ダイエットの王道は「食事管理と運動」ということはよく知られています。
とはいえ、食事制限はつらいし、運動はなかなか続かない、といった人も多いはず。
そんな時にとても魅力的に見えるのが「ダイエットサプリ」ではないでしょうか?
1日いくつかの錠剤やカプセル状のサプリメントを取り入れるだけで、食事も運動も気にしなくていいのなら簡単です。
少しお金はかかるけれど、ジムに通うことを考えたら安上がりかも…。
でも、そのダイエットサプリ、本当に効果があるものでしょうか?
効果がないのであればお金や時間が無駄になってしまいます。
また、場合によっては「効果がない」どころではなく、「健康に害がある」可能性すらあるのです。
ダイエット効果をうたうサプリメントに使われている成分の実際の有効性、何よりも気をつけたい安全性、信用できるサプリの見きわめ方を紹介します。
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Contents
ダイエットサプリ「有効成分」の実際
ドラッグストアやネットで見かけるダイエットサプリのパッケージには、ダイエットに効果がありそうな成分の名前が記載されています。
広告ページでも、「ダイエットをサポートする○○が××㎎配合」、という表現を見たことがあるのではないでしょうか?
この「〇〇」の部分、ダイエットサプリの本質である、「有効性(がありそうに見える)成分」は、数えきれないほどの種類があります。
多くは、あまり耳慣れないハーブ類や生薬の類、または抽出された成分であったりします。
今回調べただけでも20種類近くの「ダイエット成分」を見つけることができました。
ダイエットサプリの成分にダイエット効果はあるの?
では、この数多く存在する「ダイエット成分」は、どれも効果があるものなのでしょうか?
俗にダイエットに効果があるとされるものの有効性(ダイエットについて効き目があるか)、安全性(有害な影響がないか)について、国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報のページを参考に、現時点での情報をまとめました。
ダイエットにかかわるとされる成分は数多くありますが、すべてを網羅することは難しいため、今回は通販サイトなどで見つけた16種類に限っています。
成分名・素材名 | ダイエットサプリにおいて”俗に”うたわれる機能 | ヒト対象のダイエット効果についての有効性 (信頼性の高いデータ) |
ヒト対象の安全性 (信頼性の高いデータ) *妊娠中・授乳中を除く |
ギムネマ (ギムネマ酸) |
「糖分の吸収を抑える」 「血糖値の上昇を抑える」 |
十分なデータなし (何かに効くか不明) |
サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の十分なデータなし |
キトサン | 「便秘によい」 「有害成分を排泄する」 |
十分なデータなし (何かに効くか不明) |
短期間の摂取では安全である可能性が高い |
α-リポ酸 | 「脂肪を燃焼する」 | 経口摂取した場合の体脂肪減少についての十分なデータなし(何かに効くか不明) | 日本人のα-リポ酸摂取による低血糖発作の報告が多数 |
カルニチン | 「脂肪を燃やす」 | 十分なデータなし (何かに効くか不明) |
適切に摂取する場合はおそらく安全 |
ガルシニア | 「脂肪の蓄積を抑える」 「食欲を抑制する」 |
減量には効果がないことが示唆されている | 適正量の摂取・12週間未満では安全である可能性が高い 動物実験で精巣に悪影響の可能性との報告あり |
コロハ (フェネグリーク) |
「食欲を減退させる」 「脂肪の蓄積を抑制」 |
十分なデータなし (何かに効くか不明) |
過剰摂取で低血糖を起こす可能性あり |
コレウス (コレウス・フォルスコリ) (フォースコリー) |
「脂肪を燃焼する」 「エネルギー消費を促進」 |
経口摂取した場合の十分なデータなし (医療目的での経口摂取でないデータは多数) |
適切に摂取した場合、安全である可能性が高い 動物実験において、流産の危険性が報告されている |
アフリカマンゴノキ (種子抽出物) |
「食欲を抑える」 「脂肪の蓄積を抑える」 |
十分なデータなし (何かに効くか不明) |
適量、短期間の摂取は安全である可能性が高い |
リコピン | 「脂肪の蓄積を抑える」 | 十分なデータなし (何かに効くか不明) |
通常の食品に含まれる量はおそらく安全 サプリメントなど濃縮物は安全か不明 |
甘草ポリフェノール (リコリス) |
「脂肪を分解する」 「筋肉増加によい」 |
十分なデータなし (何かに効くか不明) |
