体脂肪を減らすためには、消費エネルギーを増やすか、摂取エネルギーを減らすことが必要ですが、ダイエット中の朝ごはんについては単純に食べないほうが良い…ということでもないようです。
ダイエットと朝食の関係、朝ごはんのカロリーの目安やとりたい栄養素、おすすめメニューと食べ方のポイントについて紹介します。
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Contents
ダイエット中の朝ごはんは食べる?食べない?
摂取エネルギーを減らすという意味では食事の機会を減らすのは効果的な方法に思えますが、朝ごはんに関してはしっかりと食べたほうがダイエットの後押しになる、とされています。
朝ごはんを食べることは単純に摂取カロリーの増減だけでなく、生活全体を通じてダイエットと関係するようです。
朝食抜きの習慣がある人のほうが肥満度が高い
2010年のオーストラリアにおける研究*1)では、朝食の習慣と肥満度(BMI)・腹囲が関係していることが報告されています。
子どもの時と大人になってからの食習慣について、
- 朝食の習慣がある人
- 朝食の習慣がない人
を比較すると、朝食の習慣がない人のほうがより肥満度が高く、腹囲が大きいことが報告されています。
また、同じ研究の中で、朝食を食べる習慣がある人とない人を比較して、朝食を食べない人ほど
- 週あたりの運動時間が少ない
- テレビを見る時間が長い
- 野菜や果物を食べる量が少ない
ということがわかったそうです。
この研究の結果は、朝食を食べないことそのもので太るというよりも、朝食を食べないことで消費エネルギーが少なく太りやすい生活習慣につながりやすい…ということを示している、と考えられています。
朝食抜きの習慣と肥満の関係について詳しく解説した記事はこちら
朝食は太りにくい生活習慣のひとつ
朝食を習慣にすることで太りにくくなる理由を推測すると、
- 朝食を食べるために夜は早めに寝るため、夜食の機会が減る
- 朝食を食べることで早い時間から活動でき、消費カロリーが増える
- 野菜や果物を食べる量が増え、健康的な食事内容になる
ということが考えられそうです。
朝食は食べることで1日の摂取エネルギー自体は増えるものの、結果的に健康的で太りにくい体づくりにつながる生活習慣のひとつとして考えるのがよさそうです。
1日を通して食べすぎにならないように気を付けながら、健康的な生活習慣のひとつとして朝ごはんの習慣作りをしたいですね。
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ダイエット中の朝ごはんのカロリー目安
太りにくい生活習慣のひとつとして朝ごはんを食べることはよいことといえますが、朝ごはんの摂取カロリーも「なかったこと」にはならないため、何をどれだけ食べて良いという訳ではありません。
朝ごはんでとってよいカロリーの目安はどのくらいでしょうか?
1日に必要なカロリーから、朝ごはんでとれるカロリー量を考えてみましょう。
1日のエネルギー(カロリー)の必要量(消費量)は性別、年齢、日々の活動量などによっても異なります。
- 平均的な身長
- 平均的な体重
- 身体活動量がふつう(通勤通学家事などによる歩行があるが運動習慣はない)
の場合、年齢ごとの推定エネルギー必要量(≒エネルギー消費量)は以下のようになります。
■1日あたりの推定エネルギー必要量(身体活動レベルⅡの場合)
男性 | 女性 | |
18~29歳 | 2650kcal | 2000kcal |
30~49歳 | 2700kcal | 2050kcal |
50~64歳 | 2600kcal | 1950kcal |
