子供の偏食・好き嫌いが多い理由
個人差はあるものの、大人に比べると子どもは食べ物の好き嫌いや偏食が多くなりがちですが、それはなぜでしょうか?
一例として、嫌いな食べ物としてよく挙げられる「野菜」の場合には、以下のような理由から、苦手な食べ物となってしまっているようです。
- 食べにくい
- 噛みにくい
- 固い
- 苦い
- 味が嫌い
- 嫌なにおいがする
これらの原因の一つは、大人と子供の体の違いによるものが考えられます。
具体的には、
- 子供は大人に比べて味覚が敏感なため
- 子供は大人に比べて噛む力・飲み込む力が未熟なため
このような理由から、子どもでは大人と同じように食べるのが難しく、結果として好き嫌いが増え、偏食になりやすいと考えることができそうです。
味覚が敏感なため
大人と比べて子どもは味覚が敏感なため、苦手な味を強く感じやすいということが理由のひとつです。
大人でも苦すぎる・すっぱすぎる・塩辛すぎる・甘すぎるといった強い味は好まない場合も少なくありませんが、子どもの場合には大人よりも弱いレベルの味でもこの状態に近い感覚を感じているかもしれません。
- 苦味の強い野菜
- 香辛料を使った料理
- 酸味の強い食材、料理
といった特徴のある食品は好き嫌いの対象になりやすいといえます。
噛む力・飲み込む力が未熟なため
味覚が強い一方、子どもは歯が生えそろっていなかったり、あごの力が弱かったりと、噛む力・飲み込む力が大人と比べて未発達です。
そのため、噛みにくい、噛めても固い食材などは、食べにくさから苦手な食べ物になってしまうようです。
- 葉物野菜(薄く噛みにくい)
- 繊維の強い野菜
- 固い肉類
- 水分が少なくパサパサした食材・料理(飲み込みにくい)
食材の特性による場合もありますが、調理の仕方によっても変わる部分といえそうです。
子供の苦手な食べ物克服のポイント
好き嫌いを克服するためには、「無理やり食べさせる」のはNGです。
- 食べやすい形にする
- 好きな料理に混ぜ込む
- 楽しい雰囲気で食べる
- 食事の前に食材に触れる
…といった工夫を行い、食材の食べにくい部分を解消してあげたり、「食べてみようかな」「食べたいな」という気持ちを持ってもらえるようにするのが良い方法です。
食べやすい形にする
子どもの口は小さく、かむ力も弱いため、大人は食べられるものでも食べにくいと感じることも。
- 小さく切る
- 薄く切る
- やわらかくなるまで火を通す
- ぱさつきやすいものはとろみをつける
このような工夫で食べやすくなるように工夫してみてはいかがでしょうか。
可能であれば子ども本人になぜ嫌いなのか、理由を訊ねてみて、それに応じて食べやすく調理してあげると、効果的に苦手意識を減らすことができます。
好きな料理に混ぜ込む
例えばピーマンが嫌いな子どもにとって、ピーマンの肉詰めやチンジャオロースのような、ピーマンが前面に出たメニューよりも、子供に人気のミートソースに少しピーマンを加えたもののほうが食べやすい傾向があります。
好きな料理は人それぞれではありますが、子どもが好むことが多く、苦手な食材も入れやすいメニューとしては
- カレー
- ミートソース
- シチュー
…などが挙げられます。
好きな料理の味で苦手な食材の味がある程度まぎれることで、比較的食べやすくなります。
また、好きなものにつられて食べられたら、「ピーマンも食べられたね」とほめてあげると達成感が得られるため、そのあとにピーマンを使った料理を食べるきっかけにつながります。
楽しい雰囲気で食べる
食べるときの気持ちは食べる意欲に大きく影響します。
怒られながら食べるよりも、楽しい雰囲気で食べるほうが、同じ食材でも食が進みやすくなりますね。
余裕があれば、食卓が楽しい雰囲気になるよう、華やかな盛り付けにするのもおすすめです。
- かわいい形にカット(型抜き)する
