脂質は栄養素の中でも高カロリーな成分です。
脂質の少ない食べ物を選ぶことで、食事からの摂取カロリーを効果的にカットできるかもしれません!
ダイエット中に積極的に選びたい、脂質の少ない食べ物について紹介、脂質の摂取量を減らすポイントについて解説します。
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脂質とは
食品に含まれる脂質とは、いわゆる「あぶら(油、脂)」のことで、
- 中性脂肪
- 脂肪酸
- コレステロール
といった食品成分を指します。
健康維持やダイエットの面で嫌われがちな脂質ですが、体の健康維持に重要な働きをする栄養素のひとつでもあります。
体内での働き
食事からの摂取や体内で合成された脂質は、体の中で様々な働きをしています。
- エネルギー源となる(1gあたり9kcal)
- 体脂肪としてエネルギーを蓄積する
- 細胞膜の構成成分となる
- 脂溶性ビタミンの吸収を助ける
- 消化液(胆汁酸)のもとになる
- ステロイドホルモンのもとになる
- ビタミンDのもとになる
脂質の中でもn-3系脂肪酸(オメガ3)やn-6系脂肪酸(オメガ6)に分類される脂肪酸は体内で合成できず、欠乏すると皮膚炎などの欠乏症を招くことから、「必須栄養素」として適量の摂取が必要とされています。
一方で、脂質の中に含まれる飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールについては生活習慣病等のリスクと関連することから、過剰摂取すべきではないとされています。
これらのことから、「脂質」は摂りすぎも不足も良くない栄養素、といえます。
脂質のカロリー
脂質は1gあたり9kcalのエネルギー源となる栄養素です。
同じく体内でエネルギー源となる炭水化物やたんぱく質のエネルギーが1gあたり4kcalであるのに対し、脂質は同じ重さで2倍以上のエネルギーを持つことが特徴です。
1日の摂取量の目安
日本人の食事摂取基準2020年版では、1歳以上の男女における脂質全体の摂取基準として、
- 摂取エネルギー全体の20~30%
を目標値として設定しています。
この数値は、
- 必須栄養素であるn-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸の摂取基準値(目安量)
- 生活習慣病予防のために摂りすぎに注意が必要な飽和脂肪酸の摂取基準値(目標量)
を満たせる脂質全体の摂取量として設定されており、脂質の摂取基準をクリアすることで必須脂肪酸の不足や飽和脂肪酸のとりすぎを避けることが期待できる量でもあります。
脂質制限ダイエットの効果と利点
ダイエットにはたくさんの方法があり、脂質の摂取量に着目する方法もそのひとつです。
食べ物に含まれる栄養素のうち、特に脂質に着目する「脂質制限ダイエット」は他のダイエット方法と効果に違いはあるのでしょうか?
脂質制限ダイエットの効果
体についた脂肪を減らすためには、消費するカロリーに対して摂取するカロリーを小さくし、不足するカロリーを体脂肪から調達する、という状況をつくる必要があります。
脂質制限、糖質制限、カロリー制限など、ダイエット方法によって着目するポイントは異なりますが、実際のところその効果は、「結果的に消費カロリーに対して摂取カロリーをどれだけ小さくできたかによる」ということになります。
脂質制限をすることでダイエット前よりも摂取カロリーを減らせることができ、結果として体脂肪や体重が減らせたのであれば、「脂質制限はダイエット効果がある」といえそうです。
脂質制限のメリット
エネルギー源となる栄養素のうち、脂質に着目するダイエット方法には、以下のようなメリットがあります。
- 重さあたりのカロリーが高く、少ない量で大きいカロリーカット効果が得られる
- 自分で調理をする場合、調味料としての油脂に着目することで比較的簡単にカロリーカットできる
- 炭水化物やたんぱく質と比較して摂取量を減らした時のトラブルが比較的少ない
- もともと脂質の摂取量が多かった人には効果が大きい
この後に紹介する「脂質の多い食品」をとる機会がこれまでに多かった、という人は脂質の少ない食べ物を意識して選ぶだけでもカロリーカット効果が期待できそうですね。
脂質制限のデメリット
反対に、エネルギー源となる栄養素のうち脂質のみに着目する方法には、以下のようなデメリットも存在します。
- 脂質の摂取をゼロにするような極端な脂質制限では必須脂肪酸の不足のリスクがある
- 低脂質な食材・調理法の選択により、食事のバリエーションが少なくなる
- もともと脂質の摂取量が少なかった人には効果が小さい
どのダイエット方法にも言えることですが、極端な食事制限は健康への悪影響を引き起こしますので、「ほどほど」を心掛けましょう。
また、ごはんやパンなどの主食を減らす糖質制限ダイエットと比べるとおかずのバリエーションが少なくなりやすいので、食事で重要視するのはごはんよりもおかず、という人には負担が大きい方法かもしれません。
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脂質の少ない食べ物、脂質の多い食べ物とは
脂質制限ダイエットでも食べられる「脂質の少ない食べ物」と脂質制限ダイエットで減らすべき「脂質の多い食べ物」にはどんなものがあるでしょうか?