十分なデータなし (安全かどうか不明) |
葛の花エキス | 「体の脂肪が減る」 「体重が減る」 |
十分なデータなし (何かに効くか不明) |
食品として適切な摂取で安全である可能性が高い |
共役リノール酸 (CLA) |
「体重を減らす」 「脂肪を燃焼する」 |
体脂肪増加抑制に効果があり/なしの研究結果が混在 →さらなる科学的根拠の蓄積が必要 |
食品中に含まれる量ならばおそらく安全 便秘、下痢、軟便を生じる可能性あり |
トウガラシ (カプサイシン) |
「体脂肪を燃やす」 「代謝を高める」 |
十分なデータなし (何かに効くか不明) |
通常の食事に含まれる量の摂取はおそらく安全 過剰量を長期摂取する場合、危険性あり |
難消化性デキストリン | 「糖や脂肪の吸収を抑える」 「便秘によい」 |
特定条件で「血中の中性脂肪」の低下機能はあるが 体重や体脂肪についてのデータはなし |
通常の食品として摂取する条件ではおそらく安全 過剰量を摂取すると下痢を誘発する |
センナ (食品としての利用が許可されている茎について) |
「便秘解消」 「ダイエット効果」 |
十分なデータなし (何かに効くか不明) |
茎について十分なデータなし(安全かどうか不明) 違法に葉を含有しダイエット効果を謳った食品の販売事例あり |
サラシア | 「糖の吸収を抑える」 「体脂肪を低下させる」 「腸内環境を改善する」 |
十分なデータなし (何かに効くか不明) |
適切に摂取する場合は安全性である可能性が高い |
※横スクロールで表全体の確認が可能です。
いずれも明確に人での効果は認められていない
16種類のうち、ダイエットに効果があるというデータが得られていないものは15件、ダイエットに効果がある「可能性」があるとされたのは1件のみでした。
ダイエットに効果がある可能性があるものについても、現時点では効果のあらわれ方はまちまちで、はっきりと「ダイエットに効く成分」とは言えないレベルのようです。
サプリメントは食品、薬ではない
サプリメントは「いわゆる健康食品」であり、薬ではないということに注意が必要です。
食品には、薬のような効果は期待できません。
逆に言えば、基本的には薬のような効果・影響がないからこそ、サプリメントという名前の「食品」として、販売することができるのです。
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ダイエットサプリに効果がなくても取り締まられないの?
効果が確認できていないのに、効果があるように販売されているダイエットサプリ。
問題にならないのでしょうか?
「やせる」というと虚偽表示・誇大表示
やせる効果がないにもかかわらず「このサプリを飲むとやせます」という風に言ってしまうと、これは「誇大表示」「虚偽表示」となり、不適切な表示がなされていると認識されます。
消費者庁では定期的にインターネット上で健康食品の表示を監視しており、不適切な表示を行っていたものには改善要請を行っています。
ダイエットに限らず、病気の予防や治療にかかわるものも含め、平成31年4月~令和元年6月までの3か月間で65事業者、72の商品で誇大表示や虚偽表示があり、改善要請が行われています。
(監視は3か月単位で行われており、一つの期間で30~120程度の商品に対して改善要請が行われています)
このようなペースで改善が行われているのであればダイエット効果をうたうサプリメントはなくなっていきそうに感じます。
しかし、実際にはダイエットサプリは世の中からなくなる気配はありません。
どういうことでしょうか?
多くのダイエットサプリは「やせる」とは言っていない
販売されているダイエットサプリの大部分は、「飲めば痩せます」とは言っていません。
そのため、やせなくても嘘はついていないのです。
よって、問題にならないということです。
ダイエットサプリのパッケージの説明文や、広告文をしっかり読んだことはありますか?
「やせる」「体脂肪」「体重」「-●㎏」といった具体的な表現はないことがほとんどです。
そのかわり、「スッキリ」「メラメラ」「スルスル」「ブロック」「サポート」といったような定義のあいまいな表現がよく使われています。
サプリメント事業者はこのようなあいまいな表現で「やせるとは言わず、効果をにおわすだけにとどめる」ことで、消費者庁のチェックを免れているのです。
読み替えに注意
サプリメントの広告文にある、
「余分がスッキリ」を「脂肪がなくなる」に、
「メラメラをサポート」を「カロリー消費を促進」に、
「スルスルスッキリ」を「体重がスルスル落ちる」に、
といったように、頭の中で読み替えていないでしょうか?