- キャラクターの食器・カトラリー・飾りなどを活用する
- 食べられないことを怒らない
- 食べられたらたくさんほめる
楽しい雰囲気を通じて食べることに前向きな気持ちを持ってもらうことで、苦手な食材・新しい食材にチャレンジする気持ちにつながります。
食事の前に食材に触れる
買い物や調理など、「自分がかかわった食材」は興味を持って食べてくれることが多くなります。
食事として食べる前の段階から、さまざまな形で食材にかかわるポイントを設けてみましょう。
- 買い物に行ったときに選び取る
- 調理の前に野菜を洗う、切ったり炒めたりといった調理に参加する
- 食材をテーマにした絵本などを読む
- 家庭で野菜を育ててみる
保育園などではこのような体験を食育プログラムとして取り入れていることも多く、子どもたちも張り切って参加してくれます。
食べ物の好き嫌いを克服できないときに意識したいポイント
あれこれ試してみてもどうしても嫌いなものは嫌い!という場合もあります。
栄養面で不安、という場合もありますが、基本的には
- 無理矢理食べさせない
- 栄養面は別の食材でカバーする
- 苦手な食材もたまに出す
このような対応がおすすめです。
具体的な理由と内容を解説します。
無理やり食べさせようとしない
食事が偏ることが心配でついつい無理に食べさせたくなるものですが、好き嫌い解消の観点では無理強いは逆効果になりかねません。
嫌いな食べ物を無理やり食べさせられるという嫌な気持ちの記憶と結びつくことで、余計に食べなくなったり、食事の時間そのものが苦痛になってしまうかもしれないためです。
栄養面では、特定の食品ひとつを避けていても健康上のリスクはさほど大きくないので、気長に待って問題ありません。
無理に食べさせる必要は全くないので、いつか「食べてみようかな」と思う日が来ることを期待して待つようにしましょう。
栄養面は似た栄養源の食材でカバー
特定の食材ひとつが食べられなくても、子どもの成長に対して栄養的に問題となることはほとんどありません。
必須栄養素は多くの場合いろいろな種類の食品に含まれているため、ほかの食べられるものからとれていることが多いはずです。
食べられない範囲が広く栄養面が心配な場合には、近い栄養価の食品でカバーできれば問題ありません。
具体的には、以下のグループ内で補うことができればよいでしょう。
- エネルギー源…ごはん、パン、麺、芋など
- たんぱく質源…肉類、魚類、卵、大豆製品など
- ビタミン・ミネラル・食物繊維源…野菜、果物、きのこ、海藻など
- カルシウム源…牛乳、乳製品、緑黄色野菜、小魚など
このうち、特に野菜においては、成長に必要な栄養素の摂取源としての役割はあまり大きいものではない(不足することで身長や体重の伸びに影響が出やすいものではない)ので、あまり焦らなくても大丈夫です。
苦手な食べ物もたまに出す
苦手な食材を無理に食べさせる必要はありませんが、食卓にはいつも通り出し、食べる機会そのものは残しておくようにしたいところです。
苦手だからと言って、一切食卓に出さないようにしてしまうと「試しに食べてみる」という機会を失ってしまいます。
家族がおいしく食べている様子を見せてあげるのがよいでしょう。
今は嫌いでも、時間がたつと自然に食べることもあります。
まとめ
子どもの好き嫌いは大人の好き嫌いと異なり、今はまだ食べられないけど、成長したら食べられるようになる…といったことも多いものです。
無理になんでも食べる子どもにしつけるのではなく、楽しい・おいしい気持ちで食べられる食べ物を増やしていけるといいですね。
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参考文献
厚生労働省:楽しく食べる子どもに~食からはじまる健やかガイド~「食を通じた子どもの健全育成のあり方に関する検討会」報告書