ダイエット中は食事内容を工夫することが多いですが、「夜ごはん」はどんな風に変えるのがよいのでしょうか?
そもそも食べるべきではないのか、食べるならどんなものをどれだけ食べたらいいのか、ダイエットの後押しになる食べ方はどんなものか…といったポイントを解説します。
外食やコンビニで夜ごはんを用意するときのおすすめの組み合わせも紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
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Contents
ダイエット中の夜ごはんは食べるべき?抜くべき?
そもそも、ダイエット中の夜ごはんは食べていいのでしょうか?
夜ごはんを抜けば単純にその分のエネルギー(カロリー)摂取がなくなり、ダイエットには効果的なように思えますが、長期的にみると実はそうでもないようです。
夕食の欠食と体重の関係
2021年の大阪大学の研究では、「夕食をほぼ毎日食べている人」と比較して、「食べないことがある、食べないほうが多い、ほぼ食べない人」で10%以上の体重増加のあった人の割合が多かった、と報告されています。
その仕組みとして、夕食を抜いた後により多くの食事をとってしまうことによる摂取エネルギーの増加の可能性や、夕食を抜く食生活では野菜、魚介類、植物製たんぱく質の摂取量が減少し、太りやすい食生活になっている可能性が挙げられていましたが、今のところはよくわかっていないようです。
夜ごはんを抜くことと肥満の関係についての研究報告はこれまでほとんどなく、また、この研究も対象者が大学生(未成年~若年成人)と限定的であることから科学的根拠としてはあまり強いものではありませんが、夜ごはんを抜くことで他の食事量や食べるものが影響を受けると逆効果になるということはあるようです。
夜ごはんは食べすぎない程度に食べるのがよい
夕食抜きの習慣が(何らかの理由で)太りやすい状況をつくる可能性があることを考えると、極端な食事制限は毎日の食事のとり方を変えてしまい、思わぬところで悪影響を及ぼすことが考えられます。
とはいえ、ダイエット中の夜ごはんについて、食べすぎてしまうと
- 単純に摂取エネルギーのとりすぎにつながる
- 翌日の朝食抜きに影響してダイエットに悪影響
といったことが考えられますので、いくらでも食べていいということではありません。
「ダイエットのためには夜ごはんは抜き」ではなく、「ダイエットのために夜ごはんは食べすぎないように」といった気持ちで食事改善を行うのがよいのではないでしょうか?
ダイエット中の夜ごはんはどのくらい食べていい?
ダイエット中の夜ごはんについて、食べすぎはもちろん食べないのもよくない、となると、どのくらいが正解なのでしょうか。
「ダイエット中の夜ごはんのちょうどいい量」について考えてみましょう。
ダイエット中の夜ごはんのカロリー目安
ダイエットで体脂肪を減らすためには、摂取エネルギーを消費エネルギーよりも少なくする必要があります。
しかし、1日のエネルギー(カロリー)の消費量は性別、年齢、日々の活動量などによっても異なるため、一概に「ダイエット中の夜ごはんは○○kcal以内」と決めることはできません。
1日に必要なエネルギー量と夕食からとる割合を仮定し、ダイエット効果が期待できる食事量を考えてみます。
平均的な身長・体重で身体活動量がふつう(通勤通学家事などによる歩行があるが運動習慣はない)の場合、年齢ごとの推定エネルギー必要量(≒エネルギー消費量)は以下のようになります。
■1日あたりの推定エネルギー必要量(身体活動レベルⅡの場合)
男性 | 女性 | |
18~29歳 | 2650kcal | 2000kcal |
30~49歳 | 2700kcal | 2050kcal |
50~64歳 | 2600kcal | 1950kcal |
1日3食を食べ、それぞれの食事量の比率を朝:昼:夜:間食=2:3:4:1とすると、夕食から摂取するエネルギー量は男性で1060kcal前後、女性で800kcal前後となります。
ダイエット中であることを考慮し、1日の食事の1~2割に当たる量を減らした
- 男性 530~800kcal前後(-260~530kcal)
- 女性 400~600kcal前後(-200~400kcal)
がダイエット中の夜ごはんからの摂取エネルギーについてのひとつの目安になるのではないでしょうか。
もちろん、ダイエット前の食事内容は人によって異なるため、夕食のエネルギーを上記の数値内に収めても摂取エネルギーのカット効果がある人とない人がいることに注意しましょう。
これまで、1日の中で夕食にボリュームが偏っていた人では効果が大きく、もともと夕食は控えめだったという人にはあまり変化はない、または多すぎるという場合があります。
補足: 体脂肪1㎏は7200kcalに相当し、30日間で1㎏の体脂肪を減らしたい場合には、消費エネルギーに対して摂取エネルギーを1日あたり240kcalぶんのマイナスにする必要があります。 上記の例では、30日で体脂肪0.8~2.2㎏に相当するエネルギーの摂取をカットすることができる計算になっています。 |
朝食抜きにならないようボリュームを調節
朝食の有無が肥満に与える影響については、上で紹介した夕食の有無についての研究よりも以前から肥満との関連性があることが知られています。
朝食を抜く習慣のある人ではそうでない人と比較して肥満度が高いことが報告されており、これは運動不足による消費エネルギーの減少や、野菜類の摂取が少ないなど全体的に肥満を招きやすい生活習慣が理由のようです。
これまでの食生活において夜ごはんのボリュームが多く、朝食の時間には食欲がなかったりして朝食を抜くことが多かった場合には、朝食を食べられるように夕食のボリュームを調整するだけでもダイエット効果が期待できるかもしれませんね。
ダイエット中の夜ごはんにおすすめの食べ物は?