いくら私たちが頭の中で「ダイエット効果があるのだな」と思っても、サプリメントの広告では「やせるとは言っていない」のです。
拡大解釈をしないように、行間を読まないように、文章を頭の中で補完しないようにしましょう。
ダイエットサプリにはやせる効果が裏付けされていないために、あいまいな表現になっていると考えましょう。
危険なサプリもある
ダイエットに限って言えば、体にいい影響も悪い影響も与えない分には、効かないサプリはあまり問題にはなりません。
(病気が治る!とうたうサプリや代替治療は、適切な治療の機会を奪う可能性があるため、体への影響がないものでも大きな問題があります)
しかし、ダイエットサプリの中には、ダイエット効果がないだけではなく、健康被害を引き起こす危険なものもあり、注意が必要です。
健康被害の恐れのあるものも
成分の有効性と安全性をまとめた表では、使う量や頻度、期間にもよりますが、
「安全かどうかわからない」
「サプリメントのような濃縮物として取った場合の安全性はわからない」
「何らかの悪影響の可能性」
のあるものが意外にも多いことが分かります。
効果がないからと多めに飲んだり、安全性が確認されていない成分を長期にわたって摂取し続けたりすることで、悪い影響が表れることも大いに考えられます。
例:下痢などの健康被害のあったもの 2019年9月、ダイエットをサポートするサプリメントとして売り出されていた製品(ケトジェンヌ)を摂取することで、下痢などの体調不良の報告が急増したとして、消費者庁から注意喚起がなされています。 製品の詳細な成分表示を見ることはできませんでしたが、パッケージから油脂分や食物繊維が主成分として含まれていることが考えられ、適正な摂取量では便秘の解消、摂取量が過剰になると下痢などを引き起こす可能性があると考えられるものでした。 |
サプリには規格がないのが問題
サプリメントは食品であるため、医薬品と異なりその内容(各種成分の含有量など)に細かい規格はありません。
規格がないために、健康被害が起こる量について考慮されていない可能性も大いにあります。
例:医薬品が添加されていたケース 健康被害が起こるサプリメントの中でも、特に悪質なのが「違法に医薬品成分を添加しているもの」です。 インターネット経由で海外から購入・使用するパターンが多く、2019年7月には台湾の業者から購入した「ホスピタルダイエット」を称するダイエット用サプリを摂取したところ、吐き気や全身倦怠感、動悸や胸痛を起こしたとのことです。 |
別の事例では死亡に至ったものもあり、サプリメント由来の健康被害としては、違法な医薬品によるものが最も怖い、といえるかもしれません。
医薬品成分が入ったサプリの危険性
医薬品成分の中には食欲抑制作用や、利尿作用、緩下作用のあるものが存在します。
医薬品ははっきりとした効果が得られる一方、使用する人や量によって副作用の恐れもあるものです。
本来、医薬品は医師などの専門家から処方されて使用するもの・厳しい規格のもと製造・販売されるものです。
一般の人が正規以外の方法で入手し、自己判断で使用するのは危険が伴います。
劇的な効果をうたったものはこのような医薬品の添加の可能性もあるため、安易に使わないようにしましょう。
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効果のないダイエットサプリを買わないために確認したいポイント
では、どのようなサプリメントであれば安心して使用できるのでしょうか?
見きわめのためのポイントを紹介します。
サプリの効果以外の要因の可能性
そのサプリを使ってやせた、と言っていても、「サプリのおかげ」ではなく、「サプリ以外の何かのおかげ」だった可能性もあります。
「健康的な食事・運動に加えて摂取することでダイエットできます」という表現
「いつもの食事をこれに置き換えることでダイエットできます」という表現
ダイエットサプリでは、上記のような「この製品をダイエットに取り入れることでやせる」といった表現を見かけます。
そのダイエット効果は「サプリのおかげ」でしょうか?