食品のグループ(食品群)ごとに、
- 脂質の少ない食べ物
- 脂質の多い食べ物
- 脂質の量にばらつきがあるもの
について紹介します。
全体として脂質をほとんど含まない食品群
調理前の食材としての
- 穀類(米、小麦粉など)
- いも類
- 野菜類
- 果物類
- きのこ類
- 海藻類
- 豆腐(木綿、絹)
はもともと脂質をあまり多く含まない食品です。(おおよそ100gあたり6g以下)
脂質制限ダイエットではこれらの食品を積極的にとることをおすすめします。
例外として、アボカド(17.5g/100g)、オリーブ塩漬(12~15g/100g)は比較的多く脂質を含む食品ですので、食べすぎには注意しましょう。
また、穀類は食材としては低脂質ですが、麺、パンなどに加工する過程で脂質を添加したものが増えてきます。
パンなどの穀類製品はレシピによって脂質の量が変わる加工食品として考えましょう。
穀類のなかでも白米ごはんのように加工されていないもの、うどんやフランスパンのように油脂類が加えられていないものは脂質の少ない食品といえます。
全体として脂質を多く含む食品群
反対に、「種実類(ナッツ類)」はもともと脂質を多く含む傾向のある食品で、100gあたり28~76gの脂質を含んでいます。
例外的に、銀杏や栗は脂質の含有量が少なくなっています。
また、「油脂類(サラダ油、バター、ラードなど)」は食品から油脂分を抽出したものであり、重さの7~10割を脂質が占める食品です。
基本的に調理油として使うものであり一度に多量を食べるものではありませんが、使用量に気を付けたい食品です。
同じ食品群でもばらつきがあるもの
肉類、魚介類、乳製品に含まれる脂質の量はばらつきがあり、低脂質の食品を選ぶには個別に判断する必要があります。
魚介類
魚介類には魚類、貝類、エビやカニなどの甲殻類、イカやタコなどの軟体類が含まれています。
貝類、甲殻類、軟体類は全体的に脂質の含有量が少ないものの、魚類は魚種や部位によってばらつきが大きくなっています。
肉類
鶏、豚、牛、羊などの肉類も魚類と同様に、肉の種類や部位によって脂質の含有量に差が大きくなっている食品です。
乳製品
乳製品に含まれる脂質は生乳由来の乳脂肪分ですが、普通牛乳、クリームといった原料の違いや濃縮、脱脂などの加工の工程により脂質量が大きく異なります。
市販の加工食品
市販の加工食品は数多く、同じ品名の食品でも、様々なバリエーションが存在します。
そのため、同じ品名でもレシピによって使用されている原材料の種類や分量が異なり、脂質に限らず含まれる栄養素量は一定ではありません。
脂質の少ない食べ物一覧
魚介類、肉類、乳製品は同じグループの食品でも含まれる脂質量にばらつきがあることを解説しましたが、これらのグループの中でも脂質が少ない食べ物にはどんなものがあるでしょうか?
それぞれの食品群ごとに、脂質の少ない食べ物を紹介します。
脂質の少ない肉類一覧
食品名 | 脂質(100gあたり) |
鶏ささみ(生) | 0.8g |
鶏砂肝(生) | 1.8g |
鶏むね(皮なし)(生) | 1.9g |
鶏レバー(生) | 3.1g |
豚レバー(生) | 3.4g |
牛レバー(生) | 3.7g |
豚ヒレ(生) | 3.7g |
牛ヒレ(輸入牛)(生) | 4.8g |
鶏もも(皮なし)(生) | 5.0g |
鶏むね(皮つき)(生) | 5.9g |
豚もも(皮下脂肪無し)(生) | 6.0g |
牛もも(輸入牛)(皮下脂肪なし)(生) | 6.7g |
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 より作成
一般的に食べる機会の多い肉類では、最も脂質が少ないのは「鶏ささみ」でした。
次いで砂肝と皮を外した鶏むね肉が少なく、各種レバー、豚・牛のヒレやもも肉のような脂身の少ない部位が脂質が少ない傾向にあるようです。
鶏むね肉は皮をとることで脂質の大幅カットが可能であることがわかりますが、皮つきの状態でも肉類の中では低脂質の食材といえそうです。
脂質の少ない魚類一覧
食品名 | 脂質(100gあたり) |
まだら(真鱈)(生) | 0.2g |
みなみまぐろ(赤身)(生) | 0.4g |
かつお(春獲り)(生) | 0.5g |
きはだまぐろ(生) | 1.0g |
まがれい(生) | 1.3g |
くろまぐろ(赤身)(生) | 1.4g |
しらす干し | 2.1g |
しろさけ(秋鮭)(生) | 4.1g |
まあじ(真鯵)(皮なし)(生) | 4.1g |