1日3食を食べ、それぞれの食事量の比率を朝:昼:夜:間食=2:3:4:1とすると、朝食から摂取するエネルギー量は
- 男性…530kcal前後
- 女性で400kcal前後
となります。
ダイエット中で摂取エネルギーを抑えたい…という場合には、1日あたりの目安となるエネルギー量をこれよりも少なく設定するとよいでしょう。
朝食を少なくするのもよいですが、日本人の食生活では朝食よりも昼食や夕食のほうにボリュームが偏りがちなことが多いので、昼食や夕食のほうが減らしやすいことが考えられます。
また、上で紹介したような朝食と肥満の関連を考慮すると、朝食の量はしっかり確保しつつ、昼食・夕食・間食の摂取カロリーを優先して見直すことをおすすめします。
ダイエット中の夜ごはんのボリューム、内容について詳しく解説した記事はこちら
補足: 体脂肪1㎏は7200kcalに相当し、30日間で1㎏の体脂肪を減らしたい場合には、消費エネルギーに対して摂取エネルギーを1日あたり240kcalぶんのマイナスにする必要があります。 |
ダイエット中の朝ごはんでとりたい栄養素とバランス
ダイエット中に食べる朝ごはんでは、「エネルギー源となる炭水化物が取れる主食」をメインに、可能な範囲で「たんぱく質が取れる主菜」「野菜料理」「果物」「乳製品」を組み合わせるのがおすすめです。
それぞれの栄養面での役割と、バランスの良い食事にするためのポイントを紹介します。
炭水化物が取れる「主食」
近年はダイエットのために炭水化物(糖質)を控えている人も少なくありませんが、朝食で最も優先されるのは炭水化物の摂取です。
炭水化物は私たちの体の主なエネルギー源であり、食後数時間は体内に貯蔵されたものから必要な分が供給されますが、朝起きた時には枯渇している状態です。
エネルギーを補充して1日を活動的に始めるためにも、朝食ではまず炭水化物をとるようにしましょう。
炭水化物の摂取源となるのはごはんやパンなどの穀類を中心とした「主食」です。
精製度の低い穀類を選ぶと食物繊維もとれるので、腹持ちもよくおすすめです。
たんぱく質が取れる「主菜」
炭水化物の摂取源となる主食を確保したうえで、余裕があればたんぱく質の摂取源となる主菜をとると栄養バランス的にもさらによいでしょう。
主菜は肉類、魚類、たまご類、大豆製品などをメインとしたおかずが当てはまります。
凝ったメイン料理を作る必要はありませんので、忙しい朝の時間帯に用意しやすいものがおすすめです。
野菜・果物・乳製品で栄養バランス向上
余裕があれば野菜や果物、乳製品をプラスすると栄養バランスが良くなります。
朝は時間がなく、たくさんの食材をとり合わせた食事にするのは難しいという人も多いので、無理に用意する必要はありませんが、主食や主菜と合わせて
- 野菜料理
- 果物
- 乳製品
を組み合わせることができるとビタミンやミネラル、特にカルシウムが取れる内容になり、栄養バランス面で優れた食事となります。
主菜と同様に凝ったものである必要はないので、用意しやすいものを選ぶのがよいでしょう。
脂質はとりすぎに注意する
日本人の食習慣では朝食よりも昼食・夕食で脂質の多いボリュームのあるおかずを食べることが多いため、朝食では脂質は控えめのほうがダイエット向きです。
もし、油脂の多い食材や料理を朝食に食べたい場合は、その日の昼食や夕食は脂質控えめのものを選ぶのがよいでしょう。
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ダイエット中の朝ごはんにおすすめのメニュー
朝ごはんにはまず主食、次いで主菜、可能な範囲で野菜料理・果物・乳製品などを組み合わせられるとバランスの良い食事となりますが、具体的にはどんな料理を選ぶのがよいでしょうか?