もしかしたらサプリがなくてもやせられたのかもしれません。
「健康的な食事・運動」のおかげ
ダイエットサプリによくあるものとして、「健康的な食事・運動に加えてこのサプリを摂取することでダイエットできます」というような表現があります。
この文脈では実際にやせたことが本当だったとしても、サプリによってダイエット効果が得られたとはいえません。
いつもは暴飲暴食をして運動は全くしない、という人が食事改善や運動を行うことでやせていくことは想像しやすいのではないでしょうか。
この場合のやせる要因は「サプリ」ではなく「健康的な食事と運動」だった可能性があります。
「置き換えによる摂取カロリー減」のおかげ
また、「いつもの食事をこれに置き換えることでダイエットできます」という表現もよくあるものです。
食事の置き換えはドリンクタイプのサプリメントでよく見られますが、この場合も、やせた、という結果が得られたとしても、それはそのサプリのおかげではなく、置き換えることによる摂取エネルギーの減少が本質です。
この場合のやせる要因は「サプリ」ではなく「摂取エネルギーの減少」だった可能性があります。
食生活改善や運動習慣のきっかけになるのであればサプリメントの意味も全くないということはありませんが、利用するうえでは本質がサプリではないことは理解しておきたいポイントです。
効果があるという科学的な根拠が必要
ダイエットに効果があるという科学的な根拠がなければ、そのサプリは信用できないもの、となります。
サプリの広告には、以下のようなものが根拠のようなものとして示されていることがあります。
「古くから○○に効くとして使われている」という言い伝えの説明
「この製品を摂取して〇㎏やせました」という口コミ・体験談
「医師/薬剤師/管理栄養士の○○さんが推奨」という個人の意見
こういった文章があると、何となく信頼してしまいますが、これらは科学的な根拠とは言えません。
ひとつひとつ確認してみましょう。
言い伝えが正しいとは限らない
「古くから○○に効くとして使われている」という言い伝えの説明がなされている場合があります。
言い伝えの中には科学的に正しかった、というものもありますが、すべての言い伝えが本当に正しいとは限りません。
例:ブルーベリーが目にいいという言い伝え→実際に効果は認められていない
口コミ・体験談は根拠にならない
「この製品を摂取して〇㎏やせました」という口コミ・体験談も、よくみるポイントのひとつです。
口コミや体験談はその人個人の感想であり、だれにでも同じことが起こるとは言えません。
また、その体験談が本当かどうかを確かめる方法もありません。
よい内容の口コミばかりを掲載し、効果がなかったとするものは隠されている可能性も否定できません。
専門家であっても個人の意見は根拠にならない
「有名人/医師/研究者/管理栄養士の○○さんが推奨」という個人の意見が大々的に表示されていることも。
芸能人などの知名度のある人、医師や栄養士のような専門職であっても、「個人」の意見は口コミや体験談と同様に科学的な根拠とは言えません。
(科学的根拠に基づいて専門家が何かについて話す、ということはありますが、専門家だからと言ってその人が言うすべてのことそのものが科学的根拠になるということではない、ということです。)
ダイエットサプリのほとんどはこう言った情報を根拠のように示しており、ダイエット効果をうたうサプリメントのほとんどは、科学的根拠ではなく「ダイエットに効果がありそうなイメージ」だけで宣伝を行っていることが分かります。
科学的根拠とは、もととなる情報(○○と食べるとダイエット効果があるなど)が
①学術論文の形式で発表される
②多数の科学者によって様々な角度から正しいかどうか検討される
という過程を経てから初めて信頼できる情報(=科学的根拠)となります。
ほとんどのダイエットサプリがクリアできない
- サプリ以外のやせる要因が排除されていないものは信用しない
- 信頼できる科学的根拠がないものは信用しない
これらのポイントをクリアするサプリメントは、現時点ではおそらくほとんど存在しないのではないでしょうか?
基本的にはサプリだけの効果でやせられるものはない、と考えたほうが確実です。
まとめ
サプリメントはそもそも食品であるため、医薬品のような効果は期待できません。
サプリ頼みのダイエットは効果なしであるばかりか、健康被害のリスクもあることに注意が必要です。
もし効果があったとしても、食事の管理や運動など、生活習慣の改善を行う「王道のダイエット」に比べると小さな効果にとどまると考えられます。
お金と時間をかけるのであれば、しっかりとした根拠のあるものに使いたいですね。
成功するダイエット方法について詳しく解説した記事はこちら
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参考文献 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報(各種素材、被害関連情報、ホスピタルダイエットについて) 消費者庁:ニュースリリース「インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する要請について 平成31年~令和元年6月)」 |