ダイエット中の夜ごはんに適した食べ物にはどんなものがあるでしょうか?
低カロリーながらボリュームを確保できる食材と料理の組み合わせを紹介します。
夜に飲む・食べる機会の多いお酒やスイーツについても解説します。
ダイエット中の夜ごはんにおすすめメニューの組み合わせ
ダイエット中の夜ごはんは、なるべく主食・主菜・副菜をそろえた一汁三菜スタイルがおすすめです。
軽めの食事にしようと思うと一皿で完結するものを選びがちですが、どんぶりや麺類といった「一品物」は量に対してエネルギーの高い主食(ごはんや麺など)と主菜(メインのおかず)に偏りやすく、量に対してエネルギーの低い副菜(野菜料理など)が少なくなりがちです。
そのため摂取エネルギーの割に食べ応えがなく、満足感が得られにくいのが難点。
また、一皿で完結する食事は早食いにつながりやすく、ダイエットにはあまり適していません。
複数のお皿を行き来しながらゆっくり食べられる献立が理想的です。
ダイエット中の夜ごはんにおすすめの食材
ダイエット中の夜ごはんに取り入れる食材は、エネルギーを抑えつつ食事のボリュームを維持してくれる「量の割にカロリーの低い食品」がおすすめです。
日本人の食習慣では、1日の食事のうち夕食が一番豪華、という場合が多いため、ダイエットのために夜ごはんを少量にすると1日の食事の満足感もいまいち…となってしまいがちです。
量の割にエネルギーの低い食材や同じお肉でも脂身の少ない部位を使うことで、満足感はありつつ摂取エネルギーを抑えることができます。
■定番低カロリー食材
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■脂質少なめメイン食材
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具体的には、定番の低カロリー食材をたっぷり使いつつ、メインのおかずには脂質の少ないメイン食材を取り入れることでボリュームを維持しながらも摂取エネルギーを抑えることができます。
また、食事の満足感を長持ちさせてくれる「腹持ちのよい食材」もオススメです。
■食物繊維が豊富で腹もちの良い食材
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でんぷん質も多く含むため食べすぎは摂取エネルギーの上乗せになりますが、選べるなら上記のような食材をチョイスしてみてくださいね。
お酒・スイーツはNG?