朝食におすすめのメニューの具体例を紹介しますので、用意できそうなものを組み合わせてみてくださいね。
主食
主食は炭水化物の摂取源となる穀類(米、小麦など)を主原料とした料理が当てはまります。
朝の時間帯に用意しやすいもの、食べやすいものから選ぶとよいでしょう。
■主食の例
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菓子パンやホットケーキ、フレンチトーストなどの甘い主食は朝ごはんの定番ですが、脂質や砂糖が多いため、ダイエット中は控えるのが無難です。
主菜
主菜はたんぱく質の摂取源として、肉・魚・たまご・大豆製品をメインとした料理が当てはまります。
おかずとして食べるほか、主食と組み合わせてサンドイッチや丼のような一品として食べるのもよいですね。
■主菜の例
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野菜、果物、乳製品
野菜や果物は重さあたりのエネルギーが少なくダイエット向きの食材です。
乳製品は日本人に不足しがちなカルシウムの摂取源としても優秀なうえ、カロリー制限とカルシウム(または乳製品)の摂取を併用した場合に、体重や体脂肪の抑制効果がより大きかったという報告*2)もあり、ダイエットの面でも取り入れたい食材のひとつといえそうです。
余裕があれば、野菜をメインとした副菜、果物、乳製品を加えられるとさらに良いですね。
副菜+乳製品、果物+乳製品などの形でもとることができます。
■副菜、果物、乳製品の例
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コンビニを活用するのもおすすめ
朝ごはんは必ずしも自宅で手作りする必要はありません。
朝ごはんをつくる時間がない場合や、朝起きてすぐは食欲がわかないという場合には通勤や通学の途中でコンビニに寄って勤務や授業の開始前に食べるというのもよいでしょう。
コンビニでは朝食となる食べ物がたくさん取り揃えてあるので、食べやすいものを選ぶのがよいですね。
■コンビニで買える朝食メニューの例
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ダイエット中に気を付けたい食べ方のポイント
ダイエットを成功させるためには、朝ごはんそのものの内容だけでなく食べ方や生活習慣全体にも気を付けたいところ。
朝ごはんの工夫と合わせて、意識してみてくださいね。
睡眠時間を確保して朝食を習慣化する
朝ごはんが習慣化できない理由の一つに、夜寝る時間が遅く、朝起きれない…というものがあります。
夜更かしをして睡眠時間が短くなり、朝食をとる時間が無くなると、結果として活動量の少ない「太りやすい生活」になりがちです。
朝ごはんを習慣化するために、早起きを頑張るよりも、夜更かしをしないように早寝を心掛けるほうが効果的かもしれません。
夜更かしをしないことで夜食の機会も減って、余分なカロリー摂取も少なくできそうです。
朝食だけでなく昼食と夕食、間食にも気を配る
ダイエットにおいて朝ごはんを食べることも大事なポイントですが、昼と夜の食事や間食の内容にも気を付けたいところ。
上述の通り、日本人の食習慣では朝よりも昼、夜の食事のほうがボリュームが多いことが多く、量を調節したり内容を見直したりすることでカロリーカットがしやすくなっています。
朝食を抜かないように気を付けつつ、昼食や夕食は控えめにするなど、食事全体を見てカロリーコントロールを行うのが理想的です。
また、間食は余分なエネルギー摂取になりやすい食事です。
1日の上限量をあらかじめ決め、その範囲内で楽しむことで過剰なカロリー摂取にならないようにしたいですね。
ダイエット中の間食の管理について詳しく解説した記事はこちら
運動も取り入れる
ダイエットにおいては食事の見直しによる摂取エネルギーのカットも重要ですが、運動量を増やすことで消費エネルギーを増やすことも有効な方法のひとつです。
スポーツを新しく始める必要はなく、日常生活で体を動かす時間が増えればOK。
1日のうちで歩く時間を増やしたり、エスカレーターではなく階段を使うようにしたり、ながら運動をするのもおすすめです。
朝食をきっかけに活動的な1日を過ごすようにしたいですね!
まとめ
ダイエット中の朝ごはんについて、単に摂取エネルギーの増減で考えると食べないほうが良いと思われがちですが、実際には朝食の習慣は運動時間や食事内容などの生活習慣全体と関連して、結果的にダイエットによい影響を与えるようです。
ダイエット中の朝ごはんを食べるうえで気を付けたいのは、
- カロリーの目安は男性530kcal前後、女性で400kcal前後
- 炭水化物が取れる「主食」が最優先
- 余裕があればたんぱく質が取れる「主菜」を組み合わせる
- さらに「野菜」「果物」「乳製品」をとれると理想的な栄養バランスになる
ということが挙げられます。
コンビニなどを活用しながら、負担のない範囲で朝食の習慣を身につけましょう。
朝食に関連する生活習慣として、
- 朝食を習慣化するために夜更かしをせず早めに寝ること
- 1日の身体活動量を増やすこと
- 朝食以外の昼食、夕食、間食の内容も改善すること
といったことにも気を配りつつ、健康的にダイエットを行いたいですね。
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参考文献 厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」 報告書 社団法人日本栄養士会監修:「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアル.第一出版,2011. *1)Smith KJ,et al. Skipping breakfast:longitudinal associations with cardiometabolic risk factors in the childfood Determinants of Adult Hearth Study.Am J Clin Nutr 2010;92:1316-25. *2)Zemel MB, Thompson W, Milstead A, Morris K, Campbell P. 2004. Calcium and dairy acceleration of weight and fat loss during energy restriction in obese adults. Obes Res 12 : 582–590. |