べにざけ(生) | 4.5g |
まだい(真鯛)(天然)(生) | 5.8g |
かつお(秋獲り)(生) | 6.2g |
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 より作成
一般的に食べる機会の多い魚類の中で、最も脂質が少ないのは鍋ものなどによく使う「真鱈」でした。
そのほか、春獲りのカツオやマグロなどの赤身魚に脂質が少ない傾向があるようです。
サケにはたくさんの魚種がありますが、中でもシロサケ(いわゆる秋鮭)、紅鮭で脂質が少なくなっています。
脂質の少ない乳製品一覧
食品名 | 脂質(100gあたり) |
ヨーグルト(無脂肪タイプ) | 0.3g |
低脂肪乳 | 1.0g |
ヨーグルト(低脂肪タイプ) | 1.0g |
ヨーグルト(普通タイプ) | 3.0g |
普通牛乳 | 3.8g |
カッテージチーズ | 4.5g |
リコッタチーズ | 11.5g |
文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 より作成
身近な乳製品には牛乳のほか、ヨーグルト、チーズ、生クリームなどが含まれますが、このうち最も脂質の少ない食品は「無脂肪タイプのヨーグルト」でした。
ヨーグルトは市販の加工食品でもあるので商品ごとの違いもありますが、普通タイプでも比較的低脂肪な食品といえそうです。
高カロリーなイメージのあるチーズ類では、カッテージチーズが低脂質です。
リコッタチーズは他のものと比べると脂質が多くなっていますが、チーズの中では低脂肪の部類に入ります。
脂質の少ない食事のコツ
ダイエットのために脂質の摂取量を減らすには、具体的にどのようなところに気を付ければよいのでしょうか?
食材、調理法、調理済み加工食品の選択方法について、脂質を抑えるコツを紹介します。
脂の少ない食材を選ぶ
ひとつめは、食材に含まれる脂質を少なくすることを意識してみましょう。
ここまでで紹介した脂質の少ない食材を積極的に選ぶことで、同じ分量でも摂取する脂質を少なくすることができます。
具体的な例としては、
- 脂質の多いナッツ類を減らし、脂質の少ない野菜類、果物類、きのこ類、海藻類を増やす
または、
- 鶏もも肉→鶏むね肉に変更
- 豚ロース肉→豚ヒレに変更
- 銀鮭→紅鮭に変更
- 普通牛乳→低脂肪乳に変更
などの方法が挙げられます。
調理法に気を付ける
二つ目は、脂質を増やす調理法を避け、脂質を減らす調理法を選ぶことです。
食材に含まれる脂質以外にも、サラダ油、バターなど、調理油として使われる油も少なくありません。
揚げ物や炒め物は調理油を加える調理法であるため、脂質の摂取量が増える調理法です。
一方、油を使わない焼き、蒸し、ゆで調理では調理油を使わないため、脂質の摂取量は増えない、または食材の油が落ちることで減る場合もあります。
調理法に迷ったときは、揚げ物、炒め物は避け、焼き、蒸し、ゆで調理を選ぶと脂質の摂取量を抑えることができます。
調理済み加工食品は栄養成分表示を確認する
包装済みの調理加工食品では「栄養成分表示」があるため、脂質の摂取量の把握が簡単です。
栄養成分表示では、エネルギー(カロリー)、脂質、たんぱく質、炭水化物等の栄養素量が記載されています。
同じ食品でも1食あたりの脂質量が少ない商品を選ぶことで、脂質の摂取量を効果的に減らせます。
1食あたり、100gあたりなど、商品によって表示単位が異なることが多いので、注意してくださいね。
まとめ
脂質はエネルギー源となる栄養素の中でも最もカロリーが高い栄養素です。
脂質に着目して食事を工夫することで、摂取カロリーを減らし、ダイエットに役立てることができそうです。
ダイエットに役立つ脂質の少ない食べ物には、
- 野菜類
- 果物類
- キノコ類
- 海藻類
- 米、うどん
- 豆腐
などが挙げられます。
一方で脂質の多い食品である
- ナッツ類
- 油脂類
は、ダイエット中は摂取量を控えめにするとよいでしょう。
- 肉類
- 魚介類
- 乳製品
- 加工食品
は種類・部位・商品によってばらつきが大きいため、脂質の少ないものを選定して活用することをおすすめします。
調理法では、調理油を使わず食材の油も落とせる
- 蒸し料理
- ゆで料理
がおすすめです。
食事の脂質を抑えるポイントは意外にもたくさんありますので、取り入れやすそうなものからチャレンジしてみてくださいね。
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