お酒やスイーツはいわゆる「嗜好品」であり、ダイエット中の食事としては余分なエネルギー摂取ではあるため、少なく済むのであればそれに越したことはない…というものになります。
とはいえ、お酒やスイーツといった嗜好品は日々の楽しみの役割も大きく、完全に禁止するのはストレスの面からもあまりよくありません。
1日あたりのお酒・スイーツからの摂取エネルギーの上限を決め、その範囲内で楽しむのがよいでしょう。
ダイエット中ということを考慮すると、1日あたり100kcal以内が一つの目安です。
お酒とスイーツを合わせて100kcal以内に収められるとダイエットにそれほど悪影響はなさそうです。
■100kcal以内で楽しめるお酒の例
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■100kcal以内で楽しめるスイーツの例
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または、代替品の活用もおすすめです。
お酒ではゼロカロリーのノンアルコール飲料、スイーツではゼロカロリーゼリーなどのほか、生の果物は重さあたりのエネルギーが低くデザートに最適です。
■100kcal以内で楽しめる生の果物の例
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間食の100kcalごとの量について詳しく解説した記事はこちら
ダイエット中の夜ごはんの時間について
夜遅い食事は太るとよく言われますが、これは科学的に見ても間違っていないようで、ダイエット中の夜ごはんはその内容だけでなく、食べる時間も大事なポイントとなるようです。
就寝前2時間以内の食事習慣がある人は改善を
現在、就寝前2時間以内に食事をする習慣がある人は、それを改めるだけでダイエット効果が期待できるかもしれません。
メカニズムは明らかになってはいませんが、就寝前2時間以内に夕食をとる機会が週3回以上あった人が、その習慣を改善することで腹囲の減少などの効果がみられたという報告があります。
夜は早い段階で食事を済ませ、寝る前にはある程度おなかが落ち着いた状態にするのがよさそう。
寝る時間を遅くするのではなく、寝る時間は変えずに食事時間を早めにするのが正解です。
夜遅くなりそうなときは2回に分けて
仕事などの理由で帰宅が遅くなり、どうしても夕食が遅い時間帯になってしまうという場合には、分食を取り入れるのがおすすめです。
夕方などの早い時間に夕食の一部にあたる量を食べておき、夜に残りの分を食べる方法で、夜遅い時間に食べる量が減るため、夜にまとめて食べるよりも健康的です。
お菓子ではなくおにぎりなど、あくまで「ごはんの一部」として食べるのがよいでしょう。
リラックスしてゆっくり食べるのがおすすめ
ダイエット中の夜ごはんはいつもより意識的によく噛んでゆっくり食べるようにしましょう。
早食いはダイエットの妨げになり、満足感も得られにくくなってしまいます。
ダラダラと長時間食べ続けるのは結果的に摂取エネルギーのとりすぎを招くので、決まった量を落ち着いて食べるようにしたいですね。
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外食・コンビニで夕食をとるなら
忙しい毎日、夕食は外食かコンビニで、ということも少なくありません。
ダイエットには向かないイメージの両者ですが、エネルギー表示などを活用できることから、意外とエネルギー管理に向いている面もあるのです。
外食のおすすめメニュー例
外食では、上記で紹介したオススメ食材である野菜・キノコ・海藻類、脂質の少ない肉類の食事がとれるお店がおすすめ。
具体的には、和食の定食屋さん、サラダやスープに特化したお店がおすすめです。
■和食の定食屋さんの場合(例)
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■サラダをメインにした飲食店の場合(例)
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■スープに特化した飲食店の場合(例)
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コンビニのおすすめメニュー例
コンビニで買えるお弁当は野菜類が少ないため、意識して野菜を増やすのがおすすめ。
カップスープなども取り入れると、ボリュームを上げることができます。
■コンビニのおすすめメニュー例(1)
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■コンビニのおすすめメニュー例(2)
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いずれも、包装に表示されているエネルギー量を確認しながら選ぶことで摂取エネルギーの過剰を防ぐことができます。
コンビニで500kcal以内の食事を選ぶコツを紹介した記事はこちら→コンビニはダイエット中のカロリー管理に便利!組み合わせ例を紹介
まとめ
ダイエット中の夜ごはんについて、食べない、減らす、内容を変える、時間を変えるなど、工夫するポイントは人によって様々ですが、健康的なダイエットのためには「摂取エネルギーを抑えつつ食べる」のがちょうどいいといえそうです。
ダイエット中の「ちょうどいい夜ごはん」は、
- 男性 530~800kcal前後(目安)
- 女性 400~600kcal前後(目安)
- 一品物は避け、一汁三菜を目指す
- 野菜、きのこ、海藻類をたっぷり取り入れる
- 肉・魚などのメイン食材は脂身の少ない部位・種類を選ぶ
- お酒やスイーツは1日100kcal以内に収める
- 就寝前2時間は食事をしない、またはなるべく少なくなるよう分食にする
…といった点を心掛けましょう。
また、外食やコンビニでは、上記のポイントに加えて
- エネルギー表示を確認して適量のものを選ぶ
- 意識的に主食・主菜・副菜を組み合わせる
…といった点に気を付けられるとよいでしょう。
あまりにも普段の生活から離れたような食事では、ダイエットもなかなか続きません。
日常生活の中で無理のない程度に取り入れられるものから挑戦してみてはいかがでしょうか?
成功するダイエットのポイントについて詳しく解説した記事はこちら
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参考文献 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書 文部科学省:「食品成分データベース:日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 Smith KJ,et al. Skipping breakfast:longitudinal associations with cardiometabolic risk factors in the childfood Determinants of Adult Hearth Study.Am J Clin Nutr 2010;92:1316-25. 社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011. 平成22年厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)「特定健診・保健指導開始後の実態を踏まえた新たな課題の整理と保健指導困難事例や若年肥満者も含めた新たな保健指導プログラムの提案に関する研究」(研究代表者 横山徹爾) |