太らない肉、やせる肉として話題の「ラム肉」。
生後12か月までのひつじのお肉をラム肉といい、カロリーのほか、ラム肉に多く含まれるアミノ酸のはたらきや、脂の性質がダイエットによいと注目されているようです。
ラム肉はダイエットに効果的といえるのでしょうか?
Contents
ラム肉はダイエットに効果的?
ダイエットの原則は摂取エネルギーを消費エネルギーよりも少なくすること。
ラム肉を取り入れることで摂取エネルギーを抑えられるのであれば、ダイエット効果があるといえます。
体脂肪を減らすためのダイエットとカロリーについて詳しく解説した記事はこちら
ラム肉とその他のお肉のカロリー比較
ラム肉のカロリーは(部位にもよりますが)豚肉や赤身が多い輸入牛よりは高く、一般的な国産牛とは同程度、差しの入った和牛肉に比べると低カロリーになります。
ラム肉 | 豚肉 | 輸入牛 | 国産牛 | 和牛 | |
肩 | 233kcal | 216kcal | 180kcal | 257kcal | 286kcal |
ロース | 310kcal | 263kcal | 240kcal | 318kcal | 411kcal |
もも | 198kcal | 183kcal | 165kcal | 209kcal | 259kcal |
100gあたり、牛肉のロースは肩ロースの数値を採用、文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より作成 |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
食べる量が同じであれば、和牛からラム肉に変更する場合では摂取エネルギーを抑えることができそうです。
ダイエット中は焼肉ではなくジンギスカンがおすすめ…かも。
お肉をたくさん食べる料理といえば牛肉では「焼肉」、ラム肉では「ジンギスカン」が人気ですよね。
ダイエット中に焼肉が食べたくなった時には、差しの入った和牛の焼肉ではなく赤身の割合が高いジンギスカンを選ぶことで、摂取エネルギーを抑えることにつながります。
ジンギスカンは一般的な焼肉よりも野菜をたっぷりとれるので、よりダイエット中の人に適したものといえそうです。
いっぽうで、赤身のビーフステーキをラムチョップステーキに替える場合はどちらも同じくらいのカロリーなので、あまり違いはないと予想されます。
ラム肉に含まれる、ダイエットに関する機能性成分のはなし
ラム肉はカロリーのほか、ラム肉の脂質の特性や、機能性成分である「L-カルニチン」のはたらきによるダイエット効果が期待されていますが、これらのはたらきは期待できないのでしょうか?
ラム肉の脂は消化吸収されにくく太りにくい?
ラム肉やマトンなど、羊の脂は融点(固体が溶ける温度)が高く、豚肉などと比較して消化吸収されにくい、といわれています。
融点 | |
鶏脂 | 30-32℃ |
豚脂 | 33-46℃ |
牛脂 | 40-50℃ |
羊脂 | 44-55℃ |
文献*2)より引用 |
常温で液体の植物性油脂や、融点の比較的低い豚の脂の消化吸収率はほぼ100%であるのに対し、羊の脂の消化吸収率は80%程度にとどまるともいわれています。
とはいえ、この20%の差がどの程度のカロリーの差になるのでしょうか。
例として、ラム肉のももと豚肉のももについて比較してみましょう。
消化吸収される脂質のカロリーは9.6g×9kcal=86.4kcal
消化吸収される脂質のカロリーは10.2g×9kcal=91.8kcal |
確かに、ラム肉のほうが吸収される脂質の量が減り、カロリーが低くなりそうですが、その差はわずか100gあたり5kcal。
体脂肪1㎏の増減には7200kcalの変動が必要であることを考えると、消化吸収率の違いは実際に意味のあるものとは言いにくそうです。
ラム肉に含まれるL-カルニチンが脂肪の代謝を助けて痩せる?
L-カルニチンは肉類全般に含まれているアミノ酸の一種で、体内では脂質からエネルギーを産生する働きを持っています。
肉類の中でも羊肉に豊富に含まれているため、ラム肉を食べると脂肪の燃焼を促進してダイエット効果があるのでは?と期待されています。
L-カルニチンの効果について様々な研究が進められているものの、効果がなかったとする報告と運動を併用した場合に効果があったとする報告とが混在しているのが現状。
L-カルニチンにはダイエット効果があるかもしれないがわからない、というのが現在の見解です。
また、1日30分程度の運動とL-カルニチンを8週にわたって併用した場合にBMI及び体脂肪率に減少傾向がみられた研究*3)においては、被験者が摂取していたL-カルニチンの量(375㎎/日)はラムチョップ(L-カルニチン約150㎎/100g)に換算して200g分にも相当します。
L-カルニチンにダイエット効果があったとしても、摂取源として8週間にわたって毎日200gのラム肉を食べ続けるのはあまり現実的ではありませんし、お肉として食べる場合は摂取エネルギーも気になるところ。
ラム肉を食べれば痩せる、とは考えにくいというのが結論です。
まとめ:機能性成分より、食事の量や質・運動習慣に気を付けてみよう
L-カルニチンに限らず、食品の機能性は大きな期待を受けています。
しかし、いまのところダイエットに関しては、食事と運動を見直すのが最も効果的な方法のようです。
機能性成分の将来に期待しつつ、適量の食事と適度な運動を心がけるのがいちばんの方法といえそうですね。
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参考文献 *1)文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 *2)田主 澄三, 小川 正 編:「食べ物と健康2」. 科学同人 (2009) *3)田島 眞, 松ノ井 恵実, 櫻井 佳穂. 第6回日本食育学会学術大会講演要旨集 96(2012) 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(アセチル-L-カルニチン、カルニチンについて) 今泉勝己,窄野昌信.脂肪の消化と吸収 栄養学雑誌 Vol.54 No.5 271~283(1996) 三好 保, 藤井 正信, 今木 雅英, 吉村 武, 山田 勇樹, 中村 武夫, 山崎 亮二, 松本 和興.日本人青年男子における油脂類の消化吸収率とエネルギー利用率に関する研究 日本衛生学雑誌第43巻 第5号1988年12月 辻原 命子, 谷 由美子. 高脂肪食飼育ラットの脂質代謝におよぼすカルニチンおよび運動負荷の影響. 日本家政学会誌 Vol.48 No.1 5~9(1997) 田島 眞. L‐カルニチン-注目の生体内アミノ酸-. 日本調理科学会誌 Vol.37 No.1(2004) |