抑えて消費エネルギーを増やすことです。
納豆を食べる「だけ」で痩せる可能性は低いといえます。
食品に含まれる栄養成分の効果も魅力的ではありますが、毎日の食生活、運動習慣を改善していくことが最も効果的な方法といえるのではないでしょうか。

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参考文献

吉田勉 監修:「わかりやすい食品機能栄養学」.三共出版,2010.

文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(レシチン、大豆サポニン、ナットウについて)

小松龍史,小松恵子,山岸稔(1992):大豆ペプチド摂取の食事誘導産熱に及ぼす影響.大豆たん白質栄養研究会会誌vol.13(1992)

Probioticとしての納豆菌の作用 ―腸内菌叢と腸管免疫システムに対する作 用― 細井 知弘. 日本醸造協会誌, 98巻 12号(2003)

平井 しおり管理栄養士
平井 しおり管理栄養士

2013年に管理栄養士資格取得後、保育施設に勤務、栄養相談などに従事。

現在は「イマカラ」にて、栄養とダイエットに関する科学的根拠に基づいた情報を発信しています。